読み書きや運動が苦手な子ども…背景に「発達障害」や「視覚機能の問題」の可能性が。自宅でできる視覚機能のトレーニング

出産・子育て

公開日:2022/2/17

新装版 発達障害の子のビジョントレーニング 視覚を鍛えて読み書き・運動上手に!
『新装版 発達障害の子のビジョントレーニング 視覚を鍛えて読み書き・運動上手に!』(北出勝也/講談社)

「字を書くのが苦手で宿題をやるだけでヘトヘトになる」「文章を読むとき1、2行とばしてしまう」「運動が極端に苦手」…あなたのお子さんはこんな苦手を抱えていないだろうか。

 なんとか苦手を克服させてあげたくて「がんばって!」と声をかけたり、繰り返し練習させたりしているけれど、なかなかうまくいかない…そんな悩みを抱えたパパ&ママのみなさん、お子さんの苦手の背景にはもしかすると「視覚機能の問題」があるのかもしれない。

『新装版 発達障害の子のビジョントレーニング 視覚を鍛えて読み書き・運動上手に!』(講談社)の監修者・北出勝也先生によれば「視覚機能の問題がある子は、ほかの子と同じようにものを見ることが難しい」とのこと。文字が重なって見える、距離がつかめない、動くものが追えない、ものの形をうまく書き写せないなど苦手の出方はさまざまだが、「本人の努力不足」「なまけている」などと思われて見過ごされてしまうことが多いというのだ。

advertisement

 本書によれば「視覚」とは「視力によって鮮明にとらえることができた映像に対し、認知機能によって意味を持たせたり、その情報をもとになんらかの行動を起こさせたりする役目があるもの」のこと。一般的な視力のよしあしもそのひとつで、ほかにも視野や眼球運動、ピント調節、視空間認知、眼と体の協応などの機能が関係しており、それらがうまく発達していないと学習障害やスポーツの苦手などにつながってしまうことがあるという。

 ここでまず安心してほしいのは、こうした視覚機能の問題は「ビジョントレーニング」で改善がのぞめる可能性があるということ。中には家庭で楽しく、特別な器具も使わずにトライできるものがあり、本書はそうしたトレーニングを厳選して紹介している。

新装版 発達障害の子のビジョントレーニング 視覚を鍛えて読み書き・運動上手に!P52~53

新装版 発達障害の子のビジョントレーニング 視覚を鍛えて読み書き・運動上手に!P60~61

 このほかにも視覚機能のしくみや原因の解説、専門医へのコンタクトの取り方なども詳しく取り上げ、見え方の違いに悩むお子さんと保護者にやさしく寄り添ってくれる本書。「はじめてでもわかりやすい入門書」として100ページでポイントはしっかり押さえ、手に取りやすく読みやすいのがうれしい。

新装版 発達障害の子のビジョントレーニング 視覚を鍛えて読み書き・運動上手に!P38~39

 もしもこの記事を読んで、なんとなく不安を感じたという方は、以下のチェックリストで日頃のお子さんの状況を確認してみてはどうだろう。「見え方の問題」は普通に見えている人にはなかなか理解しにくいだけに、こうしたリストをもとに「観察する」ことで子どもの困難に気づいてあげられるかもしれない。

新装版 発達障害の子のビジョントレーニング 視覚を鍛えて読み書き・運動上手に!P24~25

 ちなみにこうした視覚機能について、欧米には「オプトメトリスト」という国家資格を持った専門家がおり、本書の監修者である北出先生も米国オプトメトリードクターだというが、日本ではまだまだこれから。とはいえ海外で勉強した専門家の活動が次第に広がりつつあるといい、今後の展開に期待したい。あわせて子どもに関わる多くの大人たちが、こうした本で「見え方の問題」についての基礎知識を得ておくのも大切なことだろう。

文=荒井理恵

あわせて読みたい