沖縄が舞台の今期朝ドラ『ちむどんどん』。４きょうだいのパーソナリティから、沖縄編を振り返る

　4月にスタートした、NHK朝の連続テレビ小説『ちむどんどん』。今年、返還50年となる沖縄が舞台です。主人公・比嘉暢子（黒島結菜）の幼少期から高校時代までを描く沖縄編のメインキャストは、暢子を含む比嘉家の4きょうだい。4人のパーソナリティをひもときながら、沖縄編を振り返ります。

料理のことを考えるだけで“ちむどんどん”する、主人公・暢子

　本人も沖縄県出身の黒島結菜さんが演じる、本作の主人公・比嘉暢子。ちいさな頃から食べること、料理を作ることが大好きで、父亡きあとの、一家の料理番を担います。性格はとにかく快活。シークワーサーをかじったときの、屈託のない笑顔が印象的です。そこらの男子には負けないくらいの俊足で、母親についてからかわれたときは、小学生ながらに高校生に立ち向かっていくという度胸のある一面も。また比嘉家は、父を失った後にお金に困る日々を送り、“兄妹のうち誰かひとりをうちで預かる”と、東京の親戚から手助けを提案されることもありました。そのとき暢子は、自分も沖縄に留まりたいと思いながらも、他の三人の気持ちを察して、自ら東京行きを志願。家族のことを一番に考える、思いやりあふれる女の子でもあります。

比嘉家のムードメーカーかつトラブルメーカー・長男賢秀

　比嘉家の長男・賢秀、通称ニーニーは、喧嘩っぱやい比嘉家の「トラブルメーカー」です。小さい頃はせっかく買ってもらった自分の運動靴と長女・良子の体操着を豚小屋に置いてきて台無しにしてしまったことも。大きくなってからも、暢子の就職先の社長の息子と喧嘩になったり、詐欺に引っかかったりと、比嘉家のトラブルの原因になってしまっているところがあります。しかし、その喧嘩の原因の多くは誰かをかばうため。「比嘉家の長男は自分」と、ことあるごとに口にする賢秀は、人一倍家族想い・母親想いでもあるのです。父から買ってもらった、宇宙のパワーが集まるというスーパーバンドをずっと身につけているのも、賢秀なりの父への想いがあるからなのかもしれません。また、賢秀は周りの人を笑顔にする、お調子者な一面も。暢子が「北部産業まつり」に沖縄そばのお店を出店したときも、大きな身振り手振りの呼び込みでお客さんを集めました。今のところ頼りない場面が目立つ賢秀がこれからどう変化していくのか、楽しみです。

長男に代わって比嘉家を支えるしっかり者・長女良子

　そんな頼りない（？）賢秀に代わって比嘉家を支えるのが、長女・良子。小さい頃からしっかり者の努力家、教師という夢を叶えて小学校の先生として働いています。賢秀をたしなめ、短大時代からアルバイトして家にお金を入れて……と真面目に生きてきた良子。その美しさから、学生時代はマドンナ的存在だったとのことですが、恋には奥手なようで、家族に内緒でおしゃれをして好きな人とフォークダンスを踊る、という可愛らしい一幕も。そんな良子を演じるのは、川口春奈さん。小さい頃からモデルにお芝居にと幅広く活躍し、2020年には大河ドラマ『麒麟がくる』に出演。昨年は注目ドラマ『着飾る恋には理由があって』で主演を務め、年末の紅白歌合戦では司会もこなすなど、大活躍しました。川口さんは、意外にも今作が朝ドラ初出演。生真面目で、怒っていてもどこかかわいらしい良子のキャラクターは、川口さんのイメージにもぴったりです。

引っ込み思案だけど実は図太い？　比嘉家の末っ子・歌子

　小さい頃から音楽が好きで、父に楽器を教えてもらっていた歌子。熱を出す体質は高校生になっても変わらず、思いを寄せる幼なじみの砂川智（前田公輝）にも上手くアプローチできず、と病弱で大人しい印象がありますが、一方では意外と図太い（？）一面も。演じている上白石萌歌さんは、3月まで放送されていた朝ドラ『カムカムエヴリバディ』で主人公・安子を演じた上白石萌音さんの妹であり、大ヒットドラマ『義母と娘のブルース』や大河ドラマ『いだてん』などに出演。現在は、日本テレビ系ドラマ『金田一少年の事件簿』にも出演しています。またドラマ内でも音楽教師・下地（片桐はいり）に「あなたの才能を世に出すために私は音楽教師になった」と言われるほど注目されている歌声は素晴らしく、上白石さん本人も「adieu」名義で歌手として活動し、映画『ナラタージュ』の主題歌などを歌っています。これから歌子が、どう音楽の才能を開花させるのかにも注目です。

　家族の絆が描かれた沖縄編。公式ページによると、上京した暢子は、大好きな料理を仕事にしていくとのこと。４きょうだいが、これからどうお互いに影響していくのか。今後の展開から目が離せません。

文＝原智香