SUPER BEAVER渋谷龍太のエッセイ連載「吹けば飛ぶよな男だが」/第14回「美味しそうに食べる人」

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公開日:2022/8/27

 さて、この話の軸足が一体どこにあったのかわからなくなってきたので、今までの話の答えらしきものの一端になると信じて、そしてこの話を強引に帰結させるために、私のベストオブ美味しそうに食べる人を発表しておくことにする。

 数々のグルメ番組や、私事でご一緒させて頂いた数々の方も思い浮かびましたが、やはり一番は私が小学生の時分から不動でした。

 永谷園のコマーシャルより、「あさげ、時々めし」の人です!

 本来ならピンと来た人とだけ肩を組んで朝まで語り合いたいところですが、知らない人も、某動画サイトとかで見られますので是非。

 大変恐縮ですが当時は子供であったため、出演されていた方の名前を存じ上げていませんでした。きちんと調べさせて頂いたところ、主演は松村雅史さんという方でした。

 失礼ながら上品とは言えないと思います。しかしながら、食べ方、食べるテンポ、食器の音、表情、何から何までが完璧なのです。正直、食べ物のコマーシャル史上これを上回るものに出会ったことはないかもしれない。

 卓には白飯と味噌汁のみ。演出もソリッドでネイキッド、淡々とすすむ数十秒の中でドラマはなし、ただ黙々と食べるだけ。だけどそこには食がもたらす本来の歓びと、生命という部分に直接訴えてくるような感動がある。潜在意識が体に直接訴えかけてくるのだ。食べるとは、そう生きること、生きるとは、そう食べること。

 ふんふん。

 幾分興奮してしまいましたが、とりあえずご飯美味しく食べられる人って素敵だよねって話でした。

 

 狙ってやるようなことではないが、私も松村雅史さんのように美味しそうにご飯を食べられる人間になりたい。作った人も、それを見ている人も皆、幸せな気持ちになってもらえるだろうから。

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しぶや・りゅうた=1987年5月27日生まれ。
ロックバンド・SUPER BEAVERのボーカル。2009年6月メジャーデビューするものの、2011年に活動の場をメジャーからインディーズへと移し、年間100本以上のライブを実施。2012年に自主レーベルI×L×P× RECORDSを立ち上げたのち、2013年にmurffin discs内のロックレーベル[NOiD]とタッグを組んでの活動をスタート。2018年4月には初の東京・日本武道館ワンマンライブを開催。結成15周年を迎えた2020年、Sony Music Recordsと約10年ぶりにメジャー再契約。「名前を呼ぶよ」が、人気コミックス原作の映画『東京リベンジャーズ』の主題歌に起用される。現在もライブハウス、ホール、アリーナ、フェスなど年間100本近いライブを行い、2022年10月から12月に自身最大規模となる4都市8公演のアリーナツアーも全公演ソールドアウト、約75,000人を動員した。さらに前作に続き、2023年4月21日公開の映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』に、新曲「グラデーション」が、6月30日公開の『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』の主題歌に新曲「儚くない」が決定。同年7月に、自身最大キャパシティとなる富士急ハイランド・コニファーフォレストにてワンマンライブを2日間開催。9月からは「SUPER BEAVER 都会のラクダ TOUR 2023-2024 ~ 駱駝革命21 ~」をスタートさせ、2024年の同ツアーでは約6年ぶりとなる日本武道館公演を3日間発表し、4都市9公演のアリーナ公演を実施。さらに2024年6月2日の東京・日比谷野外音楽堂を皮切りに、大阪、山梨、香川、北海道、長崎を巡る初の野外ツアー「都会のラクダ 野外TOUR 2024 〜ビルシロコ・モリヤマ〜」(追加公演<ウミ>、<モリ>)開催する。

自身のバンドの軌跡を描いた小説「都会のラクダ」、この連載を書籍化したエッセイ集「吹けば飛ぶよな男だが」が発売中


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