【3月1日発売!「吹けば飛ぶよな男だが」収録の書き下ろしエッセイより特別先行公開!】 SUPER BEAVER渋谷龍太のエッセイ連載「吹けば飛ぶよな男だが」/第20回「私の頭の中のキムタク」

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公開日:2023/2/27

「ってなことを」

「いやいや」

「恐縮ながら書かせていただいたんです」

「そんなことないって」

「勝手にすみません」

「だってさ」

 そして笑いながら、自分がチャックを開けっ放しにしていた時のエピソードを気さくに話し、重ねて、洗顔時に左手の小指が鼻の穴に入っちゃうエピソードも話してくれた木村さん。でも、それを聞かされて尚、私の中の完全無欠のイメージが全く崩れなかったのには、自分でも驚いた。

「来てくれてありがと」

 こんな風に最後に、自分より全然年下のバンドマンにこんなこと言えちゃうんだもん。そりゃかっこいいわ。

 思想、努力、あと生々しい話、ポテンシャルも。

 積み上げてきたものの表面化がその人だ。

 そんなことを思った。

 改めて。

 こちらのセリフです、ありがとうございました。

 

 ラジオの帰り道、私は頭の中のキムタクに話し掛ける。

「ねエ、キムタクもこんなこと考えたりするの?」

 キムタクは答える。

「いや、話し掛けるのはナシっしょ。俺イメージだし」

「そっか、ごめん」

「今度直接聞いてみたら」

「あ、うん、そうするね。ありがと」

 

 木村さん。是非また今度。うす。

SUPER BEAVER渋谷龍太

<第21回に続く>

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しぶや・りゅうた=1987年5月27日生まれ。
ロックバンド・SUPER BEAVERのボーカル。2009年6月メジャーデビューするものの、2011年に活動の場をメジャーからインディーズへと移し、年間100本以上のライブを実施。2012年に自主レーベルI×L×P× RECORDSを立ち上げたのち、2013年にmurffin discs内のロックレーベル[NOiD]とタッグを組んでの活動をスタート。2018年4月には初の東京・日本武道館ワンマンライブを開催。結成15周年を迎えた2020年、Sony Music Recordsと約10年ぶりにメジャー再契約。「名前を呼ぶよ」が、人気コミックス原作の映画『東京リベンジャーズ』の主題歌に起用される。現在もライブハウス、ホール、アリーナ、フェスなど年間100本近いライブを行い、2022年10月から12月に自身最大規模となる4都市8公演のアリーナツアーも全公演ソールドアウト、約75,000人を動員した。さらに前作に続き、2023年4月21日公開の映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』に、新曲「グラデーション」が、6月30日公開の『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』の主題歌に新曲「儚くない」が決定。同年7月に、自身最大キャパシティとなる富士急ハイランド・コニファーフォレストにてワンマンライブを2日間開催。9月からは「SUPER BEAVER 都会のラクダ TOUR 2023-2024 ~ 駱駝革命21 ~」をスタートさせ、2024年の同ツアーでは約6年ぶりとなる日本武道館公演を3日間発表し、4都市9公演のアリーナ公演を実施。さらに2024年6月2日の東京・日比谷野外音楽堂を皮切りに、大阪、山梨、香川、北海道、長崎を巡る初の野外ツアー「都会のラクダ 野外TOUR 2024 〜ビルシロコ・モリヤマ〜」(追加公演<ウミ>、<モリ>)開催する。

自身のバンドの軌跡を描いた小説「都会のラクダ」、この連載を書籍化したエッセイ集「吹けば飛ぶよな男だが」が発売中


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