森永卓郎さんに聞いた!投資は始めたほうがいい!? 70歳までのベストな貯金額を教えてください/モリタクさんの「お金の話」もりだくさん!②

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更新日:2024/4/24

モリタクさんの「お金の話」もりだくさん!

Q.50年後、どのくらいの貯金があればかなり楽して(好きな趣味や習い事などをしながら)生活できるでしょうか。投資は早いうちから始めておいたほうがいいでしょうか?(OW、20代、大学生、女性)

 2019年に金融庁が「高齢社会における資産形成・管理」という報告書を発表しました。その報告書のなかで、「老後を年金だけで暮らすためには、65歳の時点で2000万円が必要」という表現があったため、大きな論争を巻き起こしました。

 報告書の推計は、きわめてシンプルなものです。現在、無職の高齢2人暮らし世帯は、収入が21万円に対して支出が26万円と、月5万円の赤字となっています。この赤字を65歳から95歳までの30年間積み上げると、2000万円近い赤字になるので、それに相当する資産を持っておく必要があるというものです。

 ただ、私はこの試算は甘いと思っています。一つの理由は、95歳で死ぬとは限らないことです。厚生労働省の予測では、1975年生まれの場合、100歳まで生き残る確率が、男性6%、女性20%になります。つまり、もっと長生きするリスクがあるのです。もう一つは、年金が今後大きく削減されていくことです。現在の65歳支給開始を守る限り、近い将来、公的年金の給付水準はいまより4割も減少するのです。

 そうしたことを考えたら、いまの高齢者と同レベルの暮らしをするためには、65歳時点で5000万円程度という、ほとんど実現不可能な貯蓄を持つ必要があります。

 投資で増やせばよいと思われるかもしれません。ただ、私は、いま株式や株式を含む投資信託に投資することは、お勧めしません。それはいまの株式相場がバブルになっているからです。いつバブルがはじけるかは分かりませんが、一度バブルがはじけると大きな損害が出ます。1929年のバブル崩壊で、ニューヨークダウは3年弱で10分の1になりました。むしろ、いまとても安いのはアメリカの超長期国債です。もちろん値動きはありますが、満期まで所有し続ければ、元利は確定で返ってきます。ネット証券で簡単に買えます。まだお若いので、いま投資をするのであれば、それが一番有利だと私は考えています。

<第3回に続く>

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