この話、前にも聞いた…。怒らせずに「グルグルトーク」を止める方法/すぐに使える! おもしろい人の「ちょい足し」トーク&雑談術

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公開日:2024/1/1

 グルグルトークをやんわり止めるには、グルグルトークにすごく興味を示すこと。興味を示した上で、今話している内容ではなく、2~3個くらい前の話題のことを質問してみましょう。

 話し手はこれから話そうと思っていた内容と違うことを聞かれたので、頭の中を一度リセットする必要が出てきます。話し手としてはギクシャクするので、ペースが乱れます。通常であれば不快感を示すところです。

 ここで大前提の「すごく興味を示すこと」が活きてきます。自分の好きな話題や自分が話したい内容に興味を持ってくれているので、トークの流れを阻害された違和感はあっても、不快感までは行きにくいのです。

 これを2~3度繰り返した後に、

 

 「本当に面白いですね。あ、話の腰を折ってしまって、すみません。どうぞお話を続けて下さい」

 

 と切り出すと、たいていの場合、話のリズムが乱れた後なので勢いはなくなっています。「えーと、何の話だっけ?」となったところに、「そういえば、○○の話でしたね」と次の話題を提示すると、割と高確率でグルグルトークを止めることができます。

 

●部長のグルグルトーク

部長「業務の効率化を行うには、先を読む力が大事なんだよ。流れを把握して、その流れに逆らわないように最善の手を打つ。これが大事なんだなぁ。この前の日曜日も千葉国際カントリー倶楽部にゴルフに行ったんだけどね、その8番ホールでラフに打ち込んでしまったんだよ。グリーンを狙いたいんだけど森の木々が邪魔してグリーンを直接狙えないんだ。ここは無理する局面じゃないと判断した私は流れに逆らわず、まずはフェアウェイに戻すことを考えたんだ。でも、ただ戻してもつまらないから、私は考えたんだ…」

 

●ダメな受け答え

部下「部長、ゴルフの話ではなくて業務の効率化の話をお願いします。」

部長「あぁ、わかっているよ。業務の効率化だろ。つまり、先を読むというのは…」

 

●一見、良さそうだけど、グルグルトークを助長してしまう受け答え

部下「で、どうなったんですか? そこで部長は、どんな一手を繰り出したんですか?」
部長「いつもはまっすぐ打とうとしても力むと左に曲がってしまうんだが、この時は、あえて力んでみたんだ。いうなれば意図的に左に曲げたんだな。するとどうなったと思うかね? 緩やかに左にカーブするフェアウェイにものの見事に乗ったんだよ。今目を瞑ってみてもあの時のゴルフボールの鮮やかな起動がくっきりと目に浮かぶようだよ。そして、見事フェアウェイに乗ったボールは…」

 

●グルグルトークを止めるインターセプトアドリブの受け答え

部下「うわ、ドキドキしますね。部長が行かれたのは千葉国際カントリー倶楽部ですか?」
部長「あ、あぁそうだよ」
部下「あそこはなかなか手強いと聞いたことがあります。部長はよく行かれるんですか?」
部長「よく、というわけでもないが、まぁちょくちょくは行くね」
部下「やっぱりラフに打ち込んでしまったときには、部長ほどの方でも焦ったりするんですか?」
部長「まぁ、焦るというか…しまった! とは思うよね」
部下「何番のクラブを選択したんですか?」
部長「たしか……5番アイアンだったかな」
部下「ピンチになっても機転で切り抜ける。プライベートであっても色々と学びを得るなんて、本当にすごいですね。あ、すみません。話の腰を折ってしまって。お話を続けて下さい」
部長「あ、あぁ。えーと、何の話だったかな」
部下「効率化には先を読むのが大切というお話でしたよね。今回の効率化では具体的にどう先を読んだ行動をすればいいのですか?」
部長「今回のことに話を戻すと…」

 

 このグルグルトークを止める、少しずつ話の話題をずらしていきながら相手のペースをリセットさせる「インターセプトアドリブ」の話を、農林水産省で開催された「農業女子のためのコミュニケーション講座」で披露したんです。すると、この問題でちょうど悩んでいる方がいらっしゃいました。

 

 「取引先の農家のおばあちゃんの話が長くて困ってたんです。おばあちゃんのことは大好きですし、話も面白いのですが、次の仕入れ先に行かなくちゃいけないし…」

 

 その方は私のインターセプトアドリブを知り、「これはいい話を聞いた」と大変喜んで下さいました。地元に戻って「早速実践しました」とメールで連絡を頂きました。

 

 「早速実践して下さったんですか! どうでしたか?」
 「どうやらおばあちゃん、耳がかなり遠いようでして。こちらが何を言ってもペースは変わらず、話は続いていきました」

 

 ……さすがに、そこまでは想定していませんでした。

 

<第5回に続く>

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