「あの人、生理的に無理」と思ってもいいの? “嫌悪感”がもたらす意外な効果

ビジネス

公開日:2024/3/29

 日常でもビジネスでも、何かを「交渉」しなければならない場面が誰しもありますよね。でも中には「話すのが苦手」「言葉の駆け引きは避けたい…」という人もいるはず。

 『心理カウンセラー弁護士が教える 気弱さん・口下手さんの交渉術』は、そんな人にオススメの一冊です。本書ではあらゆる「交渉」の場面で使えるノウハウを紹介しています。

 駆け引きの準備から、話の聴き方、自分の意見の伝え方、相手に花を持たせるおさめ方まで!

 著者の保坂康介さんは心理カウンセラー資格をもつ弁護士。ご本人も口下手で、交渉の場では様々な苦労を経験してきたそうです。そんな著者が考え、実践し、成功を収めた交渉術を丁寧に解説していきます。

※本記事は書籍『心理カウンセラー弁護士が教える 気弱さん・口下手さんの交渉術』(保坂康介/日本実業出版社)から一部抜粋・編集しました

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心理カウンセラー弁護士が教える 気弱さん・口下手さんの交渉術
『心理カウンセラー弁護士が教える 気弱さん・口下手さんの交渉術』(保坂康介/日本実業出版社)

人を嫌ってはいけないというタブーを取っ払おう

 皆さんは、「好き嫌いがあってはいけない」とか「人を嫌ってはいけない」というように知らず知らずのうちに教えられてきませんでしたか。

 親からかもしれませんし、学校で教えられたのかもしれません。あるいは先人の教えから知らないうちにインストールされたのかもしれません。

 一方で、特定の何かや、特定の誰かのことがどうしても好きになれない、ということは避けられないと思いませんか?

 「生理的に受け入れられない」だったり、「その人の顔、話し方、仕草、服装、人生観が好きになれない」だったり。ある意味仕方のないことですよね。

 にもかかわらず、特定の何かや人を嫌うことは何となくタブーとされがちですし、とくにマジメな方は「自分なんかが自分以外の何かや人を嫌っていいのだろうか」というように、自己卑下をしてしまう傾向があります。

 このような「嫌ってはいけない」マインドは、交渉の場になると「他人優先」マインドに変貌し、相手の提示を断ってはいけないとか、受け入れなくてはいけないという心境になってしまいがちです。

 こうしたマインドがあると、自分の意思や希望を交渉に反映させにくくなりますから、避けなくてはいけません。

 思うに、特定の何かや特定の人(人の特徴)を嫌ってはいけないと自分に禁止するというのは、自分が本当に感じていることにフタをしてしまうことです。思いきり自己否定になってしまいますし、自分に嘘をついていることにもなります。

 すると、自分の本当に求めているものが何なのかにも気づきにくくなってしまうのです。

 ところで、ここまで使ってきた「嫌う」という言葉の響きは、少し語感が強い気がします。ですからこう言い換えてみませんか?

 「自分には合わない」と言い換えてみるのです。

 実際に、本当のところは、「その人そのもの」を嫌いなのではなく、「その人の持っているある特徴が自分には合わないから嫌だ」ということでしょうから、「自分には合わない」という言葉がマッチするんじゃないでしょうか?

 そのものや人に備わっている特徴が、そのときの自分の感覚には合わないというだけのことです。

 気をつけてほしいのは、「自分に合わないモノやコトには触れるな」とか「自分と合わない人とはつき合うな」と言っているわけではない点です。

 あくまで「これは嫌」「あれは自分には合わない」という自分の感覚・感情をわかっていて、そのうえで「合わないモノやコトに触れるか、遠ざけるか」「合わない人とつき合うか、離れるか」を自らが選択できるようにしておくのが大事ということです。

 もしあなたが「嫌ってはいけない」とか「好き嫌いはよくない」という思い込みが強いと思うなら、日常生活の中で自分がどんなことに嫌悪感を覚えているのか、どんなことが自分にとって不快なのか、どんなことが苦手なのかに敏感になってみてください。

 できれば30個から50個くらいリストアップしてみることをお勧めします。

 どんなに小さいことでもかまいません。できれば理由つきのほうがいいですね。

 「〇〇のことが▲▲だから嫌だ!」というようにです。例えば、「〇〇さんは、その仕草が不気味で怖くて嫌だ」とか、「△△さんの話し方は、とても速いスピードで丸め込まれそうで怖いから嫌だ」といった感じです。

 このリストアップをすると自己嫌悪に陥ってしまうような部分もあるかもしれません。

「自分ってこんなことを嫌に思っていたんだ?」と目を覆いたくなるようなこともあるかもしれません。でも、それらも自分の一部として認めることが大切です。

 大事なことは、相手やモノに矛先を向けるのではなく、あくまで自分の中で起こった「嫌」という感覚に目を向けることです。「あ、自分はこういうことが嫌だったなー」というように、自分を少し上から俯瞰するというか、見下ろすイメージです。

 このように「誰かを嫌な自分」「何かを嫌な自分」というものを受け入れられるようになり、許せるようになると、より選択の幅が広がっていきます。

 自分が好きなほうを選択できますし、「こういう部分は嫌だけど、あっちの部分ではメリットがあるから今回はあえて選ぼう」というような選択もできるようになります。

 すると交渉にも、より豊かなマインドで向き合うことができるようになるのです。

ここがポイント 交渉相手が好きでも嫌いでもいい

サムネイル画像提供:PIXTA
<第3回に続く>

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