“経営の神様” ドラッカーを一気におさらい!【連載】第7回『企業とは何か』がざっとわかる

ビジネス

2018/9/28

『経済学の名著50冊が1冊でざっと学べる』(蔭山克秀/KADOKAWA)

『国富論』(アダム・スミス)、『資本論』(マルクス)などの古典名著から、『クルーグマン教授の経済入門』(クルーグマン)、『21世紀の資本』(ピケティ)といった現代のベストセラーまで、ビジネスエリート必須の教養を、まるごとつかめる『経済学の名著50冊が1冊でざっと学べる』が好評発売中です。一度は読んでみたい名著の内容が、とてもわかりやすい解説で、すぐに頭に入ります!

巨大企業GMへの批判から生まれた1冊

 ドラッカーは、一時期日本でもブーム的に知られた経営思想家だ。彼の場合、経済学者というよりも「企業とは?」「経営とは?」を訴えてきたジャーナリスト・マネジメントの専門家としてよく知られている。

 オーストリア系ユダヤ人として生まれたドラッカーは、ナチスの台頭に危険を感じ、大学卒業後に渡英。ロンドンで証券アナリストとして働いた後、アメリカへ移住した。この頃から文筆活動を始め、『断絶の時代』を始めとするベストセラーを量産し、企業論・経営論の論客として不動の地位を築いた。

 ナチスを嫌ってアメリカへ移住した彼が見たものは、巨大企業だった。彼はジャーナリストとして、まずGMから経営状況を内部分析するための取材を依頼されたが、GMの官僚主義的な経営方法を批判し、激怒された。しかし彼は、その経験をもとに『企業とは何か』を書き、「マネジメント(=組織運営のノウハウ)」の重要性を世に知らしめた。

 それがGMのライバル・フォードから絶賛され、その後同書はフォード再建の教科書となり、彼はフォードのコンサルタントとなった。こうして彼は、「マネジメントの専門家」として、広く知られるようになったのだ。

社長の心をつかむ名言が多い!

 しかし、ドラッカーが今も根強い人気を誇る理由は、それだけではない。社長心をくすぐるのがうまいのだ。実はこの人、企業の社長が好みそうな名言を、数多く残している。何というか「社長の名言集」みたいな人なのだ。

「決断の場面においては、トップは常に孤独である」

「他人の短所が目につきすぎる人は、経営者には向いていない。長所を見よ」

「対人関係のポイントは〝話し上手〞ではない。“聞く力”だ」

「変化はコントロールできない。できるのは、その先頭に立つことだ」

 おお! これは社長しびれるな。これでは創業者タイプの社長も、自身の経営理念などなく名言集をあさるのが大好きなタイプの薄い社長もイチコロだ。

 他にもドラッカーは、「企業の社会的責任」(CSR)や「知的労働者」「民営化」などの新しい概念を次々と打ち出した人物としても知られている。

 ちなみに、2013年、日本では『もしドラ』(『もしも高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』)が、累計200万部の大ベストセラーとなった。女子高生との異色の組み合わせに、オタク心をくすぐる表紙で200万部、うらやましい……。

〈プロフィール〉
蔭山克秀●早稲田大学政治経済学部経済学科卒。代々木ゼミナール公民科講師として、「現代社会」「政治・経済」「倫理」を指導。最新時事や重要用語を網羅したビジュアルな板書と、「政治」「経済」の複雑なメカニズムに関する本格的かつ易しい説明により、「先生の授業だけは別次元」という至高の評価を受けている。