引越や年越で「そば」を食べる理由は? 【知らないと恥ずかしい年末年始のしきたり】連載第1回

暮らし

2018/12/30

『日本人のしきたりいろは図鑑』(トキオ・ナレッジ/宝島社)

 日本には豊かな四季があります…といわれていても、毎日そのうつろいを意識するのは難しいもの。そんな現代人にとって、季節の変化やそれに伴う行事・しきたりをもっとも身近に感じるのが、年末年始シーズンではないでしょうか?

 大掃除や初詣、なんとなく決まりごとのように毎年やっているけれど、「これ、なんで?」と感じる素朴な疑問について、イラスト付きで分かりやすく説明してくれるのが『日本人のしきたりいろは図鑑』(トキオ・ナレッジ/宝島社)。知ると奥が深い一節一節をご紹介します。

■引っ越しそばの由来は江戸っ子ならではのシャレ? (本書83ページ)

 年末にテレビで紅白歌合戦を見ながらすするものといえば、年越そば。そして同じくそばが主役の出番といえば、「引っ越しそば」が定番です。かつて江戸時代には、引っ越した人がその日に食べるだけでなく、新しいご近所への挨拶の品としてもそばが重用されていました。

『日本人のしきたりいろは図鑑』(宝島社)83ページ

 なぜ「そば」なのかというと、「側(そば)」に越してきたことを掛けた語呂合わせ説や、今後とも「細く長く」お世話になりますという意味をかけた連想説、あるいは金粉を扱う職人がその散らばった残りをそば粉でくっつけて集めていたので金運にちなんで、という説もあるそうです。いずれにしても験担ぎ(げんかつぎ)に熱心な江戸っ子らしい「シャレ」の効いたしきたりですね。

 本書では、この他にも食文化だけでなく冠婚葬祭や季節の行事など、知っていないとふとした折に恥ずかしい思いをしてしまいそうな、「日本のしきたり」がぎゅっと凝縮されています。「一富士・二鷹・三茄子が縁起が良い理由は?」などなど、ページをめくるだけで楽しく和のマナーを身につけられる1冊を手元に置いて、知的に充実した新しい1年を送ってみては?

文=田坂文