ゾウの長い鼻の秘密! 実は、鼻だけじゃなかった… /『カメの甲羅はあばら骨』③

スポーツ・科学

2020/1/27

もし人間の骨格の一部が動物のものだったら…

「えっ! カメの甲羅って人間のあばらなの? 」
「フラミンゴの逆に曲がった膝の部分は人間でいう足首!? 」

図鑑や動物園の解説でなんとなく知ってはいるけど、いまいちピンとこない動物の体のしくみ。そんな動物の体の構造を、私たちヒトのからだを無理やり変形させることで、わかりやすくしてみました。

『カメの甲羅はあばら骨 ~人体で表す動物図鑑~』(川崎悟司/SBクリエイティブ)

ゾウ 哺乳類(陸上)

 長い鼻が特徴のゾウ。ゾウのあの長い鼻は鼻だけでなく、実は上唇もいっしょに長く伸びたものです。この長くなった鼻と上唇で、呼吸だけでなく、水を鼻の中に吸い込んで、口に運んで飲んだり、食べ物をつかんだりします。また長い鼻の先には突起があり、これを指のように使うことで、小さなものをつまんだりもできます。

いろいろな機能を持つゾウの鼻

 上唇といっしょに細長く伸びたゾウの鼻。この長い鼻は筋肉でできていて、骨や関節がありません。そのため、とても柔軟で自由自在に曲げたり伸ばしたりできるため、生活していくうえで、さまざまなことに役立てています。

 食べ物はもちろん、鼻の中に吸い込んだ水を口へ運ぶといった人間の手のような役割をします。【図①】また、長い鼻の先端の尖った部分が指のような役割を持ち【図②】、地面に落ちているピーナッツをつまんで口に運べるほど器用です。さらに、背が立たないほど深い川を渡って泳ぐときは長い鼻を持ち上げ、鼻先を水面から出して息をすることもできます。【図③】

 その他にもゾウは仲間とお互いの長い鼻を絡(から)ませて挨拶(あいさつ)する【図④】という社会的な行動も見られ、人間が子供の頭をなでたりするように、ゾウも長い鼻で子供の体にやさしく触れて、愛情表現する場面も見られるようです。

 そしてゾウは視力が弱い分、イヌにもわからないような、わずかな臭いを嗅ぎ分けられる優れた嗅覚を持っていて、遠い場所の食べ物や水場を探ったり、危険を察知したりしているといわれています。ゾウにとって、その長い鼻は本来の機能の他に、手の代わり、仲間とのコミュニケーションツール、優れたセンサーとさまざまな役割を持ち、生きていくうえでなくてはならない器官なのです。

ゾウの鼻はなぜ伸びたか

 ゾウはなぜこれだけ長い鼻を持つようになったのでしょうか。もっとも原始的なゾウは、未だはっきりとはしていませんが、ゾウ類最古の祖先と長いあいだいわれて来たのが、モエリテリウムです。モエリテリウムは、現在のゾウのような長い鼻を持っていませんでした。【図①】

 モエリテリウムはおおよそ3500万年前の大昔に生息したブタ程度の大きさの動物でした。長い胴体と短い足というカバに似た体形で、現在のゾウの体形とは程遠いものでした。カバやバクのように水辺などで暮らし、柔らかい水草などを食べていたようです。その後、ゾウの仲間は進化の過程で、体が大型化しました。足が長くなり、背が高くなるにつれて、長い鼻を持つようになりました。

 なぜ鼻だけが長くなったのでしょうか。ゾウの仲間の特徴に牙の発達や、巨大な臼歯(きゅうし)、巨大な頭骨(とうこつ)が挙げられます。これらの特徴からゾウの頭部はたいへんな重量となるため、首を伸ばしたり、前足を曲げて跪(ひざまず)き、地面まで口をもっていったりして、食事をするのは、無理がありました。

 そこで、地面まで届くように鼻をホースのように長く伸ばして、草を絡め取ったり、水を吸い上げたりするほうが、重たい頭部を動かさずに済んで効率的であったため、鼻が長くなる方向へ進化をしたと考えられています。【図②】

<第4回に続く>