【手書きPOP付】『ドラえもん』国民的マンガの幻エピソードが集結! 映画公開前に知っておきたい誕生の秘密

マンガ

公開日:2020/3/27

『ドラえもん 0巻』(藤子・F・不二雄/小学館)


 早くも4分の1が終わろうとしている2020年。ここで突然だが、クイズ! 大阪万博、トミカ、anan、これらに共通するのは? ――答えは、今年が開幕、発売、創刊いずれも50周年のメモリアルイヤーであるということ。そして、ここからが本題。2020年で50周年を迎える“国民的作品”がある。それが『ドラえもん』。連載開始から50周年なのだ!

 この記念すべき年を迎えるにあたり、2019年11月に衝撃作が発売された。『ドラえもん 0巻』(藤子・F・不二雄/小学館)。まさかの“0”ナンバー。気になる内容は、6種類の“幻の第1話”が一堂に集結するという。6種類の第1話…主に単行本でしか読んだことがない方には何のことだかわからないかもしれない。

 付録がよく話題になる『幼稚園』や『小学一年生』などの幼児・小学生を対象とした“小学館の学習雑誌”各誌に、かつてドラえもんは同時連載されていた。それぞれの第1話が、連載スタート時の6誌、つまり6パターン存在しているのだ。今考えると驚愕である。藤子・F・不二雄先生はその他にも連載を抱えていただろう。筆者は今まで約2万枚のマンガ作品の紹介POP(小売店などで展開される、紙媒体を主とした販促ツール)を書いてきたが、「1つのマンガ作品から6パターンのPOPを書いてくれ」といわれたら、私は即刻「NO!」である(無理だよ、そんなもん! 書けても2枚まで。でもおもしろいことはほぼ1枚目に書いちゃってる…)。まさに藤子・F・不二雄先生ならではの神ワザだ。

 話は戻るが、『ドラえもん 0巻』には、その“幻の第1話”が掲載時のカラーで再現されており、その他にも新連載予告カットや、ドラえもん誕生マンガまで、“全ての始まり”がこの1冊に詰まっている。

 ちなみに、この新連載予告カットがスゴい。特にその煽り文。今の言葉で言い換えれば、「ハードル爆上がり状態」だろうか。まさに作家が泣きつくレベルだ。その文言は、ぜひこの0巻で確認されたし!

 さて、今回本作を取り上げるにあたり、さらなる真実を求めて、神奈川県川崎市登戸にある「藤子・F・不二雄ミュージアム」へ行ってきた(あくまでも“取材”!)。そこではちょうどドラえもん50周年企画展を開催しており、幻の第1話の原画や当時の掲載誌(実物)の展示があった。特に各学年の読み比べのコーナーでは、「学年ごとで物語の難しさ」や「設定身長」が微妙に違うという事実を知り、驚きの連続。もちろんその内容は、幻の第1話が掲載されている0巻でも確認できる。
※3月27日現在臨時休館中(詳しくは公式サイトでご確認を)
 http://fujiko-museum.com/

 ミュージアムで鑑賞していると、ふとひとつの疑問が浮かび上がった。
「なぜ単行本1巻の第1話は、『小学四年生』のを採用したのか?」
後日私はその疑問を晴らすべく、小学館のカスタマーサポートへ問い合わせを試みた。しかも“ドラえもんをよく知る方”という指名つきで…。そして、担当の方からいただいた答えは以下の通りだ。

「のび太はだいたい小学4年生ということにし、『小学四年生』であることがわかる表現は残し、他の学年に読める(見えてしまう)場合は、ぼかしたり書き換えたりしています」

 どうやら「その話がベスト!」というわけではなく、キャラ設定上の理由で採用されたようだ。しかも、ここでも第1話が若干書き換えられているそうだ。ちなみに各巻の収録エピソードは、先生自身のセレクションだそうだ(のちに未収録エピソードを収録した『ドラえもん プラス』が刊行されている)。

 ここで紹介した他にも、尽きないほどの衝撃的真相が明かされるドラえもん0巻。パラパラとページを行き来しながら読み比べるのはもちろんのこと、単行本第1巻の第1話と見比べるのもこれまた楽しい。これから単行本を集めようという人には一番入りやすいタイミングかもしれない!

文・手書きPOP=はりまりょう