鋭い直感力を持ち、ひらめきが強いのがHSP!? /敏感すぎる自分を好きになれる本⑥

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2020/5/26

ちょっとしたことで過敏に反応してしまう…それは性格ではなく、性質のせいかもしれません。何事にも敏感に反応しすぎてしまうのが「HSP(Highly Sensitive Person)」の性質。
神経質、傷つきやすい、引っ込み思案…そういったことで生きづらさを感じている方向けに、気持ちがラクになれるヒントを医師が紹介します。『「敏感すぎる自分」を好きになれる本』(長沼睦雄/青春出版社)からの全6回連載です。

『「敏感すぎる自分」を好きになれる本』(長沼睦雄/青春出版社)

特徴③ 直観力があり、ひらめきが強い

考えなくても瞬間的に本質がわかる

 HSPに共通する特徴として、「すぐれた直観力を持っている」ということもあげられます。直観にはさまざまな意味がありますが、本書では、直観を「考えなくても瞬間的に本質がわかる機能のこと」と定義します。

 たとえば、会議で2つの案が出されたとします。それぞれの案を理解する前に、どちらが本質的にいいかピンとわかる人は、直観力が強い人です。また、社内で男女が、ただすれちがっただけなのに、それを見た瞬間に「あ、この2人は恋人同士だ!」と、なぜかピピッと感じる人がいます。その直観通り、半年後に2人はめでたく婚約したりするわけです。

 一般的に人は、いろいろな判断材料をもとに考えたうえで、結論を導き出しますが、直観力の働く人は、推測も判断も飛び越え、それらを「中抜き」して、いきなり結論に到達することができます。もちろん、間違えることもありますが、「HSPの直観は正しいことのほうが多い」とアーロン博士は、著書の中で述べています。

 それにしても、なぜ考えなくても、瞬間的に本質がわかるのでしょう。

 実は直観の働きと脳の仕組みは深く関係しています。私たちは、自分の中にある意識下の世界の中に、過去の膨大な記憶をすべて納めています。その膨大な量の記憶にアプローチし、その中から適切な情報を抽出して結論を導き出す機能が、直観だと私は考えています。

 1度起こした失敗を何度もくりかえさないようにすることができることからもわかるように、私たちはこれまでの人生で蓄積してきた記憶をさまざまに活用して、日々暮らしています。

 けれど、実はそれらの記憶は、実際に私たちが持っている記憶のごく一部、氷山の一角にすぎません。氷山の下の大海には、豊かな意識下の世界が広がり、そこには過去の膨大な記憶が眠っているのです。脳は1度でも見たり、聞いたり、触れたり、味わったり、嗅いだりしたものの記憶を決して捨てることはしません。脳にうっすらとでもその痕跡をかならず残し、そして、それらを意識下の世界に記憶としてしまい込んでいるのです。私たちの脳は消去不可能なメモリーを持っているわけです。

 そのため、意識下の世界には、これまでの、忘れたはずの記憶がぎっしりと詰まっています。それだけではなく、お母さんのお腹の中にいた頃の記憶もしまわれているはずですし、もっといえば、アメーバから38億年かけて進化してきた私たち人間には、その進化の過程で獲得してきたすべての遺伝子情報が、なに1つ捨てられることなく、刻まれているのです。

 これら、意識下の領域に沈んでいる記憶や情報を「潜在記憶」と呼びます。

 直観とは、ある状況に遭遇したとき、意識下の領域に蓄えられた膨大な潜在記憶の中から、その状況に関連した情報を瞬時のうちに選び出して答えを見い出す機能であり、鋭い直観力の持ち主は、おそらく意識下と意識の世界を自由に行き来できて、しかも、潜在記憶の中を検索することに長けた脳を持っているのでしょう。

直観力には、命を守る力もある

 20世紀を代表するフランスの写真家、アンリ・カルティエ=ブレッソンは数多くのスナップ写真を撮っていますが、どの写真も構図といい、アングルといい、完璧としかいいようのない作品です。昔、彼がテレビに出ていたのを見たことがあります。彼はシャッターを押すときに、まったく迷わないそうです。瞬間的に「ここだ!」と感じて、シャッターを押すと、完璧な写真が撮れてしまうのです。おそらく、意識下の世界からの鮮明な声を聞くことができるのだと思います。

 美に対する並外れた直観力にめぐまれていることは、すぐれた芸術家の条件です。そして、HSPの多くも鋭い直観力を持ち、第六感が働き、ひらめきもあります。HSPがクリエイティブで芸術的な仕事に向いているとよくいわれるのも、1つにはこのすぐれた直観力のためでしょう。

 ところで、HSPの中には、食べ物を口にしようとした瞬間に、なぜか嫌な予感がして、その食べ物が傷んでいることがわかる人がいます。これも鋭い直観力のなせるわざです。危険を察知する動物的で本能的な反応であり、進化の過程で獲得した生き物としての記憶を、意識下の世界から瞬時に取り出してきた結果だと思います。

 英和辞書で「instinct」という言葉を引いてみてください。①は「本能」とあり、次の②には「直観」とあるはずです。HSPの多くが誇る直観力は、命を守るための本能と「地続きの機能」とも考えられるでしょう。

HSPの中には「超能力的な力」を持つ人もいる

 HSPとひと口にいっても、その敏感さが現れる対象も、その程度も人によって異なります。私が診療の中で出会った、HSPの中でもさまざまな過敏さが複合している「超」過敏なレベルに属するような子どもたちは、幼児期から、だれにも教わらないのに人間や人生や命のことが直観的にわかったり、胎内や出産時の記憶があったり、生まれてからのことを詳細に覚えていたりしました。それだけではなく、前世の記憶を覚えていたり、生まれる前の中間世を思い出したり、幽霊や妖怪が見えたり、架空の友人がいたり、重要なときに導いてくれる声が聞こえたりする子どもたちもいたのです。ちなみに敏感な子、HSPの子どもをHSC(Highly Sensitive Child の略)と呼びます。

 疑り深い人だと、「そんなのはつくり話さ」とか「想像と現実の区別がつかなくなっているのだろう」「親から聞いた話を自分の記憶だと思い込んでいるだけ」などと言って、信じないかもしれません。

 でも、世の中には、5000冊の本に書かれている文章をすべて暗記していて、その5000冊の中にある文章のすべてを話すことができるという、とんでもない能力を持った人も現にいました。このことを思えば、胎内での様子をはっきりと覚えていることなど、驚くほどのことではないかもしれません。

 しかも、先ほどお話ししたように、脳は消去不可能のメモリーを持っているのです。 消去不可能なメモリーという事実から、このことは説明がつくかもしれません。つまり、お母さんのお腹の中の記憶も、赤ちゃんのときの記憶も意識下にしまってあって、普通はそれらの記憶が意識上に現れることはまずないわけですが、脳の一部がほかの人とわずかに違っているために、意識下の世界にあるはずの記憶が意識上にとどまりつづけ、「氷山の一角」に顔を見せているということも考えられるのです。

 また、日本はもちろん、世界中で大地震が起きるたびに、体が大地震を「予知」するかのように、具合が悪くなり寝込んでしまう超過敏なHSPの方もいます。「そんなの、ただの偶然でしょ」という声が聞こえてきそうですが、脳は五感の情報処理をするだけでなく、見えないエネルギーを情報処理する装置でもあるので、不思議なことではありません。

 たとえば、HSPの中には地上を飛び交う電磁波に反応して、体調を崩す人たちが少なくありませんが、これは電磁波というエネルギーを脳が処理した結果でしょう。

 WHO(世界保健機関)も、2005年に、科学的根拠は説明できないものの「電磁過敏症」の事実を認めています。

 地震に話を戻しますと、地震が発生する前に、なんらかのエネルギーが地上に放出されるのかもしれません。先に紹介したHSPの方の脳はそのエネルギーを感じ取ってしまい、そのせいで寝込んでしまう可能性も考えられます。いずれにしても、HSPの中にはその過敏さゆえに、五感を超えたさまざまな感覚を持っている超能力的な人たちがいるということまでは、否定できないのではないでしょうか。

 科学が解明しているのは、いまだごく一部の真実でしかありません。それなのに、超感覚の存在を科学で説明できないとして、頭ごなしに否定することは、目に見える物質を超えた働きや機能を謙虚に見ようとしない傲慢(ごうまん)な態度に思われてなりません。

【この続きは本書で】

この記事で紹介した書籍ほか

「敏感すぎる自分」を好きになれる本 (青春新書プレイブックス)

著:
出版社:
青春出版社
発売日:
ISBN:
9784413211567