「コミュ力が高い=仕事ができる」ではない!? 元人事部新卒採用担当が語る、喋る能力で見極めない選考方法/コミュ力なんていらない④

ビジネス

公開日:2020/11/5

初対面の人と話すのが苦手だ、大勢いる場だと人見知りをして話せない…「自分にはコミュ力がない」と悩むすべての人へ。コミュ力が低くても仕事で成果を出す方法や、人間関係が楽になる術を厳選してご紹介します!

コミュ力なんていらない 人間関係がラクになる空気を読まない仕事術
『コミュ力なんていらない 人間関係がラクになる空気を読まない仕事術』(石倉秀明/マガジンハウス)

コミュニケーション能力の高さと仕事の成果は関係ない。

「コミュ力の高さ」と「仕事の成果」って、一見すると相関関係にあるように思われますが、実は何も関係ないと思うんですね。

 というのも、リブセンスに在籍しているときに出会った僕が一番仲がいいと思っている友人は、類い稀な「コミュ力」の持ち主で、芸人のようによく喋って初対面の相手でも物怖じしません。

 あるとき渋谷で飲んだ帰り道、スクランブル交差点で信号を待っている間に隣に立っていた知らない人に声をかけ、仲よくなってそのまま飲みに行ってしまうなんてこともありました。

 またあるときは、何の面識もない僕の妻にFacebook の友だち申請をして、僕の知らないところで親交を深めていたことも。彼の論理では、〝友だちの友だちは、友だち〟というわけです。

 そんないかにも営業が得意そうな彼ですが、成績だけで言えば僕のほうが上でした。

 

 リクルート時代もそうでした。

 宴会で場を盛り上げるのが上手な人、毎日9時から行われる朝会の最後に気の利いたジョークを言える人、そういうコミュニケーションが得意な人がたくさんいました。でも、営業担当者として高い成果を出し続けられるかというと、そうではなかった。

 また、空気が読めたり、懐に入るのがうまかったり、察するのがうまい人ともたくさん出会いました。でも、空気が読めず、懐に入るのが苦手で、察することもできない僕の営業成績を一度たりとも上回ったことはありません。

 僕は人事として、いろいろな事例を比較してきましたが、同じような結果でした。

 多くの社会人は、就活生に向けて「営業はコミュ力を鍛えないと!」と口を揃えて言います。でも、それは仕事に必須の能力ではありません。

「コミュニケーションができる、できない」と「仕事ができる、できない」は切り分けて考えるべきなのです。

 

 そのことを強く意識したエピソードをひとつ。

 僕はDeNAに在籍していたときに人事部で新卒採用を担当していたのですが、選考の際に重視していた能力のひとつに「論理的思考力」がありました。

 DeNAの一次面接は、グループディスカッションです。ここで論理的思考力を試すために、「フェルミ推定」を用いた課題を出していました。

 ここでおもしろかったのは、すごくうまく喋っているのに仮定から結論までが破綻している人、うまくしゃべれないけれど「君はどう思ったの?」と質問をして掘り下げていくと「天才か!」と驚くような返しをしてくる人……、いろんなタイプの人を見られたことです。

 その経験則から、グループディスカッションにおいてうまく話せるかどうかは、面接対象者の能力を正しく見定めるうえで不適切だと判断しました。

 そして、次の年から一次面接を筆記テストに変えることにしました。すると、喋る能力と場を制する能力に左右されなくなりますから、個人の論理的思考力を精度高く測れるようになったのです。

 

 「コミュ力」が高い人は、コミュニケーションで場を制したり、周りを察する能力があると自分自身でも感じているのでしょう。

 しかし、それによってバイアスが働いて面接で有利に働くことはあっても、実際の仕事の現場で個人の能力が試される瞬間に役立つかというとそんなことはありません。

 

 むしろ、「コミュ力以外の能力」をきちんと見極められるか。

 それを考えたほうが有能な人材を仲間として引き寄せることができるのではないかと思っています。

<第5回に続く>

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