まずは体験してみよう! マインドフルネスとは「今この瞬間」を体験すること/頭を「からっぽ」にするレッスン②

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更新日:2021/6/28

ビル・ゲイツも絶賛! 読みながら実践できる「瞑想」と「マインドフルネス」の入門書です。毎日10分間、頭を「からっぽ」にする時間を作ってストレスを解消しましょう。誰でも簡単に実践できる心のエクササイズ「10分間瞑想」をご紹介します。

頭を「からっぽ」にするレッスン 10分間瞑想でマインドフルに生きる
『頭を「からっぽ」にするレッスン 10分間瞑想でマインドフルに生きる』(アンディ・プディコム:著、満園真木:訳/辰巳出版)

まずは体験してみること

 瞑想とは、スキルであると同時に体験でもあります。つまり、その100パーセントの価値を知るには、実際にやってみる必要があります。瞑想はよくあるお手軽なコンセプトではないし、哲学的な観念でもありません。瞑想とは、今この瞬間をじかに体験することです。瞑想の目的を決めるのがあなた自身であるように、瞑想という体験を定義するのもあなた自身です。スカイダイビングについて書かれた本を読むのを想像してみましょう。著者の言葉からどれだけ想像をふくらませて、高度3000メートルからジャンプするところを思い描いてみても、実際に飛行機に乗り、時速200キロで地面に向かって落ちていく体験には及びもつかないはずです。つまり、瞑想を理解するには、実際にやってみなければなりません。

 新しい本を買ってやる気になり、生まれ変わると誓ったのに、2、3日後には挫折し、何が悪かったのか考えているという経験をあなたもしたことがあるでしょう。こってりしたチョコレートのアイスクリームを食べながらダイエット本を読んでいても瘦せないのと同じように、この本に書かれていることについて考えているだけでは、頭の中をからっぽにはできません。本当のメリットを体験したいなら、実際に本書のエクササイズをやってみる必要があります。それも、できれば一度や二度ではなく、スポーツジムに定期的に通うようにエクササイズをしなければ効果は出ません。本をおいてテクニックを実践した瞬間に本物の変化が起こるのです。それはかすかで漠然とはしていても、大きな意味のある変化です。意識や理解の深まりによって、自分や他人に対する感じ方がいやおうなく変わるはずです。

 ただしこの本には、あなたに最終的な答えを与えたり、何を信じてどう考えればいいのかを教えることは書かれていません。あなたのすべての問題を解決し、永遠の幸福をもたらすことも書かれていません。でも、ためしてみさえすれば、あなたの人生の体験を根本から変えるかもしれない可能性をもった本なのです。

 瞑想は、異なる人間になるためのものではありません。新しい人間、あるいはよりよい人間になるためのものでもありません。意識をトレーニングし、自分の考え方や感じ方とその理由を理解し、その過程を客観的に把握することです。それができれば、人生で起こしたい変化を起こせる見込みが高まります。それだけではありません。今現在の自分の状況や気持ちを受け入れる方法も示してくれます。ただし、自分でためしてみてください。科学者がそう言っているからといって、効果があると信じてはいけません。どれほど価値のあるすばらしい研究でも、あなた自身が直接そのメリットを体験できないなら、それはあなたにとってなんの意味もありません。だから、書いてある指示に従い、辛抱強く時間をかけて、一日10分でどんな効果があるか自分自身で体験してみてください。

マインドフルに生きるためのテクニック

 人がミスをおかしはじめるのは、たいてい多くのささいなことにとらわれている時です。少なくとも私の場合はそうでした。そしてこうしたミスが、仕事の成績や人間関係、さらには銀行の残高にさえ影響を及ぼすことがあります。自分がマインドフルネスを忘れていると思った時、私は必ずモスクワに住んでいたころのあるできごとを思い出すことにしています。当時、私の働いていた学校では米ドルで給料が支払われていました。まずまずの金額だったので、毎月少しは貯金することができました。そして私はイギリスへの帰国の折に貯めた金をもち出そうと考えました。

 ロシア政府は国外への資金のもち出しを厳しく規制していて、実質的にびた一文もち出すことが禁じられていました。そこで、私は下着の中に500ドルを隠すことにしました。僧衣を着てパンツに札束を入れて立っていると、修行の旅に使うという目的があるとはいえ、少々の罪悪感を感じずにはいられませんでした。税関でうまくロシア語の受け答えができるかなど、こまごました心配で頭がいっぱいで、トイレに行った時、パンツの中にお金を入れたことをすっかり忘れていました。

 間が悪いことにトイレは混んでいて、小用の便器はすべてふさがっていました。そこで私はあいていた個室に入りました。くわしくは書きませんが、そのトイレを前に使った人は水を流し忘れていました。そこに立って僧衣をたくしあげた時、私はまだ心配で頭がいっぱいでした。そしてそれが起こったのです。目の前でばらばらになった500ドルの札束が便器の中に落ちていくのを、私はなすすべもなく見つめていました。言うまでもありませんが、もし私がささいな心配事にとらわれておらず、もっと注意していたら、そんなことは起こらなかったのです。私は別のことに気をとられていました。そして別のことに気をとられている時にはミスをおかすものです。あなたはその後どうなったかが気になるかもしれません。私は500ドルをトイレに浮かんだままにしておいたのか、あるいは袖をまくって想像を絶することをしたのか。修行の旅には行けた、とだけ言っておきます。

 つまりマインドフルネスとは、そこにいるということです。ほかのことに気をとられたり、上の空で考え込んだりせず、「今この瞬間」に目の前で起こっていることをそのまま体験することです。それは苦労してつくりだしたり維持しなければならない、人為的で一時的な心の状態ではありません。その反対で、1歩距離をおき、普段の混沌とした状態から解放され、自然な状態で心を落ち着けることです。そんなふうに日々を送れたらどんなにいいか、ちょっと想像してみてください。いつも心のかなりの部分を占めている悩み、もめごとや争いや判断や議論などから自由になれたらと想像してみてください。その状態こそがマインドフルネスなのです。

 とはいえ、これまでずっと考えにとらわれてきた人が、こんなふうに1歩距離をおく方法を学ぶには、適切なコンディションづくりが必要です。そこで瞑想の出番なのです。何も神秘的なことはありません。瞑想とは、ただマインドフルネスを実践するために最適なコンディションをつくりだすテクニックにすぎません。

 あなたはこれまで何度もこの「今この瞬間」を体験し、目の前のことだけに集中する感覚を体験したことがあるはずです。それはスキーで山の斜面を滑り降りている時だったり、自転車に乗っている時だったり、好きな音楽を聴いている時、子どもと遊んでいる時、あるいはただ夕日を眺めている時だったかもしれません。でもそれは行き当たりばったりで、毎回この感覚を体験できるとは限らないでしょう。しかし、わずかな時間であっても毎日座って瞑想することで、意識して「今、ここ」にいる感覚にだんだん慣れてきて、日常生活のほかの部分にも応用しやすくなります。なんであれ新しいスキルを学ぶ時、最高のものを身につけたいなら、最高の学習環境に身をおく必要があります。実際、10分間瞑想はマインドフルネスを学ぶ理想的な環境をもたしてくれるので、多くの人にとってはそれだけで十分です。毎日10分間、心を落ち着けるだけで十分だと感じられるのです。

<第3回に続く>

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