頭を「からっぽ」にすれば、人間関係にもいい変化が!? ストレスは自分も他人も傷つける/頭を「からっぽ」にするレッスン⑥

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公開日:2020/11/23

頭を「からっぽ」にするレッスン 10分間瞑想でマインドフルに生きる

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翻訳:
出版社:
辰巳出版
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ビル・ゲイツも絶賛! 読みながら実践できる「瞑想」と「マインドフルネス」の入門書です。毎日10分間、頭を「からっぽ」にする時間を作ってストレスを解消しましょう。誰でも簡単に実践できる心のエクササイズ「10分間瞑想」をご紹介します。

頭を「からっぽ」にするレッスン 10分間瞑想でマインドフルに生きる
『頭を「からっぽ」にするレッスン 10分間瞑想でマインドフルに生きる』(アンディ・プディコム:著、満園真木:訳/辰巳出版)

あるがままに生きる道を見つける

 私たちが心の中で起きていることから目をそらす手段がまだ足りないかのように、現代社会には携帯電話につながった電子メールやソーシャルメディアがあります。私たちはまさに24時間休みなく気をそらされ続けています。それらはたしかに便利かもしれませんが、私たちはいまや、ほんの少しでも退屈を感じた瞬間にオンラインに接続して頭をいっぱいにしてしまいます。ちょっと考えてみてください。あなたが朝起きて一番にすることはなんですか? メールをチェックすることでしょうか。フェイスブックでメッセージを送ったり、友だちや同僚とツイッターでやりとりすることでしょうか。夜寝る前に最後にすることは? 調査が正しいとすれば、あなたが一日のはじめと終わりのどちらかに、これらのうち少なくともどれかひとつをしている可能性はかなり高いでしょう。全部しているという人もいるかもしれません。常時接続状態にある人がスイッチを切るのは簡単なことではありません。

 私の知りあいのほぼ全員が、毎日のデータの洪水に溺れそうな気がすると言っています。かつて僧として生きていた当時の私なら、「電源を切って使わなければいい」と言っていたでしょう。でも、下界に戻ってきた今では、私自身もこれらすべてを仕事に使っています。ただスイッチを切ったり無視すればすむ問題でないのはわかっています。だから、やめたり変えたりしようとするかわりに、それらに溺れず、上手につきあう方法を知る必要があります。

 そのためには、心のトレーニングの基本原則に立ち返る必要があります。マインドフルネスでは何も変える必要はありません。自分自身の心をより意識するようになるにつれ、外の生活で何かを変えようと思うこともあるかもしれませんが、それはすべてあなたしだいです。何かを諦める必要はないし、ライフスタイルを大きく変える必要もありません。そういう極端な変化を維持するのは難しいからです。実はマインドフルネスを取り入れたライフスタイルを実践しやすい理由もここにあります。あなたがそうしたいなら、今までとまったく同じ生活を続けてかまいません。マインドフルネスとは、その生活の体験を変える方法を学ぶことです。心の底に充実感をもちつつ、あるがままに生きるための道を見つけることなのです。そこで何かを変えたいと感じたなら、もちろんそうすればいいのです。違うのは、なんであれそうやって変えたことは長続きするということです。

 忙しい生活を送り、たくさんの責任や選択を抱える私たちの心と体は、つねに働きすぎの状態にあります。人々が私の働いているクリニックに来る理由は様々ですが、もっとも多いのはストレス性の症状です。自発的にやってくる人もいれば、家族やパートナーや友人に言われて来る人もいます。あまりに症状がひどいので医師にすすめられて来たという人もいます。けれども大部分は、もう少し楽に生きる方法を見つけたいと思っているごく普通の人々です。仕事でプレッシャーにさらされていたり、家庭生活に悩んでいたり、強迫観念に苦しんでいたり、自分や他人を傷つけるような行動を繰り返してしまう人々。その多くは、ただ毎日の生活でもう少しだけ頭をからっぽにできたらと望んでいるのです。第7章では、自分の体験を紹介することを快諾してくれたこれらの人々のケース・スタディが掲載されているので、ぜひ読んでみてください。

 ストレスは私たちをおかしくさせます。言わなければよかったと思うようなことを言わせ、しなければよかったと思うようなことをさせます。自分自身に対する感じ方や、他人とのかかわり方に影響を与えます。もちろん、ある種のストレスや困難があるからこそ、充実感を味わえたり、目標を達成できることもあります。でもそれが別の種類の(あまり役に立たない)ストレスにまで波及することもきわめて多く、そうなると私たちは途方にくれてしまいます。そのような時こそ、心をトレーニングし、人生で何が起ころうと、いつでも心の奥底にある充実感や幸福感に触れられるようにすることが大きくものを言います。それこそが「からっぽ」をつくるということなのです。

瞑想は他者との関係を良くするために

 マインドフルネスは間違いなく、頭をからっぽにし、人生を変えるのに役立ちます。たぶんそれこそ、あなたがそもそもこの本を読んでいる理由でしょう。しかし、マインドフルネスのトレーニングをすべき理由はほかにもあります。好むと好まざるとにかかわらず、私たちは自分の住むこの世界をほかの人々と共有しています。ヨガ行者として山の中で隠遁生活を送りたいというのでもない限り、必ず他者とかかわらなければなりません。では、あなたがより「からっぽ」を感じられるようになると、一番得をするのは誰でしょう。あなたでしょうか、あなたのまわりの人々でしょうか。あなたがマインドフルネスのトレーニングをし、日々瞑想することでよりよい精神状態を手に入れられれば、他人ともよりポジティブにかかわれるようになるのは自然なことでしょう。

 これはたぶんあまり注目されることのないマインド・トレーニングの一面です。東洋から西洋に伝わった時点で、瞑想はなぜかあっというまに「自分のため」だけのものになってしまいました。それも最初はしかたなかったかもしれません。しかし時間とともに、私たちはこれをもっと他者のためにもなるトレーニングにしたいと考えるようになりました。たぶん、あなたが一番必死になるのは、自分の問題について考えている時でしょう。それが人間というものです。自分のこととなると、とり憑かれたようにとめどなく考えたり分析したりするのが好きなのです。いいえ、本当は好きでないのに、それを止められなくなるのです。でも、誰かほかの人の問題について考える時はどうでしょう。心の中の葛藤の質が変わるのではないでしょうか。その人の問題について悲しみや憤りを感じることはあっても、それは自分自身の問題に悩んでいる時とはまったく違って感じられるはずです。それは視点が違うからです。これは心のトレーニングにおけるとても重要なポイントです。自分の悩みだけに注目するのをやめて、他者の幸福にもっと目を向けることで、自分自身の頭の中の「からっぽ」が広がります。それだけではありません。自分の心がより従順でつきあいやすくなります。瞑想の対象により早く集中できるようになり、浮かんでくる思考に気を散らされにくくなります。心がより明晰になり、安定し、激しい感情に流されにくくなります。瞑想に「他者のため」という側面を加えることは、たんにいいことをするという以上の意味があるのです。

 この単純なスキルが他者との人間関係に及ぼす影響がきわめて大きいのは、特に意外なことではありません。あらゆるものや人をより意識するようになれば、当然、他者のこともより意識するようになります。自分がときどきうっかり(あるいはわざと)他者を不快にさせていることに気づいたり、他者が自分を不快にさせている原因に気づくようになります。自分が他者に言ってもらいたいことや、自分が次に言おうとすることを考えるかわりに、他者が実際に言っていることに耳を傾けられるようになります。こうしたことが起こりはじめた時、他者との関係が本当の意味で変わりはじめたことにも気づくはずです。しかし、つねに自分のことで頭がいっぱいである限り、他者のための時間を見つけるのは難しいでしょう。

 瞑想の利用法にはふたつあります。ひとつは「アスピリン」式のアプローチです。外で忙しい生活を送り、ストレスを抱えて帰ってきて、気分をすっきりさせてくれる何かを求め、それで瞑想をする。気分がすっきりしてリフレッシュできたら、また出かけていって再び忙しい生活を送り、再びストレスを抱える。そして再び気分をすっきりさせてくれる何かを求める。このアプローチは何も悪くありません。頭の中もそれなりにからっぽになるはずです。とはいえ、二番目のアプローチに比べるとそれは限られます。すなわち、同じ心の状態を生活の残りの部分にも取り入れられるようにすることです。

 たいていの人が座って瞑想することにあてられる時間は、一日のうちほんのわずかです。残りの時間にマインドフルネスを取り入れることのすばらしい点は、それ以上わざわざ時間をとったり、スケジュールを変えたりする必要がないことです。あなたは計画通りの行動を続けていいのです。なぜなら違いは行動にあるのではなく、それをしているあいだ、心をどこに向けるかにあるのですから。

 それではいよいよ、10分間瞑想とマインドフルネスの実践編に入っていきましょう。

続きは本書でお楽しみください。

この記事で紹介した書籍ほか

頭を「からっぽ」にするレッスン 10分間瞑想でマインドフルに生きる

著:
翻訳:
出版社:
辰巳出版
発売日:
ISBN:
9784777826704