相手の顔色ばかりうかがってNOと言えないあなた。「気配り」と「媚び」の違い、わかる?/精神科医Tomyの自分をもっと好きになる 「自己肯定感」の育て方④

暮らし

公開日:2021/2/2

Twitter上で多くの人の不安や悩みを吹き飛ばしてきたTomy先生が、自己肯定感を見つけて育てていく方法を、さまざまなケースから読み解きます。これであなたも、肯定感が持てないパターンと対策がわかる!

精神科医Tomyの自分をもっと好きになる 「自己肯定感」の育て方
『精神科医Tomyの自分をもっと好きになる 「自己肯定感」の育て方』(精神科医Tomy/マガジンハウス)

相手の顔色ばかりうかがって卑屈になってない?

 今日の患者さんは四十田瞳さんね。36歳の主婦の方ね。大学卒業後、車の販売店で事務職されて、26歳のときに同じ職場の方と結婚されているのね。9歳のお子さんが一人と。見たところ順調な感じに見えるけど、家庭のお悩みかしら? それとも。

 それでは、お入りくださーい。

 失礼いたします。

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Tomy 今日はどんなことでおいでになったのかしら。

 はい。私の性格のことなんです。

Tomy あなたの性格?

 私いつも相手のことばかり考えてしまう癖があるんです。「今楽しんでくれてるかな?」とか「今不愉快に思ってないかな?」とか。

Tomy うんうん、でも別に悪いことじゃないんじゃない?

 それが、いつも極端にそういう傾向があって、誰かといても気疲れてしまうんです。自分が楽しむことができないし、相手の顔色ばかりうかがうことになってしまい、なんとなく媚びてるような気分にもなってしまいます。

 それなのに誘われると、やはり相手の気分を害したくないと思って応じてしまうんです。こういう性格なのでイベントでも自分ばかり面倒な役を引き受けてしまうことになります。

Tomy それは確かに大変そうね。家庭でもそんな感じなの?

 はい、実家にいるときはリラックスして過ごせるんですが、夫といるときも同じように夫の顔色ばかりうかがってしまいます。夫は最初優しかったんですが、今では私が何もかもやってしまうことに慣れてしまい、最近はこちらに任せっぱなしになってきました。

Tomy それは確かにお困りでしょうね。

 一体どうしたらいいんでしょうか。

Tomy うーんとまずね、今聞いたお話だと、気配りと媚びがごっちゃになっちゃってる感じなのね。

 気配りと媚び……。なんとなくわかる気がしますが、どう違うのでしょうか。

Tomy まず、

 気配りは、自分の思いやりとして相手のことを考える

 媚びは、自分が嫌われたくないために相手の様子をうかがう

 なのよね。

 この二つで大きな違いってわかる?

 ええっと、目的ですか。

Tomy そうね、目的。気配りは自分がやりたいからやっているけど、媚びは自分がやりたくなくてもやってしまうのよ。だから疲れてしまうの。

 なるほど、私の場合は思いやりじゃなくて媚びなんですね。

Tomy そうね。そっちの要素が強いかもしれないわ。自分が嫌われたくないという思いから、つまり自分のためにおこなっているのに、それが逆に自分の意志ではない行動をとってしまうことになり、逆に自分を苦しめているのよ。

 なるほど、いったいどうしたらいいんでしょうね。

Tomy やり方はいくつかあって、根本的には、自分がやりたくないことはやらないこと。

 そうですね。でもついついやってしまうんです。

Tomy 意識するだけでもだいぶ違うんだけど、行動パターンを変える方法について考えてみるわね。

 まず、シュミレーションしてみましょうか。最近困ったことはない?

 あります、あります。ママ友で外交的な方がいて、いろいろお誘いを受けるんです。この間もバーベキューやりましょうと言われて、本当は家の法事やら、子どもの塾の手続きやらで忙しくて、あまりやりたくなかったんです。でも、角が立つのが嫌でついつい応じてしまって。それに買い出しやら、準備やらわりと面倒なことも引き受けてしまいました。

 周りの要望も聞き入れながらやっていたら、ちょこちょこやることが増えてふらふらになってしまいました。

Tomy 楽しめた?

 ははっ……(苦笑い)。

Tomy じゃあ段階的に考えてみましょうかね。まず、このお誘いを断るためには何ができたかしら?

 思い浮かびません……。このお母さん気の強い方で嫌われると大変なんです。

Tomy この話、即答で「はい」っておっしゃった?

 そうですね、その場で「いいですよ」って言っちゃいました。

Tomy んー。まずそこがよろしくないわね。アナタ何でもわりとその場で答えてない?

 はい、そう言われてみればいつもそうですね。先生なんでいろいろと私のことがわかるんですか?

Tomy 人間てね、考え方や行動のパターンはそうそう変わらないものなのよ。今までのお話の中で出てきたパターンを言っているだけよ。

 同じパターンだから、同じ問題点に行きついて、同じことで悩むのよ。だからこいつをちょいと変えてあげれば、行きつく先が変わる。そうすると問題が解決する。アテクシの精神療法の原点はコレね。

 ほーーーっ。

Tomy それで、アナタへのアドバイスなんだけど、まず「はい」って言ったあとに「予定確認してからお返事しますね」って言いなさい。笑顔でさらっとね。

 あ、それいいかもですね。NOと言えればいいんだけど、それができなくて困っているので。とりあえず「はい」って言えるわけですね。

Tomy そう。そして、1日置いてから返事なさい。もし断るとしても頭から断っているわけじゃないから、嫌われるかもという不安からはちょっと解放されるはずよ。

 やってみます! あのう、先生、このパターンだと一つ心配なことがあって。

Tomy なあに?

 私バタバタしてるとお返事忘れそうになることがあるので、即答するようにしてるんですが、その心配はどうしたらいいんですか?

Tomy あ、全然問題ない問題ない。そのときは、

 忘れちゃえばいい。

 え、忘れちゃっていいんですか。

Tomy そうよ。忘れちゃっていい。だってそれがあなたらしさだから。即答しない、忘れちゃうこともある。こういう人間だと理解されると、「アナタが便利な人だから、とりあえず誘っておこう」というような都合のいいお誘いがかかりにくくなるのよ。アナタと行動したいから誘う人しか誘ってこなくなる。

 はっきりいって、アナタが相手に合わせすぎて疲れてしまうのはね、言い方は悪いんだけど、アナタがいろいろやってくれて便利だからなのよ。

 だからアナタが楽しくないのよ。そんなお誘いこないほうがマシよね。

 そういえばそうですね。ちょっと勇気を出してがんばってみます。

Tomy またご報告よろしくねー。

NOと言えないときは、「YES」といって答えはお預けにする。

<第5回に続く>

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精神科医Tomyの自分をもっと好きになる 「自己肯定感」の育て方

著:
出版社:
マガジンハウス
発売日:
ISBN:
9784838731367