自分の選択に後悔、失敗しないためには下準備が大事!「なんとなく」の考えを理論でまとめる3ステップとは?/一番いい答え-絶対後悔しない最適解の見つけ方-④

ビジネス

公開日:2021/3/4

論理競技で6連覇を果たした著者が、仕事や日常生活の悩みなどを「シンプルな考え方で最良な答えを導き出す方法」で分かりやすくご紹介しています。読み進めていくたびに、あなたに合った「一番いい答え」が見つかりますよ。

一番いい答え-絶対後悔しない最適解の見つけ方-
『一番いい答え-絶対後悔しない最適解の見つけ方-』(太田龍樹/ワニブックス)

ちょっと下準備するだけで結果は大違い!

 あなたにとっての最適解であるトゥールミンモデルをつくり上げるためには、下準備が当然のことながら必要だ。

 自分の選択に後悔しない人、失敗しない人ほど、この下準備を欠かさない。

「あの人はなんでもうまくやるな」という人は、行き当たりばったりで結論・答えを出し、選択しているように見えても、実は間違いなく下準備を行なっている。

 量は質に転化する。

 量を積み重ねると、質が変わる。トゥールミンモデルをつくる正しい練習を多くこなすことが、成果につながるのだ。

 私が指導しているディベートという討論の技術のやり取りは、トゥールミンモデルの応酬である。自分自身の実践経験と指導経験から、量は質に転化すると体感している。

 では、正しい練習とはなんなのか。それは、柔道、空手、剣道などの武道と同じく、型を繰り返すことだ。

 トゥールミンモデルの型に、何度も自分の考えを当てはめて実践することなのだと理解してほしい。

 

「なんとなく」の考えを、論理でまとめる3ステップ

 あなたが対峙している、問題、悩みを思い浮かべてほしい。

「なんとなく、こんなことを考えているんだけどな」といった、あいまいな答えを持っているはずだ。

 では、そのあいまいな考えを明確にするためにはどうすればいいのか。

 それには、3つのステップがあるので、実践してみてほしい。

 

▼ステップ① 自分の「言いたいこと」「結論」を40文字で箇条書きにする

 自分の主張や結論(クレイム)を、40文字程度で表現してみよう。この本の1行の文字数程度にまとめてみよう。本書の1行の文字数は38文字になっている。

 

▼ステップ② 「主張・結論に至った理由」を考えてみる

 自分の言いたいこと、結論に至った理由、つまりデータとなる事柄を考えてみる。できれば2つ以上の理由を出してほしい。多様性が増すからだ。

 

▼ステップ③ 隠れた理由をあぶり出す

 主張や結論とデータを結ぶ、「懸け橋となるような隠れた理由(ワラント)」を浮き彫りにする。

 

 この工程を行なうだけで「なんとなく、こんなことを考えているんだけど」といったあいまいな思考が、明確になり、かつ論理的になる。

 一度このステップを踏んでみてほしい。案外楽に実践できることがわかる。

 

ディベーターの情報収集法「超入門」

 インプットなくして、アウトプットなし。

 言いたいことや結論(クレイム)が漠然としている。その理由が考え出せないという人は、問題や悩みに関わる周辺知識や、言葉が不足しているのである。

 知識がなかったり、言葉がわからなければ、自分の答えを具体的にできるはずがない。幼い子どもを見ればわかるように、知識や言葉がないから、物事の構造やメカニズムがわからないのだ。

 だから、最適解を見つけるには、情報収集が欠かせない。

 

 ここでは、私たちディベーターが実践している情報収集法があなたにも役立つ。ディベートは論理競技なので、同じレベルでやってほしいとは言わないが、役に立つので理想のやり方を伝授する。自分のできる範囲で試してみてほしい。

 

▼実際に話を聞き、一次情報を仕入れる

 たとえば、虫歯についての悩みを抱えている場合、最初に、かかりつけの歯科医師にインタビューしてみる。

 リアルに、それも専門家から話が聞ければ、非常に貴重な情報が手に入る。

 

▼説得力のある検索術

 次に、検索エンジンを使って、「虫歯」というキーワードからもたらされる検索結果をせめて30位まで、1ページあたり10件であれば、3ページ分スクロールしながら情報を収集する。

 その際、公的機関(厚生労働省や日本歯科医師会など)のサイトもしっかり読み込む。公的機関のデータを利用できればより説得力が増すものである。

 なぜ、公的機関のデータに説得力があるのかといえば、調査サンプル数(母集団、分母)が大きいからだ。

 

▼書籍からの情報

 最後に、虫歯に関する書籍をアマゾンやグーグル、図書館の検索サイトで探してみる。そして、実際に本から情報を得る。

 

 専門家から直接話を聞くことは難しいとしても、アマゾンとグーグルを使うだけで、あなたの言いたいこと、最適解をつくるための事前準備はおおかた完了する。あとは、そこで得た知識や言葉を、トゥールミンモデルに当てはめればいいのだ。

 トゥールミンモデルを使う初心者であるあなたは、こんなレベルのことはできないと思ったかもしれない。しかし、慣れてくれば、このくらいのことは簡単にできるようになるから心配しないでほしい。あなたは、量を質に転化する、を体現するのだ。

 初めのうちは、

・専門家から話を聞く努力をする
・検索エンジンでキーワードを入力し、1ページ目の情報を収集する
・キーワードに関連する気になった書籍を読んでみる

 これができれば上出来だ。まずは、やってみること。そして、訓練を継続することに価値がある。

 慣れてくれば、ディベーターと同様の手順を踏むことができる。私も初めは、新米ディベーターで右も左もわからなかった。あなたにできないことはない。

 そもそもなんの情報も得ずに、答えを導き出している人がとても多い。結果、当然のごとく選択を誤る。だからこそ、少しでも情報を得ることに意識を向けてほしい。

 情報を使わず答えを出す、ということは、勘で答えを出す、のと同じことである。

<第5回に続く>

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