嫁姑問題を解消する方法/ボクは食器洗いをやっていただけで、家事をやっていなかった。③

小説・エッセイ

公開日:2021/3/17

雑誌『ダ・ヴィンチ』で連載の土屋礼央のお悩み相談エッセイ。結婚生活約8年の土屋礼央が、妻との関係、子どもとの関係を振り返り、お悩みを解決。
そこから見えてきたのは、家庭の中だけではない、人間関係を円滑に進めるヒントだった……! 本書から人気のエッセイを全3回でお届けします!

ボクは食器洗いをやっていただけで、家事をやっていなかった。
『ボクは食器洗いをやっていただけで、家事をやっていなかった。』(土屋礼央/KADOKAWA)

嫁姑問題を解消する方法

【お悩み】

俗に言う嫁姑問題の真っ只中の我が家です。実家に帰省する度に妻と母の間に緊張感が走ります。でも実家にいるうちはまだ大丈夫で、帰りの車内で妻の愚痴を聞くのが大変で、実家で母をフォローしようものなら、かなりの攻撃を受けます。どうすれば平和に暮らせるでしょうか……。(H氏 40歳男性)

 嫁姑問題(以後YS問題)。

 旦那にとって難しいテーマです。既婚者にとって悩ましい永遠のテーマです。犬猿の仲ですよ……。

「ちょっと待って、どっちが犬でどっちが猿なの?」

 あ、奥様、そういう事ではなくて……。はぁ……。こんなんで2人は通じ合うのであろうか? でも青函トンネルは開通した。そう思うしかない。可能性はゼロではない。無理だと思われるものだって、少しずつでも掘り続ければいつかは通じるのです。姑の息子としては、実家にいる時ぐらい、ちょっとだけ我慢して母親の言う事を聞いてもらえないかな……。僅かな時間だし……。という、楽をしようとする気持ちもない訳ではない。ただそんな事をしたらおしまいだ。Hさんの言う通り、自宅に帰ってからの妻の愚痴の嵐を想像するだけで疲弊する。ましてや帰りの道路が大渋滞なら、そこから大変だ。ぶっちゃけ2人で気の済むまで話し合って決めてくれと委ねたいぐらいだが、そうはいかない。おそらく妻にはこう言われるだろう。

「あなたの親よ、責任はあなたがとってよ!」

 確かにそうである。妻は旦那を選ぶ権利はあるが、姑を選択出来る訳ではないからだ。ここまできたら、運命の姑と出会ったと思ったら、その人の息子と結婚すれば良いのに……。そうすればYS問題はなくなる! ただそういう訳にはいかない。愛すべき妻と結婚し、感謝すべき母親とも生きていくのが旦那の役目なのだ。妻の母親と自分の折り合いがつかない事はあまりないのに、なぜYSだけが……。

 その答えは簡単です。それぞれが家庭のボスだからです。

 ここだけの話猿猿の仲……。

 そして年末年始の実家はボスとボスが共存する空間だからです。

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土屋 礼央:つちや・れお●1976年9月1日生まれ。東京都国分寺市出身。RAG FAIRとして2001年にメジャーデビュー。11年よりソロプロジェクト TTREをスタート。RAG FAIR、 ズボンドズボン、TTRE楽曲の多くの作詞作曲を手掛ける。音楽活動以外にも、執筆やラジオなど多方面で活躍中。レギュラーに『赤江珠緒たまむすび』(TBSラジオ)など。