嫁姑問題を解消する方法/ボクは食器洗いをやっていただけで、家事をやっていなかった。③

小説・エッセイ

公開日:2021/3/17

 違う山のボスとボスが同じ山で共存する空間。想像するだけでトラブルが起こりそうです。でもそれが年末年始の実家の空間なのです! そして、どうしても年齢的に母親の方がヒエラルキー的には上。妻が一時的に他の山のボスに従わざるを得ません。「ムキー!!!」となるのは当たり前です。そこでどちらのボスの元でも生活をした経験を持つ旦那さん。どちらのボスに付くのか? それは悩みます。ただここはドライに行きましょう。あなたにとってこの先どちらと共有する時間が多いかです。どちらの意見が合っている合っていないではなくて妻側に立つべきです。実家から帰る際の車内の妻の愚痴、家に帰ってからも愚痴、また実家に行く時に聞くボヤき。圧倒的に妻側に立つべきです。同居をしている場合は別ですが、ぶっちゃけYSが共存する時間なんて人生の中でほんの僅かです。ここは損得勘定で生きて良いと思います。

 この考えを踏まえての対策です。YS問題はお互いがボス、各々の山のやり方がある。相容れない考え方がある。だからその山の住人は右往左往する。どうしたら右往左往しないか? ボス同士が手を取り合ったらどうでしょう? 「そりゃ、住人としては一安心ですよ!」。そうなのです。ボスとボスが手を組めば良いのです。ではボス同士が手を取り合う時はどういう時か? お互いの存在を脅かす、想像を超えた悪が登場した時です。世界の強国が睨みあっていても、宇宙人的地球侵略規模の悪が登場したら手を取り合わざるを得ません。そんな映画よくありますね。わかりやすい映画です。

 そこで一つ提案です。妻が気に食わないと思う様な発言を母親がした時に、妻よりも先に旦那がその思いをあたかも自分の意見として母に発するのです。想像以上にひどい言葉で言い放つのです。悪魔の様な罵詈雑言を言い放つのです。

「&%& ’$〟&〝*`*`::!」(ひどい言葉)

 すると妻はおそらくこう言うでしょう。

「別にそこまで言わなくても……」

 と間を取り持ちます。自分が悪になるのです。YS問題の間で苦しむ自分を救う為には、自分が悪になれば良いのです。そうすれば

「あんたの旦那は本当にひどいわねぇ……」

「そうですよね、お母様。あなた言い過ぎよ!」

 いつの間にやらYSが共感しあいます。旦那が母親の考えの極端に逆な意見を提示する事でこの時点で妻は旦那に対し、私の気持ちはわかってくれていると安心して冷静さを取り戻します。人間は全てにおいて無意識にバランスを取ろうとするもの。「もういい!やらなくていい!!」と喧嘩中に逆ギレすると「わかったよ、やるよ!」となる、あれと一緒です。YS問題にはその習性を活かしましょう。しかしひどい言葉をぶつけた母親のケアは大丈夫か? 自分と母の関係の方が強いから大丈夫です。だって血がつながっていますから。ひどい事を言ったところで親子の関係です。何があっても関係は続かざるを得ません。修復も可能です。それに比べて妻と自分の関係はあくまでも他人。妻との関係の方が脆い訳です。脆い関係の他人なのに生涯の伴侶として互いに選んだ訳ですから、妻を大切にすべきだと思います。勿論、妻母共に大切な存在である事は間違いありません。別の部分で母親には感謝し続けましょう。それでバランスを保つのです。

「それにしても母親に悪態つくのは、ちょっと気が引けるなぁ……」

 その想いも素敵だと思いますよ。リョウシンがあるって事ですもんね。

<続きは本書でお楽しみください>

土屋 礼央:つちや・れお●1976年9月1日生まれ。東京都国分寺市出身。RAG FAIRとして2001年にメジャーデビュー。11年よりソロプロジェクト TTREをスタート。RAG FAIR、 ズボンドズボン、TTRE楽曲の多くの作詞作曲を手掛ける。音楽活動以外にも、執筆やラジオなど多方面で活躍中。レギュラーに『赤江珠緒たまむすび』(TBSラジオ)など。