引退後に挑む、尊い新たな任務!元最強刑事によるドタバタ育児24時!『じじいくじ』/マンガPOP横丁(54)

マンガ

公開日:2021/4/9

じじいくじ~元最強刑事の初孫育児~
『じじいくじ~元最強刑事の初孫育児~』(上地拓郎/KADOKAWA)

「いやぁ~私の孫は世界一カワイイ!」

 ……って言える日はいつ来るだろうか。ましてや、子どもどころか結婚もしていないから、「俺の子ども、めちゃかわいいんだよぉ」なんてことすら実現できてない独身(※2021年4月の時点)のはりま。ただかわいいだけでは育児なんてものはできないし、想像を絶する苦労があると聞く。仕事でどんなに優秀な成績をおさめていても、どんなに知力や体力などのステータスが高くても、育児を完璧にこなせるわけではない。親という存在は本当に偉大だと、この作品を読んで改めて感じた。

 という前置きから今回紹介するのは、子育てをする親ではなく、孫を溺愛し育児に奮闘する祖父が主役の物語。上地拓郎先生の『じじいくじ~元最強刑事の初孫育児~』(KADOKAWA)は、コワモテのおじいちゃんが孫と対面する時に見せる姿に、今月のテーマになりつつある“優しく尊い”を存分に味わうことができるマンガだ。それでは内容を軽くご紹介。

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 時速40kmのスクーターで逃げる体重70kgのひったくり犯を正面から身体ひとつで受け止めるというとんでもない力と体格を持ち、“鬼鉄”と呼ばれ恐れられていた最強の刑事であった小林鉄男。定年で引退した現在は、新たな任務による緊張感に溢れる日々を送っていた。それは……孫の育児! どんな難事件でも解決してきた男は今、育児という案件と格闘しているのである!

 そんな鉄男がまず挑んだのは、孫の鉄斗をお風呂に入れること。あらかじめ見たビデオを参考に初めてのお風呂に挑戦。鉄男の娘で鉄斗の母親が心配して声を掛けるが、「ワシに任せろ」とあくまでもひとりでやりたい様子。大きな手で鉄斗の身体を慎重に洗っていると、鉄斗がお小水を! 早速お湯を入れ替えるが、その間に鉄斗の身体が冷え切ってしまうのは時間の問題だ。まるで爆発が迫る時限爆弾を処理するかのような焦りが鉄男を襲う。初めてのお風呂は無事任務完了できたのか——。

 そしておむつ替えや爪切り、ギャン泣きとの闘い……次々と迫る育児任務にどう対応していくのか。これは、カワイイ孫のために全身全霊をかけて挑んでいく、じいじの育児奮闘ドラマである!

 なかなか気持ちが読めない赤ちゃんのお世話は実に難しい。数々の超難題に不器用ながらも挑み、解決のたびにドヤ顔を見せたり、刑事のクセがまだ残っているため、孫を寝かしつけた後に警備モードになったりする様子がなんともかわいらしい。ちなみに娘は不器用に育児する鉄男を見て楽しんでいるようなので、それが彼女の心の休めどころになっているのかもしれない。

 そして鉄男を紹介する上で欠かせないのが筋骨隆々の身体だ。筋肉を“相棒”と呼ぶ鉄男。しかし「もってくれ相棒」と願いながら、ある薬を飲むという気になるシーンがある。実は娘の夫で鉄斗の父親が単身赴任から1年後に帰ってくるのだが、その薬の意味するものとは……。

「笑いと奮闘のドタバタ育児24時」とタイトルをつけたくなるこの作品(POPに反映しました)。育児は大変だけれど、それ以上に赤ちゃんのかわいさを知るという幸せな見返りがあることを伝えてくれる。子育て未経験の方はこの際、鉄男になりきって疑似育児をして、この幸せを噛みしめてみてはいかがだろうか。

マンガPOP横丁

文・手書きPOP=はりまりょう

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