King Gnu 常田さん/他がままに生かされてスピンオフ企画「僕を生かしてくれた人たち」
公開日:2021/4/30
山中拓也初著書『他がままに生かされて』の刊行を記念した特別短期連載。2月は4回にわたり、本書から抜粋したエッセイを配信してきた。 3月からは本書のスピンオフ企画「僕を生かしてくれた人たち」を本連載限定で公開!書籍に掲載しきれなかった、山中拓也の恩人たちを紹介していく。

King Gnuのギター&ボーカル、常田大希という人間の第一印象は、頭が良い人なんだろうというものだった。正直な話、これから売れていくだろうとか、活躍するだろうという目線で大希を見たことはない。僕は、音楽そのものというよりは、その後ろにある人間性に興味があるのだ。
僕たちには、音楽という分野だけでなく他ジャンルにも興味を持っているという共通点があった。だからこそ、彼の取り組んでいることを追っていくうちに、だんだんと興味が湧いて、一緒に飲みに行くような仲になったのだ。
2020年5月に開催するはずだったアリーナツアーの数か月前、僕は大希を誘って飲みに行った。朝まで浴びるほど飲んで、朝7時に寿司を胃に詰め込むという無茶をした日のことだ。
「アリーナツアー、埋まるか不安やなぁ。俺らのバンドのためにファンのみんな集まってくれるかな」なんて寿司と一緒に不安をこぼした。
そんな不安を払いのけるように大希は「大丈夫。不安なら他にもできることやってみたらいい。もしそんなに不安なら、理(King Gnu・ボーカル&キーボード)のラジオに出られるように掛け合おうか?」と声をかけてくれた。
年下だけど、常にフラットに話してくれて、相談にも乗ってくれる。自分だけが良ければそれでいいという人間じゃなくて、自分の周りにいる人も一緒に引き上げてくれるような人だ。
一緒に飲みながら、話を聞いてくれる大希はまるで大学時代の友人のようだった。でも、大人になった今そういう関係が欲しいと思ってもなかなか手に入るものじゃないことは分かっている。大人になると、上辺での付き合いだったり、困っていても見ないふりをしたりするような関係も多くなる。
だからこそ、僕にとって特別な人間なんだろう。人と人との付き合いを大事にしてくれるその温かさに触れて、僕の不安は小さくなっていった。
新型コロナウイルスの影響で、アリーナツアーは中止となってしまったが、僕が救われたあの時間はなくならない。