自分の得意なところをブラッシュアップ! 苦手なことは、きっぱり断ることが重要/世界の「頭のいい人」がやっていること

ビジネス

公開日:2021/10/27

 世界で通用する「頭のいい人」がどんなことをやっているのか興味はありませんか?

優秀な頭脳を持つ人がやっているのは、「空気は読まない」「集中力を身につけない」など、周りを自分のペースに巻き込んでいく力を持っているから。東大、フランス国立研究所、MENSA(高知能者の交流を目的とする国際団体)などで世界のさまざまな「頭のいい人」を見てきた脳科学者・中野信子さんが、「世界で通用する、本当に賢い人達」が実践していることを1冊に集約。少し意識を変えるだけで、誰にでも今日からできるコツが満載です!

この作品は、2012年8月に刊行された『世界で活躍する脳科学者が教える! 世界で通用する人がいつもやっていること』を改題し、一部加筆・修正したものです。

※本作品は中野信子著の書籍『世界の「頭いい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』から一部抜粋・編集しました

世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた
『世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』(中野信子/アスコム)

空気は読まない。
──自分が好きなことと得意なことを貫く

苦手なことはきっぱりと断る

 ちょっと前に、「KY(空気が読めない)」なんて言葉が流行っていたことがありましたよね。周りと歩調を合わせるのを美徳とする、日本らしい風潮かもしれません。

 確かに、他人を気遣うのは素晴らしいこと。でも、世界で活躍している人には、実はKYの人が多いのも事実です。

 私の先輩に、Sさんという日本人の研究者がいます。Sさんは日本だけでなく、ヨーロッパでも高い評価を得ていますが、「空気を読まない」ことで己を貫いています。

 一方、Sさんと同じ研究所には、Hさんという日本人の研究者もいました。Hさんは皆を気遣って、自分の希望しない研究にも手を貸していました。しかし、評価はいまひとつ……。

 SさんもHさんも研究熱心で、優れた論文を書いていました。なのに、周囲からの評価は明らかに違う。あまりにも不公平な気もしますが……、この違いは一体、どのようにして生まれたのでしょうか?

「自分の得意なものが何なのかをよく知っており、自分が苦手なことはやらない」

 つまり、

「周囲に自分を合わせるのではなく、周囲が自分に合わせるようにする」

 これがSさんの最大の特徴でした。

 Sさんは人の意向に自分を合わせるということを、まったくしませんでした。「苦手なものは苦手」と言って譲りません。またSさんは、苦手なところを克服するために時間や労力を使うのではなく、自分の得意なところをブラッシュアップするために使うのに徹していました。

 そして、「これはできそうもないな」という部分は、自分でやることを避けていました。得意な人を探してその人に任せるという方法で、苦手なところをカバーしていたのです。

抱え込んでしまってはいい結果は残せない

 実はこの方法、良い結果を出すには、非常に理にかなっています。

 まず、自分が苦手なところをフォローしてもらうためには、他の人を頼りにします。人は誰かに頼りにされると嬉しいものなので、基本的には喜んで引き受けてくれます。

 一方、自分が得意なことには、自分の能力をフルに発揮します。

 結果的に、自分にも、協力した人間にも、素晴らしい成果がついてきます。

 これは、Sさんが自分の得意分野を、「誰にも真似できないレベル」にまで高めていたからこそできることでもありました。「どんな仕事でも60点レベルで、無難にこなせる」より、「この仕事を90点以上のハイレベルでできるのは自分だけ」というものを徹底的に活かすわけです。

 そして、「自分では30点以下のレベルでしかできない」ことは、「90点以上のレベルでできる人」を探してきて、その人に任せればいいという考え方です。

 この方法は、何でも一人でやろうとする「ゼネラリスト傾向」の強い日本人にはやや抵抗があるかもしれません。ですが、ちょっと思考法を変えるだけで、誰にでも実行できる方法でもあるのです。

 そして、結果的に、自分も相手もいい思いができる。さらに、「あの人ってすごいね!」と高い評価を受けることにもなるのです。

自分で抱え込む人はなかなか活躍できない

 一方でHさんは、Sさんとは正反対の性格。真面目すぎるところがあり、自分の苦手なものにも正面から向き合って、ちょっと無理をしてでも苦手なところを克服しようとするあまり、それに疲れてしまうような人でした。大変なことをすべて自分で抱え込んでしまうために、収拾がつかなくなるタイプです。

 オールマイティになれることなんて、めったにないのです。

 野球を例にしましょう。剛速球や変化球が自在に投げられ、ホームランを多く打てて、足が速くて、守備もうまいなんてことは稀でしょう。人は誰でも、得意・不得意があるもの。自分が不得意なところまで無理してカバーするよりも、得意なところを伸ばすほうがいい結果を出せますし、何より自分が楽しめるはずです。

 Sさんは現在、国立大学の医学部で40歳そこそこにして准教授。しかも、哲学や音楽にものめり込むなど、好きなことばかりしています。いわゆる、よくありがちな「学者バカ」的なタイプとは一味違う研究者でしょう。

 また、ヨーロッパ時代の先生や同僚とは、今でも交流を持っています。国境を越えて共同研究を積極的に展開するなど、仕事の上でつながりがあるのはもちろん、人間的にも一目置かれ、友人としてもリスペクトされています。

「空気を読まない」というと、「周囲に気遣っていない」だとか「わがままだ!」というイメージがあるかもしれません。でも、周囲に迷惑をかけたり不快な思いをさせたりするとは限らないのです。

 Sさんの場合は、彼を助ける仲間がいい思いをするわけですから、空気を読まないことがむしろプラスに働いています。

「得意なことだけを貫く」。これは一見自己中なようですが、好結果を残すには大事な要素。これを実践しているSさんこそ、「世界で活躍できる頭のいい人」だと思うのです。

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