100万部突破! 2021年日本で一番売れた本『人は話し方が9割』のポイントを5分で紹介

ビジネス

更新日:2022/4/29

ロングセラーや話題の1冊の「読みどころ」は? ダ・ヴィンチWeb編集部がセレクトした1冊、2020年12月に発表された日販年間ベストセラーランキング・ビジネス書部門で1位となり、さらに2021年には日販年間ベストセラーランキングの総合1位となった『人は話し方が9割 1分で人を動かし、100%好かれる話し方のコツ』(永松茂久/すばる舎)をご紹介します。

こんな人にオススメ!

・人とコミュニケーションを取るのがなんとなく苦手な人
・初対面の人とは何を話したらいいのかわからないと感じる人
・うまく話せず失敗した経験があり、自己肯定感が低いままの人
・思っていることを正直に言えない人
・誰かと一緒にいる時、沈黙の時間が怖いと感じる人

3つのポイント

要点1
話す力はスキルよりメンタルである。自己肯定感が上がれば話すのはラクになるので、「否定のない空間」に身を置くことから始めてみよう。そして「いかに話すか」より「いかに聞くか」が重要だ。相手に9割しゃべらせる「拡張話法」が会話上手になるカギを握る。

要点2
自分の話したいことではなく、相手が求める話をする。「正しい話」ではなく「好かれる話」をする。売り込むのではなく、相手に役立つ情報を届ける。こうしたコミュニケーションのコツがつかめれば「また会いたいと思われる人の話し方」を身につけることができる。

要点3
結局、人生を左右しているのはコミュニケーションである。まずは「好かれること」より「嫌われない話し方」を身につけていこう。そして、「言葉の意味」だけではなく「その奥にある感情」にもフォーカスすることで「人を動かす人の話し方」をマスターしよう。

▼プロフィール
永松茂久(ながまつしげひさ)
株式会社人財育成JAPAN代表取締役。大分県中津市生まれ。「一流の人材を集めるのではなく、今いる人間を一流にする」というコンセプトのユニークな人材育成法には定評があり、全国で数多くの講演、セミナーを実施。「人の在り方」を伝えるニューリーダーとして、多くの若者から圧倒的な支持を得ており、講演の累計動員数は延べ50万人にのぼる。執筆だけではなく、次世代育成、出版コンサルティング、イベント主催、映像編集、ブランディングプロデュースなど数々の事業を展開する実業家である。著書は『人は話し方が9割』『人は聞き方が9割』『喜ばれる人になりなさい』(すばる舎)など多数あり、累計発行部数は295万部を突破している。

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普通の人が簡単に話せるようになる3つのコツ

「何を言っているのかわからない、と言われて自信をなくした」
「声が小さい、と言われてどうしていいのかわからなくなった」

 こうした苦い経験が元となって、「自分は話すのが苦手」と思い込んでしまっている人は少なくない。これは、話し方における自己肯定感が失われてしまっている状態だ。つまり、話し方はスキルよりメンタルであり、話せるというメンタル状態に持っていくことが話し上手になるための近道なのだ。

 話せるメンタル状態をつくり自己肯定感を高めていく方法として、本書が提案するキーワードが「全肯定」である。これは「話している相手を決して否定しない、そしてあなた自身も否定させない」ことで、相手との間に「否定のない空間」を作るのだ。その具体的な方法として、著者は自身が主催するコミュニティの3つのルールを紹介している。

 そのルールとは以下の通りである。

1.「否定禁止」
 人の意見を否定せず、自由に意見を発言するモチベーションを奪わないようにする。大切なのは、意見や感想がどんどん出てくる場にすること。

2.「笑顔でうなずく」
 何を言ってもうなずいてもらえると、人は安心するものだ。そして、その安心感が話す力を引き出していく。

3.「プラストーク」
 前向きな話をするよう心がける。「人をほめること」「感動した話をすること」「現状を良くしていこうとすること」などがプラストークにあたる。

 この3つのルールはすなわち、「普通の人が簡単に話せるようになる3つのコツ」でもあるのだ。

相手の自己重要感を高める聞き方、「拡張話法」で会話の達人に

「コミュニケーションの達人だけが知っている三大原則」として、本書は以下の3つを挙げている。

①人は自分への関心が一番強い!
②人は自分のことをわかってほしい生き物
③人は自分のことをわかってくれる人に好意を持つ

 コミュニケーションにおいて、こうした相手の自己重要感を高めるのに最も有効なのが、「聞き方」をマスターすること。その具体的な方法として本書が提案するのが、「拡張話法」である。

 この話法には順番がある。それが「①感嘆→②反復→③共感→④称賛→⑤質問」だ。

①感嘆
相手の話を聞いた時に受ける感銘の表現。へぇー♪、うわぁー!!、ホントっ!?

②反復
相手の話を繰り返す。「私、カレーが大好きなんです」→「お、カレー、いいですね♪」

③共感
相手の話に感情を込めて理解を示す。わかります、大変ですよね

④称賛
相手を評価する。すごい!、さすがだね!

⑤質問
相手の話を中心に展開させていくためにその後を追いかけて聞く。それでそれで?

 この拡張話法を使う最大の目的は、相手の話を「広げる」ことにある。相手は気分よくたくさん話してくれるようになり、その「気分よく、たくさん話せたな」という印象が、「また、会いたい」につながるのだ。

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自分の話したいことではなく、相手が求める話をする

「うまく話そう」と思えば思うほど、相手に「もう会わなくていいかな」と思われるきっかけを作ってしまうものだと著者はいう。「うまく話そう」という姿勢が透けて見えると、多くの場合、相手は「自分に取り入ってメリットを得ようとしている」と受け取り、気持ちが離れてしまうからだ。

 そこで「お役に立ちたい」という気持ちで話すと、それは自然と相手にも伝わり、相手もあなたの言葉に真摯に耳を傾け始める。

 つまり、常に心がけておくべきことは、「自分の話したいことではなく、相手の求めている話をする」ということ。そして、「正しい話」ではなく「好かれる話」をすること。

 この原則を日常のささいな会話においても守ることが、「また会いたい」と思われる人になる一番のキーポイントとなる。

 これはビジネスでも同じだ。自分が売りたいものについて一方的に話してしまうと、どんなに素晴らしい商品でも売れない。そうではなく、「お役に立ちたい」という気持ちを持って相手にとって耳寄りな話をする。一見、非効率に思えても、相手優先で「好かれる話」をする人こそが、ゆくゆくは大きなチャンスをつかむのだ。

「相手の感情を害さない話し方をすること」で人生は大きく変わる

 私たちの人生において、コミュニケーションに費やしている時間は膨大だ。人生の大部分を占めるコミュニケーションが楽しいか不快かで、人生は大きく変わるといっても過言ではない。その意味では、相手の感情を良くする話し方は大切だが、それ以上に「相手の感情を害さない話し方をすること」が大切なのである。

 著者は「口は悪いけどいい人なんていない」と断言する。余計な一言は言わず、相手の感情に寄り添う言葉を発する。また、時に正しすぎる「正論」が、相手の逃げ場をふさいで追い込み、傷つけてしまうこともある。だからこそ、正論は真正面から言わないで変化球で伝える配慮が必要だ。

 相談事においても注意が必要だ。相談に来る人というのは、結局のところ、「とにかく話を聞いてほしい」「自分のことをわかってほしい」「共感してほしい」という思いが強く、解決策を求めて来る人は少ないのだ。そのため、ポジティブな意見を押しつけたりするのではなく、「つらかったね。大変だったね。どうすればいいか一緒に考えましょう」といった、共感の言葉をかけてあげるよう心がけるようにしよう。

「(相手が)幸せでありますように」という思いに勝るスキルは存在しない

「がんばれ」を言う時は、相手をよく見てタイミングと言い方に注意する/叱る時こそ、相手への敬意と労いを忘れずに/愚痴や悪口ばかり言う嫌な相手とはつき合わない、話をしない、など本書にはさまざまな「人を動かす話し方」のテクニックと考え方が記されているが、さらに、極意とでもいうべき、コミュニケーションの要諦が記されている。

 そのひとつが、「言葉の意味」ではなく「その奥にある感情」にフォーカスすることだ。相手がある言葉を話した時、その言葉をそのまま受け止めるだけでなく、相手の心の奥まで推察して、反応してあげることだ。

 もうひとつが、話す際に自分の心が「フォーユー」「フォーミー」のどちらにあるのかということだ。

「フォーユー」、つまり相手のことを思って話していくと、会話のうまい下手にかかわらず、必ず言葉がポンポン出てくるようになる。そしていつの間にか悩んでいた相手が元気になり、あなたのことを必要とするようになる。

 するとあなたの周りにたくさんの人が集まるようになり、いつの間にかあなたは充電器のような存在になるだろう。

 最初は、うまくいかないこともあるだろうが、相手のことだけ思って話しているうちに、相手が本当に大事にしていることだけを感じ取り、言葉に落としていけるようになる。

「フォーユー」とはすなわち「(相手が)幸せでありますように」という思いだ。そしてこの思いに勝る話し方のスキルは存在しないのである。ぜひ、日常で使ってみよう。

文=町田光

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