仙川環『カナリア外来へようこそ』 心温まる“新感覚“医療小説に、書店員さんから感動&共感の声続々!

文芸・カルチャー

公開日:2024/5/3

『感染』でデビューして以降、数々の医療ミステリを刊行、2023年9月に文庫化された『処方箋のないクリニック』が大重版し、注目を集める仙川環さん。
文庫書き下ろしの最新作『カナリア外来へようこそ』は、過敏症の人向けの“特別外来”が舞台の心温まる医療小説です。
特定のにおいで頭痛が起こるWEBデザイナー、夫との時間が増え体調を崩しがちになった主婦、味覚障害になった料理人……。様々な悩みを抱える患者さんを、不愛想な院長・保泉則子先生と、優しいけれどおっちょこちょいな看護師・レンというちょっと変わった2人が出迎えます。
「こんな病院があるなら絶対行きたい!」と絶賛の声も! 本書を読んでくださった書店員さんの感想コメントをご紹介します。
ぜひこの機会に本書をお手に取ってみてはいかがでしょうか。

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心温まる“新感覚“医療小説に、書店員さんから感動&共感の声!

文章がわかりやすくてサクサク読める。
人の五感は当人にしか理解できないことなので、「こういうこともあるんだよ」の入門書として最適かも。
仏頂面でぶっきらぼうな先生の、パーソナルな話が載っているのも良かった。
淡々としているようでほのかに暖かいいい作品!
――喜久屋書店橿原店 井上七海さん

人によって過敏になるものは違う。体調不調になるほどだとどんなに辛いことだろう。
うちの子も匂いにかなり敏感なため、もしかしたら明野さんみたいに症状が出てくる可能性があるかもとか、私だけに聞こえる音で具合が悪くなったこともあるのでもしかしたらあの時も…とか色々思い出して読んでました。こういう不安な時や、訳がわからない時に則子先生のように対応してもらえるととても安心する。今後困ったときの考え方としても勉強になりました。読んでよかった。心がホッとできました。
――宮脇書店ゆめモール下関店 吉井めぐみさん

危機を知らせるカナリアに例えられた感覚の鋭い人々の苦しみと、彼等に優しく寄り添い、共に歩もうとする医師の姿に深い感動と、気づきを与えられました。
この物語における問題や諍いの多くが、人の悪意によるものではなく、理解の難しさによるもので、感覚の鋭い人々が我慢や諦めを選んでしまうようなものでした。一方で、感覚の鋭い人々のためにそうでない人々に我慢を強いることの是非も問われ、深く考えさせられます。
この物語では誰かに我慢を強いるのではなく、理解して歩み寄ったり、あるいは原因を把握して適切な距離を取ることでの解決を図っており、感銘を受けました。
一人一人、感覚は異なるものであり、誰もが不快な思いをせず暮らせる社会の実現は困難であるとは思います。しかし、それでも患者に寄り添う主人公のように理解し合い、歩み寄り、共に進むことが大切だと気づかされる物語でした。
――明屋書店川之江店 樋口美雲さん

こんな病院があるなら絶対行きたい!
香害は私も苦手なので分かったのですが、他にも色々あって驚きました。
経験がないと分からないし、他人事になりますよね。
「大変だね」の一言ですまされると辛いです。分かって欲しいと思ってしまいます。
読んでて心にささる事ばかりで、一気に読みました。発売日が楽しみです。
――宮脇書店境港店 林雅子さん

誰のことも傷つけず、不快にさせず生きるということは、なんて難しいのだろう。今まで自分の発する「言葉」には気を遣うよう過ごしてきたが、あらゆることに対して人知れず苦しんだり不具合を抱えて生きている人が周りにいるかもしれない事実に驚き、予想外のテーマで一気読みでした。
ぶっきらぼうでも保泉先生の寄り添い方には心が温かくなります。登場する「悩み」を抱えているどの人も「治す」のではなく原因を見つけてうまく避けて生きていく方法を探す感じが現実味があって、今の時代を生き抜く大きなヒントになるのかもしれないと感じました。
私は私の大事な人にちゃんと寄り添えているのだろうか。共感するだけじゃ足りない。一緒になって周りを少しずつ変えていく……。
大きな奇跡は起こせなくても、できることはまだきっとある。そう信じたくなる作品でした。
――紀伊國屋書店愛知産業大学ブックセンター 柴田真奈美さん

人一倍匂いに敏感な明野花菜は職場で匂いのトラブルに巻き込まれ、クリニックの特別外来で受診することになる。そこで出会ったのは一風不愛想な女医と優し気な看護師だった……。
詐病、過剰とも非難されがちな中で症状を訴える人々の苦しみが記され歯痒い。そこに寄り添おうとする則子、レンの存在は心強くまた理解者を増やすことの重要性を痛感させられた。しかし程度のとらえ方や、「カナリア」としての意味を鑑みると、複雑な感情まで呼び起こされてしまう。
最終章での再登場など繋がりこそが理解を広めることを痛感させられた医療物語。
――明林堂書店 南宮崎店 河野邦広さん

日常に潜む不調の原因がこんなに間近にあったとは……。
防ぎきれない、逃げるしかない、生活がままならない。
不安を聞いてくれる「特別外来」は心の支えになり、安らぎをあたえてくれる。
則子先生の懐の深さとレンくんの軽快さが良い味をだしてました。
――未来屋書店入間店 佐々木知香子さん

症状のある人のイライラが伝わる。戸惑いとストレス……心が疲弊していく。藁をもすがる思いで保泉クリニックへ。
治るというより防ぐ、原因を調べる。少しだけ改善され病気を受け入れる気持ちを持たせてくれる。ぶっきらぼうな先生と看護師くん。私もアレルギーで諦めた物が多いので過敏になってしまう気持ちが自分かと思うくらいでした。心の動きがリアルに感じました。
私も保泉クリニックで診てもらい……話をしたいです。
――未来屋書店武蔵狭山店 柴田路子さん

著者プロフィール

仙川 環(せんかわ・たまき)
1968年、東京都生まれ。大阪大学大学院医学系研究科修士課程修了。大手新聞社在籍中の2002年、『感染』で第1回小学館文庫小説賞を受賞し作家デビュー。著書に『終の棲家』『潜伏』『誤飲』『疑医』『鬼嵐』『処方箋のないクリニック』「中央新聞坂巻班」シリーズなどがある。

作品紹介

書名:カナリア外来へようこそ
著者名:仙川環
発売日:2024年04月25日

医療ミステリの注目作家が贈る、心温まる新感覚医療小説!
街の片隅にある小さな医院、保泉クリニック。院長の代替わりを機に始まったのは、過敏症の人向けの特別外来だ。
特定のにおいで頭痛が起こるWEBデザイナー、早期退職した夫との時間が増えた途端、体調を崩しがちになった主婦、ある日突然味覚障害になった料理人……。
様々な悩みを抱える患者たちを出迎えるのは、仏頂面で不愛想な女性医師と、優しいけれどおっちょこちょいな男性看護師という、ちょっと変わった2人だった。
心温まる新感覚医療小説、開幕!

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