休み中だからこそ読める? 「死」がテーマのマンガ5選

マンガ

公開日:2020/1/2

 新年のはじめには昨年の出来事を振り返り、今年はより良い年にしようと思う方も多いはず。そんな風に自分を見つめ直したい時にチェックしてみてほしいのが、死生観を揺るがすコミック。本稿では、2019年秋にテレビドラマ化され話題をさらった『死役所』を含む「死」をテーマにした漫画を5作紹介。心機一転に役立ててみてほしい。

■此岸と彼岸の境界に存在する「死役所」

『死役所』(あずみきし/新潮社)

 TOKIOの松岡昌宏さんが主演を務め、テレビドラマ化された『死役所』(あずみきし/新潮社)は此岸と彼岸の境界に存在する、市役所ならぬ「死役所」が舞台。死役所は、さまざまな原因で命を落とした死者が自分の死の手続きをする場所。手続きの過程で判明する死者たちの生前に心が揺さぶられる。また、死役所で働く「シ村」こと市村正道の過去が明らかになってくると、作品の重厚さはさらに増す。「自分の人生とはなんなのだろう」――そう立ち止まりたい時にも手に取りたい作品だ。

■死者と残された者、どちらの気持ちも描いた死漫画

『まじめな時間』(清家雪子/講談社)

 死をテーマにした漫画は重々しくなりがち。しかし、『まじめな時間』(清家雪子/講談社)は深いテーマ性がありながらも、シリアスにまとまりすぎていないため手に取りやすい。女子高校生の植村一紗は遊ぶこと、歌うこと、寝ることが大好き。大好きな人もでき、これからも順風満帆な高校生活を送っていくはずだった。しかし、不運にも一紗は交通事故で亡くなってしまう。死を嘆くクラスメイトと死んだことを受け入れられない一紗。その両方の心境に、じっくり浸ってみてほしい。

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■テレビドラマ化も決定! 救急病院で働く僧医の奮闘劇

『病室で念仏を唱えないでください』(こやす珠世/小学館)

 この冬、テレビドラマ化が決定した『病室で念仏を唱えないでください』(こやす珠世/小学館)は、人気俳優の伊藤英明さんが救急救命医役を演じることでも話題になっている。主人公は、僧侶であり救急救命医でもある松本照円。医師として人の命を助ける照円は仏の教えを説くことで、患者の心も救う。命に対して真摯に向き合う照円を目にすると、こんな僧医に人生を相談してみたいと思ってしまう。魅力的な人柄がドラマでどのように表現されるのかもチェックしたい。

■「おいきなさい」の先に待ち受ける衝撃の結末とは?

『スカイハイ』(高橋ツトム/集英社)

「おいきなさい」――この台詞が印象的な『スカイハイ』(高橋ツトム/集英社)には死生観を変えさせる力がある。物語の舞台は、不慮の事故や殺人によって死んだ者が訪れる「怨みの門」。番人であるイズコは現世の記憶や残された者たちの様子を死者に見せ、その後の行動を3つの選択肢の中から選ばせる。もし自分がこの登場人物と同じ状況だったら、どんな選択肢を選ぶだろう…。そう思いながら読み込むと、「後悔しない人生」の築き方が見えてくるかもしれない。

■男同士の絆にも泣ける! 死者が隠し通したかった「秘密」とは――

『秘密 ―トップ・シークレット―』(清水玲子/白泉社)

 生きていれば、墓場まで持って行きたい秘密は誰にでもあるものだ。しかし、もしそのトップシークレットが暴かれてしまったとしたら…? 『秘密 ―トップ・シークレット―』(清水玲子/白泉社)は、そんな恐怖を抱かせもする。本作は、通称「第九」に所属する捜査官たちが死者の脳に刻まれた記憶を取り出し、事件の真相を暴こうとする物語。加害者や被害者の脳から暴き出される事実に背筋が寒くなり、自分の抱えている秘密との向き合い方を考えたくなるだろう。

 人生は長いように思えるが、案外短い。限られた時間の中で、どうやって命を楽しんでいくかは自分次第だ。「今年こそ後悔しない1年にしたい」と思っている方は、本稿でご紹介した作品を参考にしながら人生の楽しみ方を考えてみよう。

文=古川諭香