敏感すぎて生きづらい…5人に1人がHSP。その特徴、発達障害との違い、適職とは? 【診断チェックシート付】

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更新日:2021/6/17

「発達障害」と「HSP」の違いとは?

「HSP」は小さい頃から過敏で特定の食べ物や衣服しか受け付けないといった経験を持つ人も多く、いわゆる「発達障害」(アスペルガーなどの自閉スペクトラム症)が疑われることもある。

 だが「HSP」と「発達障害」は別のものであり、HSPの子(HSC)に詳しい心療内科医の明橋大二先生によれば「自閉スペクトラム症は人の気持ちに関しては、気づきにくい、空気を読むのが苦手というのがあるがHSCはむしろ人の気持ちを察することにひといちばいたけている」(『HSCの子育てハッピーアドバイス』(1万年堂出版)とのこと。

 ちなみに「ADHD」は多動性・衝動性が判断基準で「HSP」の慎重さとは真逆であり、「体を動かすことを好む傾向や、より強い刺激を求める傾向は過敏性とはあまり関係がない」(『過敏で傷つきやすい人たち』〈岡田尊司/幻冬舎〉より)。

「HSP」はみんな「性格的に内向的な人」?

 精神科医・ユングによれば内向的な人とは「物質的な世界よりも、内面世界に関心のある人」のこと。豊かな内的世界を持ち、深く思考するという「HSP」の性質はこうした内向的な人の特徴に当てはまるため「HSP=内向的な人」と誤解されやすい。だが内向的な人の感覚がみな敏感なわけではないし、3割のHSPは外向的なタイプといわれている。ではなぜ7割のHSPは内向的かといえば「HSPは少人数でいるほうが深く考えやすいので理にかなっている。小規模な人間関係であればそれほどすぐに刺激を受けすぎてしまうこともない」(『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』)からだと考えられる。

外向的で冒険好きなHSPもいる

 HSPのうち3割はディープな内的世界を持つと同時に、社会的な外向性をも兼ね備えている「HSS(High Sensation Seeking):外向的なHSP」だといわれている。大勢でいることも苦にならないタイプだが、自分の限界以上に社交的であろうとするためにフラストレーションを抱えやすいので注意が必要だ。また、中には冒険心が旺盛で退屈を感じてはすぐに行動するタイプもいる。「片足でアクセルを踏み、もう一方の足でブレーキペダルを踏むのにちょっぴり似ている」(『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』)というこのタイプは、自分から求めたはずの刺激で疲弊してしまうこともあり、上手くバランスをとる必要がある。

HSPの人の能力と適職

 共感力が高く相手の気持ちを察知することができるHSPは、サービス業や介護福祉系、カウンセラーなど人を癒す仕事や相手に寄り添う仕事に向いているといわれている。ただし敏感すぎるために余計な情報までキャッチして疲弊してしまわないためには、自分自身を十分にいたわることを忘れないようにしたいもの。また想像力が豊かで内的世界が充実しているので、自然や動物関係や芸術系の仕事も適職だろう。「HSPは環境が整っていない状況下では困難に見舞われるが、適切な環境下ではHSPでない人たちよりもその環境を楽しめる」(『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』)だけに、「自分のペースで仕事ができる」といった観点で仕事を選ぶのもポイントになりそうだ。

 とはいえ多くのHSPの方は、現在もさまざまな職業で頑張っていることだろう。そんなときはHSPならではの働くコツを知っておくと心強い。

『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』(武田友紀/飛鳥新社)には「肩の力を抜いてのびのび働く技術」として、「いろんな仕事が同時に重なった時には『一つひとつやっていこう!』を合言葉に目の前の仕事とは関係ない考えを頭から追い払う」「優先順位をつけられなかったら、無理せずに重要なものをひとつだけ選ぶ」といった具体的なテクニックが数多く紹介されていて参考になるはずだ。

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