若い女性とのやりとりに悩める中年男性へ、“愛されオヤジ”になるヒケツとは?

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/21

若い女性はいつも、昼休みや女子会での話題に飢えている。だから、上司は彼女たちに嫌な思いをさせたが最後、「ねえ、聞いてよ~」と女子会の餌食にされ、瞬く間に嫌なヤツに転落する。もちろん、「自分に落ち度はない!」と思えば、気にする必要はない。好きに騒がせておけばいい。でも、自分と同世代の男がいれば、そちらばかりに女性が集まるのはおもしろくはないはず…。

彼女たちとどう向き合えばいいのかわからず悩んでいる中年男性に読んでほしいのが、『オヤジかるた 女子から贈る、飴と鞭。』(文藝春秋)。漫画家の瀧波ユカリ氏が、「あ」から「ん」までのカルタ形式で、世の中年男性にやんわりとダメ出しをしつつ、“愛されオヤジ”になる方法を提案する。

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○「ま」ちがいは 恐れず 怒らずに!
例えば、会社の飲み会で若い子たちと会話を楽しんでいるとき、「EXILE」を「いぐざえる」と呼んだとする。「“えぐざいる”ですよぉ~」などと横やりを入れられると、「せっかく話を合わせてやってるのに!」と不機嫌になる男性は多いようだ。瀧波氏はこうした経験を経て、「今ではすっかり間違いを聞き流してしまうようになりました」という。聞き流されるようになっては、陰で笑われ続けるしかない。

○「な」り金トークに マナーあり
お金を持っていることを自慢したがる男性には、「気持ちよく自慢したならば、最後に周囲を気持ちよくさせてあげるのがマナーです」と諭す。確かに、聞き上手な若い女性は、相手の気分を害さないように「すご~い」を連発するものだ。しかし、そのままでは後で彼女たちにバカにされること請け合い。自慢した分食事代を支払ってあげれば、「気前のいい人」になることができる。

耳が痛くなる男性も多いだろう。結局、著者は中年男性をバカにしているだけと思うかもしれない。しかし、瀧波氏の愛嬌のある漫画と文章は、“オヤジ愛”にあふれ、中年男性を“オヤジ様”と呼んで、必死に呼びかけるスタンスだ。実際、ダメなオヤジを批判するばかりではなく、気のいい男性がマスコミに踊らされることを心配する面も。

○「ち」ょいワル 気取りは やめておけ!
小さなスペインバルで、カウンターに一人座って眠りこける男性に遭遇した瀧波氏。ドン小西風のメガネをかけ、形が崩れたスーツの上にカラフルなロングショールをぶら下げた姿は、精細を欠くダサい格好だったとか。「ちょいワルを目指すのは悪いことじゃないけど、ちょいワルファッションに身を包んだが最後、ちょっとしたアラが普通にしている時の十倍は目立つと心してください」と注意を促している。

このほか、瀧波は「若い女性にモテたい!」という男性のためのアドバイスも惜しまない。

○「フ」ァザコン よりも 老け専を狙え
「私、ファザコンなんです」という女性に対してその気になってはいけないという。これは性愛的なアプローチではなく、「あなたのことは今のところ男じゃなくて、父親みたいに思っているんです」と牽制しているとか。これに対して、「私、老け専なんです」「枯れ専なんです」と言う女性が少数派ながら存在するという。彼女たちは、男性の魅力を「老い」そのものに見出し、醸し出される官能に酔うと力説する。「加齢臭はワインと同じ。年代ものほど芳しい」という名言も。

年齢を重ねれば重ねるほど、若い子の話を真剣に聞くのはプライドが邪魔して難しいかもしれない。しかし、それでは彼女たちとの距離は離れる一方。一切付き合う必要がなければいいが、職場に限らずレストランや病院、地域の施設に行けば、若い女性に会わないことはない。彼女たちとよりよい関係を築くことができれば、仕事もプライベートも円滑にまわること間違いなし。本書を手に取ってみるだけでも、彼女たちの気持ちを理解しようとする姿勢に好感を持たれるかも。

文=佐藤来未(Office Ti+)