放送事故レシピ「まるごとブロッコリー」も公開! 平野レミの“口の中で帳尻を合わせる”驚きの手抜きレシピ

食・料理

公開日:2015/12/20


『平野レミと明日香の嫁姑ごはん物語』(平野レミ他/セブン&アイ出版)

 今までに、平野レミさんほどネット上で話題になった料理家がいるでしょうか。あのNHKの情報番組『あさイチ』で料理を披露する度に注目度は増すばかり! ヤフーニュースでトップに出たことも。レミさんの料理は、本人がちまちましたことは嫌いということを表すように、「食べれば◯◯」「まるごと△△」といったような大胆なものが多く、「それで大丈夫なの?」と心配になることも。しかし、逆に料理のハードルを下げてくれることで、楽しんで作れるレシピばかり。そんなレミさんならではのレシピを集めた『平野レミと明日香の嫁姑ごはん物語』(平野レミ他/セブン&アイ出版)が発売されました。このタイトルにある「明日香さん」とは、レミさん次男のお嫁さんで、最初はレタスとキャベツの区別も付かなかったのが、レミさんの指導により、今では食育インストラクターの資格を持つまでになったとか。そんな明日香さんとレミさんの対談形式で構成され、それぞれのレシピが生まれた背景なども語られていて、楽しみながらレシピを学べる1冊になっています。今回はこの中から、レミさんを代表するような、食べればシリーズ、まるごとシリーズ、時間をかけないシリーズの3品を実際に作ってみました。あのネットで話題になった放送事故レシピにも挑戦しましたよ。

 本書では、お母さんから教わった「食材や調味料を自分の目で選び、手間ひまかけて作る」“温かい”レシピが紹介されています。見ているだけでほっこりした気持ちになれます。はなちゃんが実際に作っているレシピなので、子どもと一緒に作れるものばかりです。
レシピの他にも、お母さんがいなくなった後のはなちゃんとお父さんとの生活ぶりなどが紹介されていて、読み物としても楽しめます。今回はこの中から、代名詞であるみそ汁をはじめ、懐かしい味の肉じゃが、三色丼を実際に作ってみました。

食べればカツサンド(P.44)


 ボウルにキャベツ、カツ、食パン、パセリを混ぜ合わせ、器に盛ります。そこにお好みで中濃ソースをかければ完成。

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これは口の中で帳尻を合わすという「食べればシリーズ」のひとつ。もともとカツサンドを息子さんに食べさせたかった時に、カツサンドで野菜不足にならない方法を考えていたら思いついたレシピだそうです。パンにカツを挟むのではなく、大盛りの千切りキャベツにカツとパンを散らすという大胆なレシピですが、食べてみると確かに「カツサンド」の味。カツサンドはサンドされているものという概念を見事に打ち砕いてくれました。切って混ぜるだけなので、食べたい時に本当にすぐに作れますよ。

まるごとブロッコリーのたらこソース(P.66)


 耐熱ボウルにブロッコリーを入れ、水、塩、バターを散らしてふんわりラップをかけたら、電子レンジで7分ほど加熱します。フライパンでバターと小麦粉を炒め、牛乳を少しずつ加え、ダマにならないようによく混ぜます。ひと煮立ちさせたら火を止め、たらこを加えればたらこソースの完成。器にブロッコリーをのせ、上からたらこソースをかければ完成。

 これがあのヤフーでトップニュースとして出た問題の料理です。もともと、ブロッコリーは料理になるといつもバラバラになって出てくることから、ブロッコリーに敬意を表して、まるごとの姿で調理することを考えついたそう。しかし、本番では立たせたのは良かったけれど、出来上がりの瞬間に倒れてしまい、その衝撃的なブロッコリーの姿からネット上で「放送事故料理」として話題になりました。実際作ってみた際に、ブロッコリーを立たせようとしたのですが、かなりのバランスが必要なため立たせることは断念しました。しかし、レミさん曰く、「倒れていようが味に変わりはありません。」と。まったくその通りで、濃厚なたらこソースが、茹でて少し甘みが増したブロッコリーにたっぷりかかって、一度にこんなにたくさんのブロッコリーを食べたことはない!というくらい、つぼみから茎までペロッと美味しく食べられました。

揚げないがんもどき(P.166)


 ボウルに、電子レンジで加熱した玉ねぎとにんじん、木綿豆腐、ツナ缶、卵、片栗粉、塩を入れてよく混ぜ、小判形にします。これを、サラダ油を熱したフライパンで両面よく焼きます。最後に、皿に盛り、七味マヨネーズをつけて頂きます。

 これは、時間をかけずに心をこめるレシピの1つ。時間をかけることが必ずしも心のこもった料理ではなく、同じ時間をかけるなら、一緒に食べる時間にかけた方がよっぽど意味があると書かれていて、思わず納得してしまいました。だからと言って、出来合いのものばかりを使うのではなく、自分の舌で確かめた料理を食べさせたいという思いから生まれたレシピだとか。確かに、通常のがんもどきであれば、揚げたりして、作るのも後片付けも大変だったりしますが、これであれば混ぜて焼くだけなので、簡単でしかもヘルシー。がんもどき自体はシンプルな味ですが、ここに七味マヨネーズをつけると、マヨネーズのコクとピリリとした七味の味がうまくマッチして美味しい!冷めても美味しく食べられるので、お弁当にもオススメですよ。

これなら料理が楽しく作れるはず!
 一般的なレシピ本であれば、分量通りに作らないと何か失敗してしまうのではないか…と不安になることがあります。しかし、このレミさんのレシピ本だけは、もともとのスタンスが分量は手の感覚と書かれているくらいなので、いつもとは違って大きな気持ちで料理を作ることができました。食べればシリーズやまるごとシリーズなどにも言えることなのですが、どこか実験的な要素を含んだレシピが多く、出来上がりをワクワクしながら作ることが出来る、とっても楽しいレシピ本でした。この感覚を経験したら、きっともっと料理が楽しいものになるはずです!

文=JUNKO