【対談連載/第2回】蒼井ブルー×紗倉まな 蒼井ブルーによる紗倉まな撮りおろしストリートスナップも!

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公開日:2016/7/2

ツイートをまとめたエッセイ『僕の隣で勝手に幸せになってください』『NAKUNA』がベストセラーとなっている写真家・蒼井ブルーさんと、『最低。』で小説家デビューを果たした人気AV女優・紗倉まなさん。ともに「本業」を持ちながら、「言葉の仕事」も大切にしている二人が初めて顔を合わせた。実感のこもった名言の数々……。蒼井ブルーさんによる撮りおろしスナップも必見!!

本好きの友達に出会って、人生が変わりました。(紗倉)

写真=蒼井ブルー

蒼井:もっとまなさんの小説の話をしましょうよ! 僕ね、桃子(第2章のヒロイン)が好きすぎて抱きしめたいんです。

紗倉:うれしい!

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蒼井:桃子は人に優しくしてばっかりじゃないですか。だから、僕が桃子に優しくしてあげたい。本を読んでいて、桃子の姿がはっきり目に浮かぶんですよね。まなさんの文章、すごいですよ。

紗倉:ありがとうございます。本の中には4人のAV女優の子たちが出てきて、読む人によって誰が一番好きかは違うと思うんですけど、「桃子が好き」って言ってもらえると私はすごく安心するんです。あやこ(第4章のヒロイン)を好きって言ってくれる方は、自分と同じダークネスな部分があるんだろうな、とか思ったり(笑)。

蒼井:確かに好みが分かれるかもしれないですね。あやこの章も面白かったですよ。4つの話が、ところどころで繋がっていたりするじゃないですか。鳥肌立ちましたよ。「あ、この人知ってる!」みたいな。「今そんな感じになってるんだ~」とか、「昔そんなことがあったんだ!」とか……。まなさんは昔から小説が好きで書いてたんですか?

紗倉:いえ、活字はずっと苦手だったんです。夏休みの宿題の読書感想文も、親に書いてもらっていたんですよ。でも、高校に入ってからクラスにとんでもない美人がいて……。

蒼井:え? まなさんより美人なんですか? そんな人いませんけども。

紗倉:私なんかクソミジンコみたいなもんですから。

蒼井:クソミジンコ(笑)。 ミジンコの上にクソなんですか(笑)。

紗倉:はい(笑)。それで、とんでもなく美人のその子が、むちゃくちゃ本を読む子だったんです。彼女はすごく聞き上手だし、話していると感性がきれいっていうか、「そうだねわかるわかる」みたいな感じじゃなくて、「私はそう思わないけど、そういうふうに思うって感覚はわかるよ」みたいな。そうか、本ってきっと、人の心を豊かにするんだなって思ったんですよね。私も読んでみたいなぁと思い始めた時に、彼女から「この本、すごくあなたっぽいからぜひ読んでみて」って勧めてもらったのが、桜庭一樹さんの『少女七竈と七人の可愛そうな大人』だったんです。読んだらすごく面白くて、「ほんとだ、私にぴったりハマるような気がする!」って。そこからどんどん本を読むようになったんです。

蒼井:人生変わった、みたいな。

紗倉:はい。その子と出会っていなければ本を好きになるきっかけも時期がずれていたかもしれないし、もしかしたら本を好きになること自体なかったかもしれないです。

蒼井:お友達に勧めてもらった最初の1冊がきっかけで、そこから読み漁るわけですか?

紗倉:読み漁りましたね。『少女七竈と七人の可愛そうな大人』を書いた桜庭一樹さんのことをネットで調べて、当時出ていた本を全部買って、はまって。桜庭さんの本を全部読んじゃった時は、ものすごい喪失感がありました。どうしよう、この後好きな本に出会えるのかなって……。でも、とりあえず次はミーハーなところで村上春樹さんに行って(笑)。東野圭吾さんに行って、それから江國(香織)さんとか三浦しをんさんとか、女性作家を読むようになって、そうこうしているうちにいっぱい読んでいて。

取材・文=吉田大助

第3回は7月3日(日)午前11時更新!

第1回→https://ddnavi.com/news/308917/

(プロフィール)
蒼井ブルー(あおい・ぶるー)●大阪府出身。きゃりーぱみゅぱみゅをはじめ、原宿のファッションアイコンを起用して行ったストリートスナップが話題を呼び、カメラマンに。ファッション系人物撮影をメインに広告、誌面、ウェブなど幅広いシーンで活躍中。日常を独特なタッチで綴るTwitterでは16万近いフォロワーを抱えるなど、発言にも注目が集まる。

(プロフィール)
紗倉まな(さくら・まな)●1993年3月23日、千葉県生まれ。工業高等専門学校在学中の2012年にSODクリエイトの専属女優としてAVデビュー。2015年にはスカパー! アダルト放送大賞で史上初の三冠を達成する。テレビ出演や雑誌の表紙グラビアなどでも活躍し、『週刊プレイボーイ』(集英社)、『messy』(サイゾー)でコラムを連載中。著書に『高専生だった私が出会った世界でたった一つの天職』(宝島社)がある。