「高齢者の性、母親の性。タブー視されているものに挑戦した」紗倉まな、待望の新作『春、死なん』で見せる新境地
現役のAV女優として第一線で活躍しながらも、作家としての快進撃を続ける紗倉まなさんが、待望の第3作目となる小説『春、死なん』(講談社)を上梓した。
紗倉さんが作家としてデビューしたのは、2016年2月のこと。『最低。』と題した作品で、自身も所属するアダルト業界を舞台に、性と向き合う人々の姿を詩的な文章で瑞々しく綴った。同作の評価は高く、2017年11月には実写映画化もされ、話題を集めた。
続く第2作目は2017年3月に発表した『凹凸』。母と娘、そして父との関係を軸にした物語は、チャレンジングな構成が光り、紗倉さんの作家性の鋭さを世に知らしめたと言えるだろう。
そして、今回の『春、死なん』でも紗倉さんの進化は止まらない。70歳の高齢男性を主人公に据え、孤独な老人が性と向き合う姿を真摯に描いている。また、同時収録されている「ははばなれ」では、“母親の性”に言及した。老人の性と母親の性。多様な意見が尊重されつつある現代においても、これらはまだまだタブー視されがちな話題だ。紗倉さんはなぜ、敢えてそこに切り込もうと思ったのか。先日開催された『春、死なん…