お母さん! 今日もお子さんを脅しませんでしたか?

出産・子育て

公開日:2016/11/10

「この子は、ここがダメだから、ここを練習させる…」
のではなく、
「この子は、ここがいいから、ここをもっとやろう!」
がいい。

 以前、著書を出版した時に、とてもお世話になった編集者の方と、読者像について話している時、こんなことを教えていただきました。

「先生、こういう本は本当に子育てに困っていて、虐待や悩みを抱えてしまうような人は読まないんですよ。もっと良くしよう、自分のこだわりをこう伸ばそう、と前向きに思っている人でないと、500円でも本のためにお金を出そう、なんて思ってくれないんです」

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 なるほどな、と思いました。

 少し話が変わりますが、住宅のリフォーム会社の営業は、ボロボロで、明らかにリフォームが必要な家ではなく、まだまだリフォームなんていらないのでは?というピカピカの家や住んでいる人のこだわりを感じる家を回ると聞いたことがあります。教育でも、リフォームでも、自分なりにこうしたい、ああしたい、こう頑張って来た、ああやって来た、というものがある人だから、さらにあれもしよう、これもしようと思えるのですね。

 そう考えると、お子さんに何かをさせたい、こういう経験や練習をさせておきたい、と思うなら、ダメ出しを起点にするのではなく、あなたのいいところをもっと伸ばすために、とか、楽しみをもっと増やすために、という方向性の方が良さそうです。これはお子さんを調子に乗せよう、天狗にしよう、という話とは違います。私の教室での経験上も、子どもの欠点や間違いを指摘して、だからこうしなきゃダメだよ、ということよりも、できてるよ、次はもっとこうするといいね、という励ます方向性の方が、子どもの素直さを引き出すことができると感じます。

 また話が少し変わりますが、私は元来、虫歯ができにくい体質のようです。その上、そのことを歯科衛生士さんや歯医者さんから、どこの歯医者さんにかかっても褒められるものですから、すっかりいい気になって、歯磨きは毎晩、毎朝、気持ちよくできるのです。「このままでは、虫歯でボロボロになりますよ」「あなたの歯では、よほど真剣に手入れしないと、ほとんど歯が残りませんよ」と、正論かもしれないけれど、怖い想像で歯の手入れを要求されていたのでは、その時はやる気になれたとしても、忘れてしまうか、もうどうせいいや、と投げてしまうか、になりやすいのです。

 お子さんに何かをさせたいなら、いや、子どもに限らず、大人でもですが、脅しや恐怖を煽ることよりも、より良いところを伸ばすために、楽しさを増やすために、と真剣に考えることをおすすめします。

文=citrus私立小学校教師 青木洋介