鈴木亮平があまりにもハマり役すぎる実写版『シティーハンター』。予備知識なしでも楽しめるアクション映画

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公開日:2024/5/9

シティーハンター
Netflix映画『シティーハンター』©北条司/コアミックス 1985

シティーハンター
シティーハンター』(北条司/コアミックス)

 漫画家・北条司が生み出し、アニメ・舞台・ドラマ等々様々なメディアミックスが行われている人気作『シティーハンター』。過去にはジャッキー・チェン主演の香港版、フィリップ・ラショー監督・主演のフランス版が制作されるなど、世界で愛されている同作が、鈴木亮平主演で実写映画化された(Netflixにて独占配信中)。

 東京・新宿を拠点に、裏社会での様々なトラブル処理を請け負う超一流のスイーパー(始末屋)・冴羽獠(鈴木亮平)。身体能力が飛躍的に向上し、精神が凶暴化する人々が出現する怪事件を調査していくなかで、その陰に潜む巨大な陰謀を知ることになる。鈴木に加え、ヒロインの槇村香を、Netflixシリーズ「全裸監督」の森田望智が演じ、安藤政信や木村文乃も出演。『ストロベリーナイト』の佐藤祐市が監督を手掛けた。

 歴史ある作品の日本初となる実写映画化ではあれど、観る側に予備知識は必要ない。ストーリーは極めて分かりやすいエンタメ感満載の内容であり、広義の探偵ものとしての面白さが前面に押し出されている。明快な物語は間口が広いぶん飽きやすくなる危険性もあるが、まだるっこしい要素や湿っぽい間(ま)は排し、テンポ感重視でサクサクと物語が転がっていくのが小気味よい。話こそシリアスで流血シーン等もあるものの、全体の割合的にはコメディ要素も多めでバランスの良い印象だ。ただ、肝心の映像がチープだと興覚めしてしまうもの。その点本作は、舞台となる新宿から巨悪のスケールを感じさせる研究所のシーン、コスプレイベント、高所での見せ場等々、観客がのめり込めるようにビジュアルで映える“場”をきちんと用意している。

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シティーハンター
Netflix映画『シティーハンター』©北条司/コアミックス 1985

 かつ、冒頭から見ごたえのあるアクションを要所に配し、観る者を「おっ」と画面に引き寄せるような構成になっている。例えば冒頭シーンは「依頼人の行方不明になった妹を追い、獠が窓を突き破って暴力団に突撃→構成員と交戦になるも瞬く間に倒してしまう」というシークエンスが流れるように展開する。序盤は構成員・中盤は暗殺者・終盤では武装した兵隊と、一対多数のバトル(殴る・蹴る・刃物を捌く・銃を撃つ等)が中心に用意されているが、徐々に相手が強くなるなかで獠の美技がさく裂し、キャラクターの魅力の構築にもつながっているのが上手い。冒頭、獠が敵から奪った銃を瞬く間に解体してしまう早業シーンも見事だ。

 そしてやはり、主人公・獠に扮した鈴木亮平のハマり具合が、本作の最大の武器といえるだろう。「もっこり」が口癖の無類の女好きでちゃらんぽらんな性格でありながら、心に揺らぐことのない正義を持ち、困っている人々を見捨てない。鍛え抜かれた肉体でコミカルな裸芸を披露したかと思えば、目にもとまらぬ素早い動きで悪漢を次々と片付けていく獠。シーンごとに二枚目と三枚目を行き来し、「もっと観ていたい」と皆に愛される要素を備えたヒーローを実にスマートに演じ切っている。肉体改造含め、生身の説得力が随所に感じられるのも嬉しいところ。本人が大の原作ファンであり、脚本会議から参加したというからその気合の入りようは並々ならぬものがある。

 100tハンマー、海坊主、『Get Wild』等々、原作ファンならニヤリとさせられるであろう要素もお目見えするNetflix映画『シティーハンター』。娯楽性・明瞭さ・本気度――X・Y・Zの3軸を兼ね備えた一作が誕生した。

文=SYO

シティーハンター
Netflix映画『シティーハンター』©北条司/コアミックス 1985

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