「ちょっと不健全」が生むひずみ…行定勲監督による映画化で話題の、若者群像劇
更新日:2012/3/2
この作品は、2LDKで同居する5人の男女を描いた連作短編なのですが、大学生だったり会社員だったり男娼だったり(!)、その素性はさまざま。
先輩の彼女に恋をした。
過去の恋愛をとり戻したくて、執着する。
不足を補うために酒をあおる。
本音を隠して、自分をつくって他人とつきあう。
彼らの人生なんて、そんな特殊なものではないのです。むしろありふれていて、「いやいやそれはやめときなよー」ってことが多少あったとしても、それは誰にだってあることで。
それぞれがそれぞれの「普通」を生きて、共感できたり、ばかだなあと思ったりしながら読み進めていくのですが、次第にどこか不穏な空気がただよい、その「ひずみ」が生むラストに呆然とさせられます。その衝撃に、とにかくどういうことかと読み返さずにはいられないのですが、だけど彼らがどうしていればよかったのかは、やっぱりわからない。
日常が崩壊するきっかけはたぶん、たいていは「ちょっと不健全」なことだったりして、ずるずる続いていくうちにそれが形の見えない「ひずみ」を生み、気づいたときには止められなくなっているものなのでしょう。
読み終わったとはとにかく、ぞっとします。
自分の判断や、考えていることや、いまがんばっていること、すべてが揺らぐような感覚に陥るのです。なので、個人的にはおうちで一人で読むよりも、家族のいる場所や、カフェや電車のなかなど人のいる場所で読むことをおすすめします。
スクロールすると出てくる目次は、カラフルにデザインされていて、ちょっとかわいい
フォントの大きさだけでなく、画面の明るさも変えられます