失敗しない副業の秘訣は? ビッグビジネスよりも「自分の身の丈」を知る、ビビりのための起業法

ビジネス

公開日:2020/9/16

『ビビりの起業法』(中村裕昭/総合法令出版)

 コロナ禍による経済的な不安や職場のリモートワーク化などを受けて、昨今副業への関心が高まりつつある。
 
 スマートフォン・IT分野のマーケティングリサーチ会社・MMD研究所が発表した統計によれば、スマートフォンを所有する20歳~59歳の男女2169人のビジネスパーソンのうち、在宅時間が増えたと回答した1454人の中で「副業」を始めた人たちは10.5%にのぼっている。
 
 しかし、副業への興味があっても「自分が何を売ればよいのか」と、二の足を踏んでしまっている人たちも多いはず。そんな方々に紹介したいのが、小さな規模での起業をすすめる『ビビりの起業法』(中村裕昭/総合法令出版)だ。

「安く仕入れて高く売る」を貫けばいい

 本書の著者は、なかば見切り発車で始めたビジネスでくじけて1000万円もの借金を抱えるという大きな失敗を経験したものの、のちに年収2億円を稼ぐほどの逆転劇を味わったという人物だ。紹介されているノウハウは経営者や起業家に向けて書かれているようにもみえるが、ちりばめられているヒントは、これから副業として「何かビジネスを展開してみたい」と思う人たちにもきっと役立つ。

 例えば、著者は商売について「誰でも結果を出せる」と力説する。そもそも原理原則からすれば「安く仕入れて高く売ること」を貫けばよいわけで、イチかバチかではなく、「世の中で正しいとされているビジネスの手法をコピー」すれば、大きく外すことはないと持論を展開する。

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 ただ、現実をみると、結果として大損をこうむる人たちもいる。著者はこれについても言及していて、「思い込みで一つの道にすべてを賭けてしまうから、どこかでギャンブル的な要素が強くなってしまう」と、その原因を分析する。やはりまずは、身の丈に合った範囲で展開していくのが、初めの一歩となるのだ。

喜怒哀楽ではなく、「数字や結果」をみる

 無事にビジネスを立ち上げたとしても、それがゴールではない。実際に始めてみるとさまざまなトライ&エラーを繰り返さなければいけないが、著者は日々の中で「主観抜きで、目の前の現象だけをフラットに捉える」ことに徹底するようアドバイスをする。

 商売を手がけるとなると自分が何を「売りたいか」と考える人もいるだろうが、実は、これが失敗の種になりうる。シンプルに自分が提供する商品やサービスが「売れるかどうか」に注目するべきなのだ。だが人間は自分の選択が間違っていたとは認めづらいもので、時間が経てば経つほど引き返せなくなる可能性もある。

 これを避けるために心がけておくべきなのが、「判断基準を自分の主観から数字や結果」に転換していく意識である。感情は誰もが持ち合わせているものだが、商売に関してはその基準を目の前の喜怒哀楽に委ねるのは危険。成功している場面では浮かれてしまい先に続かず、失敗した場面では不安から身動きが取れなくなる可能性もあるので、肝に銘じておくべきだろう。

ビジネスの基本は誰かのための「問題解決」

 何を売れば稼げるのか。あるいは、何を売ればよいのかということの答えはひとつではない。ネットでもお客さんの心をつかむことができる現在は、それこそ可能性が無限に拡がっている。ただ、選択肢が多いからこそ迷う人たちもいるかもしれない。どんな形にせよ、すべての商売は「問題解決の代行」がベースにあるはずだと著者は語る。

 例えば、水道やパソコンの修理業者は、お客から対価をもらい、壊れたモノを直す仕事だ。街中でみかける飲食店も、お客の「お腹が減った」「お酒を飲みたい」といった問題に応えているからこそ、商売として成り立っている。

 考え方はシンプルで「問題をすでに認識している人に、その解決策を売る」ということができれば、どんなものでもビジネスになりうる。こう考えると、昨今フリマアプリやスキルシェアアプリでは個人間のビジネスも定着しつつあるのもうなずける。ひょっとしたら、自分にとってささいな知識や経験が、大きなビジネスに化けるかもしれないのだ。

 さて、ここで紹介した内容は書籍『ビビりの起業法』のごく一部だ。働き方や稼ぎ方の選択肢が広がりつつある今、このエッセンスは必ずやあなたの背中を押してくれるだろう。

文=カネコシュウヘイ

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