副業初心者の会社員が安全に稼ぐには? 人生の選択肢を広げる“副業本”5冊

ビジネス

更新日:2020/10/12

 新型コロナウイルスの影響で、新しい働き方の模索や収入源として「副業」が注目されている。働き方改革により、副業を解禁する企業が増えたことも背景にはあるだろう。

「副業で稼ぎたい」とはいえ、具体的に何をすればいいのか、仕事の選び方や確定申告といった手続きに不安を覚える人も少なくない。実際、これまでにないビジネスを立ち上げ、成功した人がいる一方で、副業詐欺に遭い、むしろ損をしてしまったケースもある。

 自分の理想とする働き方や稼ぎを実現するためには、どんな副業を選べばいいのだろう。そこで本稿では「副業」について正しく学ぶための5冊を紹介する。リスクではなく、安全をとりながら、人生の選択肢を広げる仕事選びや考え方を身につけていこう。

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残業より副業のほうがおすすめな理由――お金の教養を学ぶ1冊

本当の自由を手に入れる お金の大学
『本当の自由を手に入れる お金の大学』(両@リベ大学長/朝日新聞出版)

『本当の自由を手に入れる お金の大学』(両@リベ大学長/朝日新聞出版)は、お金に困らない人生を送るためのコツが詰め込まれた1冊。著者は、お金の教養をYouTubeやSNSなどで解説し、節約や貯蓄、稼ぎ方などお金に関する悩みをスッキリと解決してくれると人気の両@リベ大学長さんだ。

 本書は、一生お金に困らない基本の力として「貯める」「稼ぐ」「増やす」「守る」「使う」の5つを挙げ、それぞれを詳しく解説する。例えば「稼ぐ」にあたる副業については、以下のような“節税”メリットを挙げている。

①経費が使える
②青色申告特別控除が使える
③社会保険料の負担が減る

 副業を始めるより、会社で残業をして給料を増やしたほうがいいのでは…と思うかもしれないが、実は会社とは別の収入源(事業所得)を持つことは、税金面でかなり得をする。同じ1000万円の年収でも、副業で700万、給与で300万円という場合には給与所得のみの時と比べて、年間73万円も手取りに差が出るという。

 基本的なお金の教養を学びつつ、著者が語る「注意すべきNG副業」や、ウェブデザイン、ブログなど在宅で気軽に始められる副業は必見。本書を読めば、お金に困らず自由でゆとりのある生活を掴めるのが、決してごく一部の成功者だけではないと思えるはずだ。

サラリーマンという「本業」を「副業」に生かす――生涯年収を最大化させる考え方

転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化する生き方
『転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化する生き方』(moto/扶桑社)

『転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化する生き方』(moto/扶桑社)は、本業・副業・転職の3つを「かけ算」にすることで、生涯年収を最大化するという「これからの生き方」を提案する1冊。著者のmoto氏はリクルートなど人材系で4度の転職をおこない、会社員としての年収を240万から1000万円に増やし、副業年収ではなんと4000万円(本書発売時)を達成している。

 本業で培った転職や副業に関する知見をTwitterやnoteで発信することで、本業以外の収入を得られるようになったmoto氏。彼は「本業」を「副業」に生かすという考え方をベースにしており、サラリーマン向けの副業として「コンテンツ配信」を勧めている。

 サラリーマンは日々、組織で働きながら、さまざまなことを学ぶ。自分にとっては「当たり前」のことでも、実は他の誰かにとっては「喉から手が出るほどほしい情報」ということもある。これらを「コンテンツ配信」に結びつけられれば、副業を始めるために大きな投資は必要ない。

 また、ブログやTwitterなどで始められるコンテンツ配信は、基本的に週5日間、日中7時間以上は本業に拘束されてしまうサラリーマンの副業として、比較的取り組みやすいという魅力もある。

 著者の副業年収4000万円という金額だけを聞くと、自分には無理と感じてしまうかもしれないが、本書を読むと「個人で稼ぐ力を持つ」ということは決して特別なことではないと分かるだろう。

好きなことを副業から小さく始めてみる――大人の週末起業の始め方

大人の週末起業
『大人の週末起業』(藤井孝一/クロスメディア・パプリッシング)

『大人の週末起業』(藤井孝一/クロスメディア・パプリッシング)は、ベストセラー『週末起業』の著者である藤井孝一氏が、大人向けに週末起業の始め方を書き下ろした1冊。40代、50代のミドル層のサラリーマンが経験や人脈、趣味などを活かして、本業以外の収入を得るための方法を解説している。

 そもそも週末起業とは、会社に勤めながら、週末は自分のビジネスを立ち上げ、軌道に乗ったら独立するという起業スタイルのこと。いわゆる自分の得意な分野や好きなことで副業を始めてみるのだ。本業がある以上、とりあえず生活の心配はないため、起業未経験者であってもいくらか気軽に始められるだろう。

 また、雇用されて働くということは、自分を押し殺さなければならない機会も多く、ストレスを抱え込みやすいものだ。その点、起業すれば自分が社長である。業務内容にストレスがないとは言い切れないが、やりがいも大きい。

 本書は初心者でも挑戦しやすいよう、起業に関する知識や情報を「準備」と「実践」に分け、丁寧に解説している。生活のため、お金のために、やむを得ず仕事をしている、という人にとって、「ひとまず本業で暮らしの保証をしながら、週末は自分の好きなことで起業してみる」という本書は、一読してみる価値があるだろう。

副業で安全に「投資」を始めるには? ――組み合わせ投資のすすめ

サラリーマンは寝ながらお金を増やしなさい
『サラリーマンは寝ながらお金を増やしなさい』(加藤鷹幸/秀和システム)

『サラリーマンは寝ながらお金を増やしなさい』(加藤鷹幸/秀和システム)は、投資や不労所得に興味がある人の入門書としておすすめの1冊だ。著者は投資で毎年1000万円の不労所得を得られるようになり、脱サラした加藤鷹幸氏。本書は著者の体験談をベースに「組み合わせ投資」について分かりやすく解説している。

 本書によると、副業には大きく分けて3つのパターンがある。1つ目は時給で働くアルバイトや、1記事書いたら●円というクラウドソーシングを利用して働く「時間労働型」。2つ目は一攫千金も狙えるが、大きく損をする可能性もある「ギャンブル型」。3つ目は、初期投資は必要だが、仕組みさえ作れば自動的にお金が入ってくるようになる「ストック型」だ。本書は「ストック型」にあたる投資信託、ヘッジファンド、不動産投資を組み合わせた複合型の投資を推奨している。

 とはいえ、投資という言葉に危ない響きを感じる方も多いだろう。もちろん、著者もむやみに挑戦するのではなく、自分の年収や預貯金の状態を俯瞰し、最初にロードマップを構築することが大切だと述べている。

 本書では著者自身が不労所得を確立するまでのロードマップが公開されており、興味のある人には非常に参考になるだろう。副業において、投資は選択肢のひとつである。爆発的に収入を伸ばすことは難しい会社員という働き方。その現状から1歩抜け出すため、本書を手に取ってみるのもいいだろう。

収入が上がれば本当に幸せ? ――幸せな働き方・お金との向き合い方を考える

月収15万円だった現役介護士の僕が月収100万円になった幸せな働き方
『月収15万円だった現役介護士の僕が月収100万円になった幸せな働き方』(深井竜次/KADOKAWA)

『月収15万円だった現役介護士の僕が月収100万円になった幸せな働き方』(深井竜次/KADOKAWA)は、低収入から脱却するための考え方やノウハウのヒントを詰め込んだ1冊。著者は「派遣社員×副業(ブログ)」という働き方を実践して、お金に関する不安を手放した介護士の深井竜次氏。派遣社員でありながら、収入を正社員の約7倍にアップ、さらに短時間労働や地方暮らし、在宅ワークを実現している。

 本書は、お金に関する不安を拭う新しい働き方や考え方を提案している。例えば、「お金を稼ぐ」という言葉に罪悪感を持つ人は多い。お金のことばかり言うのは卑しい、というイメージがあるのかもしれない。しかし著者いわくお金の稼ぎ方や使い方を真剣に考えることが人生を豊かにするという。

 お金を稼ぐために大切なのは「いかに継続するか」を考えることである。お金を稼ぐために無理をして体調を崩し、本業にまで支障をきたすことになれば、逆に収入は落ちてしまう。今すぐ結果を出してやろうと思わず、じっくり努力を継続できる環境を整えることが先決なのだ。

 また、著者は月収100万円でも生活費は月に約8万3000円程度におさえているという。その背景には「今より5倍の家賃の家に住んだとしても、幸福感が5倍になるとは思えない」という持論がある。とはいえ、月に1度は彼女と高いディナー、有名な美容室で髪を切ってもらうなど、お金を使うことも楽しんでいる。このメリハリが、幸せに生きることにも繋がっているのかもしれない。

 将来への不安から副業を検討している人は多いだろう。しかし収入アップと幸福度が必ずしもイコールで結びつくとは限らないのだ。お金と真剣に向き合うこと、幸せな生き方とは何かを、本書は教えてくれる。

 本稿で取り上げてきた書籍の内容を振り返ると、正しい「副業」選びとは単に報酬の良し悪しではなく、自分のライフスタイルや興味に合ったものだと言える。「とりあえず」や「なんとなく」で選んで、損をしたり、続かなかったりするのは避けたいところだ。

 そのためには、自分のやりたいこと、理想とする生き方などを前もって考えておく必要がある。本稿で取り上げた書籍は、その点でも大いに役立ってくれるはずだ。ぜひ気になった本を手に取り、自分に合った「副業」を検討してほしい。