金の亡者となった男の壮絶なピカレスクロマン

公開日:2012/11/16

銭ゲバ (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 :
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:ジョージ秋山 価格:432円

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銭ゲバは昭和45年から1年間、子供向け漫画雑誌『少年サンデー』に連載されたコミックだ。オンタイムでお子様だった僕は、毎週読んでいたものの、内容の過激さにはかなりショックを受けていた。

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当時としては、そもそもこの作品が少年誌に載ったこと自体が衝撃的で、スキャンダラスで、社会的に問題視されたものだ。もちろん、こういうお騒がせ作品を映画業界が放っておくはずもなく、映画化もされた。主演はこれまたアングラ演劇の悪の華、唐十郎だった。09年に松山ケンイチでテレビドラマ化された方を、ほとんどの人は覚えているのではないだろうか。

蒲郡風太郎は容貌が醜く、父は最悪の出来損ない、優しい母は病弱で、おまけに極貧と、ハネマンのような辛い生活だった。なんとか健気に生きようと頑張っていたが、治療費が払えないばっかりに母を病死させてしまったことから、「世の中は銭だ。銭、銭が欲しい」と金の亡者と化し、殺人を繰り返しながら成り上がっていく。

そういうストーリー。
ピカレスクロマンと言ってしまえばそれまでだか、その頃の子供雑誌にはあり得なかったヌード描写や、レイプシーンが露悪的なまでに頻出し、漫画という表現そのものが問われた。
つまり、『銭ゲバ』は「行き過ぎ」だったのである。

しかし、現実はさておき、文化には「過剰」や「過激」のおもしろさ、強さというものがやっぱりある。欲望をとことんまで突き詰めて、人間的な感情を捨て去ったら、どんなことが起きるか、意外にもそこには「暗い爽快感」が待っているのだ。いや、漫画の中のことだけだけど。


こどものころはいじめられっ子だった

貧乏のため母は医者にも見てもらえないまま死ぬ

金がすべての修羅と化す

そして最初の殺人

大金持ちに取り入り美しい女性と出会うのだが…
(C)ジョージ秋山