ツッコミ=ジャッジではない/ツッコミのお作法⑪
公開日:2025/2/17
ツッコんでいると相手には気付かせないステルスなやり方
お題③「知ったかぶりしがちな人に、気を悪くされない程度にツッコミたい」
仕事に限らず発生しそうなシチュエーションですね。知ったかぶり自体はそこまで悪いことではないと思います。成敗しなきゃいけないほどではないけど、そのままスルーするとちょっとモヤモヤするところはありますよね。なので、「毎度ご存知ですよねぇ」「博識さんだなぁ」みたいに、褒めているトーンだけど自分の中ではいじっているようなスタンスでいくのがいいんじゃないでしょうか。
あまりにもしつこく知ったかぶりしてくる場合は、いっそボケてる感じで「知ってますねー。"知る人"と書いて“知人”ですね」くらいまで踏み込んでもいいかもしれません。その後も知ったかぶられたら「“知人”っすねぇ」と追い討ちをかけましょう。そうやって状況ごと楽しめるといいですね。本人にはツッコミだと思わせないけど、自分の中ではツッコんでるからモヤモヤは晴れるというステルスツッコミです。
■ツッコミ例
「博識さんだなぁ」
「”知る人”と書いて”知人”ですよ、もう」■ツッコミ名称
ステルスツッコミ■解説
知ったかぶりをしがちな人に対して、本人にはバレないように軽くいじりつつツッコむときなどに有効。
自分の価値観を押し付けるツッコミはリスクが高い
お題④「初対面の人との会話にいつも困る。ツッコミによって『話しやすい人』と思ってもらうことは可能?」
これは大事なことですが、ツッコミは万能ではありません。僕も日常生活ではよっぽどツッコまなきゃいけない状況以外はツッコみません。特によく知らない相手に対してむやみにツッコむと、どんどん人が離れていきます。言えることがあるとすれば「できるだけ自分の価値観を押し付けないツッコミを心がける」ということでしょうか。ツッコミはそもそも役割として訂正や否定を担う部分が大きいので、どうしても上から目線に思われてしまうリスクがあります。
たとえば初対面の人と趣味の話になって「いろんな製造年の10円玉を集めるのが趣味です」と言われたとき、「変な趣味だな!」というツッコミは自分の価値観に基づいています。「変」だというジャッジが入っているので、関係性のない人に言われたら嫌な気持ちになる可能性がありますよね。その代わり「珍しっ!」や「稀有ですねー」だったら、だいぶ印象が変わってきます。いろんな製造年の10円玉を集めるという趣味は、客観的な事実として珍しくはあるはず。その話を広げるために価値観を付け加えるなら「こんな珍しい趣味の人に会えるなんて、ギザ10見つけた時くらいワクワクします!」くらいポジティブにして、向こうに気持ちよく話してもらいましょう。
■ツッコミ例
「10円玉集めが趣味なんですか?珍しっ!」■ツッコミ名称
ノーリスクツッコミ■解説
自分の価値観を排して、客観的な事実に基づいてツッコむ手法。相手の話に対するジャッジの意図を含まないので、不快な思いをさせるリスクが減少する。
これまでと形式を変えてみましたが、いかがでしたでしょうか。日常生活や仕事の場で使ってみて、うまくいったものがあったらぜひ教えてください。もちろん、うまくいかなくてもぜひ教えてください。しれっとこのエッセイから削除させていただきます。

(取材・文/斎藤岬)
<第12回に続く>
森本晋太郎(もりもと・しんたろう)/1990年、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。