トム・ブラウン布川ひろきのエッセイ連載「おもしろおかしくとんかつ駅伝」/第11回「荻窪」
公開日:2025/1/31

北海道から上京して早いもので15年がたちました。上京した時はお金が本当になく朝と昼はローソンのポイントで引き換えたヨーグルト1つでしのぎ、夜は特盛のお米を買って卵だけかけて食べるか、兄貴がいたので弁当を奢ってもらっていました。
そんな感じでほんの数週間だけ府中にいましたがお金を切り詰めて貯めて、全財産使って「荻窪」という所に引っ越しました。
最初先輩芸人に
「荻窪は良いよぉ~。来なよ。」と言われて引っ越したのですが先輩は僕が引っ越す直前に別の所に引っ越しました。東京はなんて怖い街なんだと思いました。
でも結果的に裏切られてきた街に15年住んでいます。
何が良いのかちゃんと考えたことはありませんでしたがなんか良いのです。
4年前に引っ越しをすることにしたのですが何にも考えず自然と荻窪の北口から荻窪の南口に引っ越しました。
なぜかわからないのですが別の街になんていう発想すらなかったです。
もちろん荻窪が好きだからなのですがせっかくの機会なので荻窪のことを考えてみます。
よく行く場所はどこでしょう。
お酒が好きなので居酒屋。
特徴としてはほとんどのお店24時までには閉まります。そこそこ大きめの駅ではかなり珍しいです。
荻窪には電車で帰れなかった人は1人もいないという都市伝説もあるとかないとか。
24時以降やってる居酒屋は南口のyoakeが朝7時まで
北口の沖縄料理屋さんが朝8時まで。
間のお店がない。だから電車で帰れなかった人はいないなんて言われるのか。
他はどこでしょう。
北口にあるドンキホーテ。
荻窪のドンキホーテは激安ジャングル史上を塗り替える2階建て。
当時荻窪民が
「ドンキホーテが荻窪にできるぞぉー!うぉーー!!」と、なっていたのですが完成して
「お、ぉぉぉぉぉ。」と、なってたのを覚えています。
他はどこでしょう。
南口にある本屋さん文禄堂。
とても静かで落ち着いた本屋さんです。
そこに「中央線本」という本がありましたので中央線に住んでいる人間として気になったので読みました。
中野・様々なカルチャーの発信地
高円寺・バンド、役者、お笑い等の夢追い人の街
阿佐ヶ谷・もの書きの人が多く古本屋も多い文学の街
荻窪・中央線で唯一何も個性のない街
、、、、なんじゃそりゃ。
なんか舐められてる気がする。
でも、、、
間違ってもいない気もする。
そうか。わかった。
何で僕が荻窪が好きか。
「主張が強くないから。」だ。
六本木や三茶等は主張の塊。我があればあるほどいいみたいな。
荻窪はとにかく控え目に。ドンキホーテですら2階建てで目立たないようにしている。
僕は業界で芸人以外の友達はほぼいません。芸能人の友達は片手で数えれるくらいです。
恐らく理由も荻窪が好きな理由と一緒なんだろうな。
すごく僕に会う街です。
昨年のM1グランプリ終わりテレビ朝日のある六本木でヤーレンズ楢原とジョックロック福本君と1時間くらい飲んだ後、荻窪に帰り1人で朝5時くらいまで北口の沖縄料理屋さんで数杯飲みました。
帰り際店員さんは
「ありがとうございました!」
ではなくこっそり
「お疲れ様でした。」
と、言っていました。
うん。
この店は荻窪の店だな。