第1位は『大ピンチずかん2』! ギャグ、シュール、感動作…絵本表現の多彩さを示した「第17回 MOE 絵本屋さん大賞 2024」贈賞式【レポート】
更新日:2025/2/3
第6位 『トドにおとどけ』(大塚健太:作、かのうかりん:絵/パイ インターナショナル)
“トドにおとどけ”するための誕生日ケーキを受け取ったカモメは、さっそくトドを探しに出かけます。ところが、そこにいるのはトドに似ているけれど種類が違う生き物ばかり。ダジャレから始まった面白いお話を楽しみながら、海獣たちの違いにくわしくなれそうな絵本。
「家族や友人に受賞の報告をしたら喜んでくれたのですが、肝心のトド本人にはまだ報告できていないので、近々水族館で本を見せながら、“やったよ!”と伝えてこようかなと勝手に思っています」(大塚健太)
「いろんな海獣たちが出てきます。それぞれの生活や住んでいる場所などを想像しながら、とにかく楽しく描きました。『MOE』は小さな頃から読んでいた大好きな雑誌。このような賞をいただき、本当にうれしいです」(かのうかりん)
第7位 『火の鳥 いのちの物語』(手塚治虫:原作、鈴木まもる:文・絵/金の星社)
※手塚治虫の「塚」は旧字が正式表記
何も食べなくても生きていけるし、宇宙や地球のこと、いろいろな生き物のことを知っている——。そんな「火の鳥」を通じて作者が教えてくれるのは、「どう生きるべきか」という壮大な生命のテーマ。多くの人たちに命の大切さを伝えてきた手塚治虫さんの名作が、鳥の巣研究家であり、子どもの頃から手塚作品に憧れてきた絵本作家の鈴木まもるさんによって描かれています。
「壮大なドラマをどうしたらいいのか悩みましたが、鳥の巣にいる火の鳥を描いたら自然とお話が浮かんできました。子どもにとって、絵本は大きな世界への入り口だと思うんです。これから自分がどのように生きていくのかを考えるきっかけになります。いろんな絵本があるのがいいと思うし、僕としては、自然のふしぎや、地球は広くて面白いことをこれからも伝えていきたい」(鈴木まもる)
「手塚治虫が生涯をかけて描き続けた漫画作品を、鈴木先生による独自の視点で絵本にしていただきました。子どもたちには難解な表現も、テーマとなる命の尊さに着目し、わかりやすく表現されています。この絵本をきっかけに原作も手に取ってもらえたら」(手塚プロダクション・石渡広隆)
鈴木まもるさんのスピーチでは、「子どもにとって絵本が大きな世界への入り口となる」ことを即興でホワイトボードに表現する場面もあり、会場を大いに湧かせていました。

第8位 『おすしが あるひ たびにでた』(田中達也/白泉社)
日常にあるものを別のものに見立てて創作する“見立て作家”、田中達也さんの作品。「まきず市」駅から旅に出たおすしは、「あげあげビーチ」で気分上々、「おかしなさばく」で宝探し。予測不能な事態に出会っても、おすしならではの視点で問題解決!? 「見立て」の面白さが炸裂する写真絵本。
「4冊目の絵本で、今までにない挑戦としてダジャレを盛り込みました。ダジャレを言い換えると、言葉の見立て。形と言葉、2つの見立てが楽しめることを意識しました。SNSでは、おすしの兄弟をTHE ALFEEに見立てた『おすしが アルフィー たびにでた」という面白い意見もあり、的を射ているなと印象に残っています』(田中達也)
第9位 『パンダのおさじと ふりかけパンダ』(柴田ケイコ/ポプラ社)
小さなパンダの「おさじ」が活躍する大人気絵本シリーズ第二作。食べものの好き嫌いが多いぱこちゃんが、スーパーでもらった「ふりかけパンダ」を料理にかけて、おさじから教わった呪文を唱えると、いつもの料理がパンダ料理に大変身。ふしぎな呪文とかわいい踊りが全国の子どもたちに浸透中!
「息子が子どもの頃、お弁当のおかずは残すのに、ふりかけご飯だけは食べるという悲しい思い出が…。ふりかけってちょっとふしぎな食品。その面白さで読む人を笑顔にできたらいいなと思いました。講演会などで子どもたちが踊ってくれるのを見ると、本当に描いて良かったなと思います」(柴田ケイコ)
第10位(同時受賞) 『そそそそ』(たなかひかる/ポプラ社)
木にしがみつくコアラの親子。よく見ると子どもがたくさん! 「ぷるぷる」して、「ぐにゃり」と曲がったと思ったら、「にゅーん」とどこかが伸びてきて!? お笑い芸人、ギャグ漫画家でもあるたなかひかるさんの「頭は良くならない絵本シリーズ」に、子どもが大笑い! 大人もフッと肩の力が抜けるはず。
「好きなものを作って生活できているだけで、すでにご褒美をいただいていますが、このような賞までいただいて、逆に不気味さすら感じております…(会場笑)。この盾が3つ目で、5つ集めると金色になるんですよね? 引きつづき、へんてこりんな物を作っていけたら」(たなかひかる)
第10位(同時受賞) 『くまたのびっくりだいさくせん』(柴田ケイコ/白泉社)

やんちゃなくまの子“くまた”は、いつもイタズラをしてママに叱られてばかり。そこで、なんとかママを感心させるために一念発起。ママのお気に入りのカップに葉っぱとダンゴムシを入れた“作戦”を仕掛けますが…!? チャーミングなくまたくんに、子どもはもちろん、ママもパパたちもキュンとさせられる注目作。
「息子が小さい頃にこんなことをしたなとか、自分も小さい頃、ふすまにいっぱい落書きをしたなとか、そういう思い出を絵本にしたくて作ったお話です。いたずらばかりのくまたに、かわいいという声をいただき、描いて良かったなと思います。これからも、このお話が続くように描いていきたいと思います」(柴田ケイコ)