心療内科ってどんなところ?悩める患者と精神科の心理士のリアルで心温まる物語【書評】
公開日:2025/2/16

心療内科――その名前にハードルの高さを感じたり、不安を覚えたりする人は多いだろう。「特別な人が行く場所」といったイメージを抱いているかもしれない。しかし、それはただの偏見にすぎない。
『白目むきながら心理カウンセラーやってます』(白目みさえ/竹書房)は、心療内科への先入観を優しく解きほぐしてくれる作品だ。
物語は、精神科で10年以上のキャリアを持つベテランカウンセラー・白目先生を中心に展開する。白目先生は、クライエント一人ひとりが抱える複雑な心の問題に真摯に向き合い、少しずつ解決へと導いていく。その過程は読者の共感を呼び、登場人物たちの抱える心の葛藤に感情移入せずにはいられない。
本作の最大の魅力は、心療内科や心理カウンセリングの日常が非常にリアルに描かれている点である。診察室の雰囲気やカウンセリングの流れが生き生きと描かれ、読者に臨場感を与える。また、「心療内科は特別な場所ではなく、誰にでも必要な場所である可能性がある」というメッセージが自然と伝わり、心のケアを受けることの重要さを改めて認識させてくれる作品となっている。
親子カウンセリング編のエピソードが印象深い。四谷さんという女性が、白目先生に自らの過去と辛い感情を素直に吐露する場面が描かれている。四谷さんは、娘のあやなちゃんが急に言葉を発しなくなったことに悩んでいた。その原因が夫からDVを受けて離婚した過去にあるということだった。白目先生の丁寧な問いかけに促され、四谷さんは次第にその痛みを言葉にすることができるようになり、少しずつ変化が訪れる様子が描かれている。
親子カウンセリングと聞くと、「特別な問題を抱えた家族が行く場所」という印象を抱くかもしれない。しかし、この親子カウンセリング編を読むことで、そんな先入観が穏やかに解消されていった。
本作は、悩みを抱える人に「一人で抱え込まなくてもいい」と語りかけ、読む者の心を軽くしてくれる。そして、読み終えた後にはきっとこう思うだろう。「もっと早くこの本に出会いたかった」と。
文=ネゴト /すずかん