「子どものこと発達障害児にしたいの?」検査を受けさせたいと夫に相談すると… 発達障害がある子どもと、それに向きあう親の葛藤を描いたコミックエッセイ【書評】
公開日:2025/2/11

「発達障害」という言葉が社会に広がりつつある。通常の学級に在籍する小中学生の8.8%は発達障害の可能性があるという文部科学省による調査もあり、そこまで珍しいものでもないのかもしれない。しかし、「どんな障害なのかよくわからない」「自分とは関係ない話」といった人もいるだろう。
『発達障害の子ども、受け入れられない私たち』(メイ)では、子どもの「発達障害」に対する教育方針について、状況を理解し、積極的に動こうとする主人公の思いが、夫や、その家族に受け入れてもらえず、苦悩しぶつかりあう様子がリアルに描かれている。
きっかけは、発達障害があるかどうかを判定する検査を子どもに受けさせたい、と夫に告げたこと。妻は激しいかんしゃくや、急に走りだす子どもの様子を日常的に見ており、発達障害を疑っていた。まずは検査だけでも……と、夫に話したところ、予想に反し、強い反発を受けるのだった。
「子どものこと発達障害児にしたいの?」といった強い言葉で嫌悪感をあらわにする夫。子どものことを、まず夫に相談するのは普通のことだが、その夫に強固に反対されてしまえば、孤独に悩みを抱えるしかなくなってしまう。
夫のなかにも「発達障害だと診断されてしまうことが怖い」「将来を狭めてしまうのでは?」といった思いがあり、理解のない夫だと安易に批判できない。そんな状態から、ぶつかりあいながらも、たがいの思いを伝えあっていくことで、夫婦として正しいと思える道を選択していくふたり。
しかし、夫の家族に事情を説明する際も一筋縄ではいかない。ここにも価値観や考えかたの違いが存在しており、和解できるのか、決裂するのか、不透明であるがゆえに先行きが気になってしまう。
発達障害との接点のあるなしにかかわらず、価値観の相違はどこにでも転がっているもの。本作を読んでおけば、いつか、周囲の理解を得ることができない、困難な状況に立たされた際の参考にもなってくれるはずだ。