庄司智春が抱える“芸能界に憧れる子ども”への葛藤。アイドル・ミキティを母に持つからこそ、芸能人になってほしくない理由【庄司智春インタビュー 前編】
公開日:2025/3/30

2025年で芸能活動30周年を迎える芸人コンビ「品川庄司」の庄司智春さん。2024年11月より、ダ・ヴィンチWebで自身初となる漫画『 庄司智春の子育て漫画〜子どもが3人いるんです!〜』の連載を開始した。本連載では、妻・ミキティさんと3人の子どもたちとの日常が余すことなく描かれている。
今回は、連載開始にあたり、庄司智春さんにインタビューを敢行。家族からの反響から、両親が芸能人であるからこその子どもたちの葛藤、お子さんが芸能界に憧れたらどうするかという悩みまでたっぷりと語ってもらった。
『庄司智春の子育て漫画』を連載することへのご家族からの反応

――本日はよろしくお願いします。まずは、連載に対する反響について教えてください。今回庄司さんの連載にはご家族のビジュアルが登場しますが、ご家族からの反応はありましたか?
庄司智春さん(以下、庄司):子どもたちは「かわいく描いてくれてありがとう」と言ってくれますね。実はこの漫画はほとんどリビングで描いているので、子どもたちにも見せているんです。だから、漫画では顔を隠さず見られるというのは本人たちも気づいていて、「今回はどんな話になったの」とか「ちょっと見せて」とかって興味津々で見ています。
――年齢的にお子さんは反抗期の時期だと思うのですが、みんなでリビングにそろってすごすことが多いのでしょうか?
庄司:反抗期どころか、むしろ子どもたちは自分の部屋に入らないんです。だから、ミキティと「もう(部屋に)入れよう」と話しています。自分から望んでリビングですごしているのに、不機嫌をまき散らしたりするんですよ。
――まさに思春期あるあるですね。
庄司:そうなんですよ。しかも、不機嫌になるだけじゃなくて、生意気な口もきくんです。親としては「イライラしてるなら部屋に入れよ!」と思うんですけどね。
――お子さん自身「いら立ちはあるけど、家族と一緒にいたい」という感じなのですね。
庄司:そうそう。でも、自分が思春期のころ1人になりたかったじゃないですか。だから、子どもがひとりですごせるように、子ども部屋にはゲーミングパソコンやベッドを置いてみました。それでも、やっぱり家族といるのが好きみたいで……全然部屋に入ってくれないので困っています(笑)。
マンガのエピソードは、子どもたちとしっかりコミュニケーションを取るからこそ生まれる

――『庄司智春の子育て漫画』の1話は、庄司さんがお子さんとゲームセンターに行くエピソードでしたね。漫画でも描かれているように、日ごろから庄司さんだけでお子さんと出かけられているのでしょうか?
庄司:そうですね。ミキティが仕事のときは、僕ひとりで3人とも連れて出かけています。家事の負担はミキティの方が多いので、できるだけ子育ての負担は半々になるようにしているんです。
――漫画の中でお子さんたちがクレーンゲームで散財しすぎてしまったことに対し、叱るというより諭す話し方をされていたのが印象的でした。普段からお子さんと関わるときは言葉遣いに気を付けているのでしょうか?
庄司:言葉遣いには気を付けていますね。でも、「言い過ぎちゃったな」とか「感情的になっちゃったな」とか思うこともあります。
そんな時は、また別で時間を設けて「こういうことで腹立っちゃったから怒ったけど、あの言い方なかったよねごめんね」と伝えるようにしているんです。「どうして怒ったり叱ったりしたのか」という理由を積極的に言うよう気を付けています。
――頭ごなしな態度でお子さんと関わることを避けているんですね。
庄司:一方的に叱ったり怒ったりすると、子どもが萎縮してしまうと思うんです。大人が良いところも悪いところも全部オープンにするからこそ聞き出せることもあるので、その辺りは意識して子どもと関わっています。
――子どもを叱るとき、どうしても親2人対子ども1人になってしまいがちだと思うのですが、叱るときはそうしたことも考えて接しているのでしょうか?
庄司:もちろん考えます。考えますが、気づいたら2人とも怒っていることもあります。どうしても怒りすぎてしまう日もあるので、そういうときは家族みんながいる前で「とーたんが悪かったです。ごめんなさい」と謝るようにしています。
両親がテレビで話す子育てエピソードへのお子さんたちの反応

――お子さんたちは、両親が有名人だからこその葛藤もあるのではないでしょうか?
庄司:息子にとって「芸能人の子ども」として見られること自体には、あまり抵抗感がないみたいです。ただ、自分がいないところで話されたことを周りからいじられるのが嫌みたいで。
僕もダ・ヴィンチWebさんで漫画を描かせていただいていますし、ミキティもテレビで子育ての話をするじゃないですか。そうすると、絶対ネットニュースになるんです。それはありがたいことなのですが、それを読んだクラスの子から「お前こんなこと言われたな」とか、「こんなネットニュースになってたぞ」とかって言われるらしくて。
――お子さんたちは「勝手なこと言わないでくれよ」という気持ちなのかもしれませんね。
庄司:そうなんです。最初は「嫌なんだけど」と言われても、「しょうがないじゃん」と受け入れるように説得していて……。でも、一度夫婦で話し合ったとき、「自分たちは芸能人の子どもじゃないから同じ気持ちにはなれないけれど、嫌だという気持ちには寄り添ってあげたいよね」という話でお互い納得したんです。
だから、テレビで子育てエピソードを話した後は、ちゃんと子どもたちに「今日はこういう話したよ」と伝えるようにしています。そうすれば、「ネットニュースを読んだ友だちに何か言われても、放送や公開日までに返す準備ができてるから大丈夫」と言ってくれるようになりました。
――芸能人の子どもによるデメリットは「もうしょうがないな」って受け入れてくれているんですね。両親の仕事も含めて、家族が好きなんだろうなと思いました。
庄司:ただ、やっぱりテレビやメディアでの仕事を「もう嫌なんだけど」と言われることもあります。そういうときは「ママが仕事で頑張ってくれてるからこそ、おいしいものを食べたり好きなところに行けたり、ゲームができたりするんだよ」と説明しています。
子どもの「嫌だ」という気持ち自体は受け入れてあげながらも、「ごめんね。嫌な思いをするかもしれないけど、とーたんとママは頑張ってるんだよ」というのを理解してもらえるよう何度も伝え続けています。
――ミキティさんのお仕事を庄司さんが説明するということは、庄司さんのお仕事についてはミキティさんが説明してくれるのでしょうか?
庄司:そうなんですよ。でも、どうしても、周りから「お前のお父さんテレビで裸になってたな」と言われると、ちょっとモヤモヤするみたいで……。
そういうとき、ミキティは「テレビで裸になってる人が何人いると思ってんの!」と言ってくれるんですよ。「みんな服着てる中で、とーたんは裸になってお金稼いできてんだよ! むしろ自慢できんじゃないの?」って。こうして、お互いがお互いの仕事を分かってもらうためにフォローし合いながら、毎日子どもたちと向き合っています。
お母さんが「アイドル」だからこそ生まれる憧れ

――ミキティさんはお母さんである一方でアイドルという一面がありますが、その点をお子さんはどう思っているのでしょうか?
庄司:モーニング娘だったころの動画やOGとして出るライブを生で見ているので、長女は「かわいい! すごい!」とはしゃいでいます。下の子にいたっては、もうめちゃめちゃ崇拝していますね。長男はちょっと恥ずかしいみたいなんですけど。
――やっぱり、娘さんにとってはキラキラしているお母さんがうれしいんですね。
庄司:いや本当に、憧れの存在みたいで。普段の格好と違うステージ衣装で、お化粧もしているからとにかくキラキラして見えるみたいです。特に長女は歌とダンスが大好きだから、なおさら強く憧れています。
――そうしたお母さんの姿を見て、「将来的にアイドルになりたい」と憧れるかもしれません。
庄司:ちょっとその傾向を感じてはいるので、夫婦で「やばいね」って話しているんです。親としては「ママがアイドルだったから、自分もなれる」と思われるのは嫌だなと。そう思われると困るので、「そんなに簡単になれるもんじゃないんだよ」と伝え続けています。
娘だけじゃなく、長男も交えて「芸人になるのは簡単じゃない」という話もしていて。「何百人の前でパンツ一丁でさ、オイル塗って好きな人の名前を叫んだりできるのか?」って。「全校生徒の前でパンツ一丁になって好きな子の名前叫べるか?」と聞いたら、「それはできない」と納得していました。
――両親が芸能人だと、特別な環境に慣れてしまうこともありますよね。
庄司:そうですね。だからこそ、「ママやとーたんがテレビに出ているのは、簡単にできることじゃないんだよ」と何度も話しています。
――例えば、お子さんが高校生になったとき「絶対に芸能人になりたい」と言ったらどうされますか?
庄司:一応反対しますけど、「気持ちが強ければもう仕方がないよね」というのは、夫婦間でも話しています。実際、自分たちがそうだったので。
――庄司さんもミキティさんもご家族からの反対があったのでしょうか?
庄司:僕は「吉本入る」って言ったときびっくりされたけれど、反対はされなかったんです。ミキティもお母さんからの反対はなかったみたいなのですが、2人のお姉ちゃんには「(アイドルには)なれないよ」とずっと言われていて。だから、ミキティは姉たちを「絶対に見返してやる!」と思って頑張っていたらしいんです。
僕は自分の親に反対されてないからこそ、「子どもたちが芸能界で働きたいと思うのは仕方ないことなんだな」と思うようになりました。ただ、二世であることが足かせになることもあるので、「二世タレントとして働くのも大変なんだよ」というのは、時期が来たら話そうと思っています。
取材=金沢俊吾 文=押入れの人 撮影=金澤正平