悩める美大生が出会ったのは、カレー好きな謎の男。カレーを通じて友情を育むハートウォーミング青春劇【書評】

マンガ

公開日:2025/2/24

 食のブームが変わっても、変わらず多くの人に愛され続けるカレー。『カレーの唄。上』『カレーの唄。下』(山崎佐保子:原作、月吉:漫画/KADOKAWA)は、カレーをテーマに男同士の心の絆を描いたハートウォーミングストーリー。2020年に放送されたテレビドラマを、コミカライズした作品だ。

 
 鈴木二汰は内気でネガティブな美大生。街中でのチョークアートを警察官に咎められたところを、世界を旅した男・天沢陽一郎に救われる。後日、陽一郎と再会した二汰は、空腹を訴える陽一郎になぜかカレー屋に連れていかれることに。陽一郎は毎日カレーを食べずにはいられない、大のカレー好きだったのだ。こうしてテーブルを囲んだことをきっかけに、陽一郎は二汰の家に居候するようになる。

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 愛するカレーを心底おいしそうに食べる、陽一郎のほがらかな姿。自分の絵を見てくれる人がいるという喜び。そんな環境で、二汰の卑屈な心は少しずつほぐれていく。二汰の同級生・まどかや、陽一郎の職場の人々も巻き込み、カレーを食べながら周囲と絆を深めつつ、成長していく物語だ。

 とにかく自由奔放な陽一郎だが、彼がカレーを食べながら語る人生論や考え方にはハッとさせられる。失敗することや周囲の目を恐れずに、自分らしさを大切にする陽一郎の真っすぐな言葉。それらは読者の心もじんわりと満たしていく。さらに、カレーへの深い知識を語りつつ五感全てを使ってカレーを味わう姿がなんともおいしそうで、胃袋が刺激されてしまう。ページをめくるほど、どんどんカレーが食べたくなってしまう作品だ。

 陽一郎はなぜこんなにもカレーを愛するのか。その理由は、彼の生い立ちと共に徐々に明かされていく。各話の後にはドラマロケ地になった場所や、登場したカレーを実際に食べることができる店舗が紹介されている。気になったカレーを食べに、聖地へ足を運んでみるのも楽しそうだ。

文=ネゴト / fumi

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