ユニクロ、ZOZO、西松屋、アラリがいいのはどの会社? 数字嫌いでも決算書が読めるように! 有名企業50社を実例にイラストで解説【書評】

ビジネス

PR 公開日:2025/3/12

サクッとわかる ビジネス教養 決算書川口宏之/新星出版社

 会社の経済活動や財政状況を数字であらわす、決算書。もし、それを読めるようになったら、どんなに視野が広がるだろう。決算書を読めれば、「会社がいくら稼いでいるか」「利益をどれだけ確保しているか」「元手をどれだけ効率良く売上に結びつけているか」「資金繰りは大丈夫か」「将来的な成長を見込めるか」など、あらゆることがわかる。自社や取引先についてはもちろん、ライバル企業の状況は詳しく把握しておきたいし、仕事に限らず、その分析の能力は、株式投資においても役立つに違いない。だが、数字にはめっぽう弱く、決算書の数字の羅列をみても、よくわからない。決算書の読みかたを勉強しようにも簿記などの知識がないと難しそうで、諦めてしまっている人は多いのではないだろうか。

 そんな人にオススメなのが、『サクッとわかる ビジネス教養 決算書』(川口宏之/新星出版社)。ベストセラー「サクッとわかる ビジネス教養」シリーズの中の1冊だ。この本を読めば、タイトルの通り、決算書の読みかたが手軽にわかる。そもそも決算書は、コンサルタントや公認会計士をはじめとする経営や会計のプロも使うものだが、プロでない一般のビジネスパーソンは、そこまで詳しく読み込む必要はない。そこでこの本では、一般のビジネスパーソンが決算書のどこを読むべきか、重要なポイントに絞って教えてくれる。だから、決算書を読むスキルがすぐに身につく。それも、ひと項目見開き2ページやふた見開き4ページだからどんどん読めて、全ページフルカラーで見やすい。大きなイラストが多用されている解説は何の知識がない人でも一目でスッと頭に入ってくる。

 決算書は、取引先や株主などの利害関係者に向けて作られるいくつかの書類の総称だが、本書では、特に重要な3つの決算書(主要財務3表)を中心に解説している。たとえば、損益計算書(P/L)の解説では、損益計算書を、大きなイラストを交えてミックス粉とホットケーキに見立てる。損益計算書とは、会社が1年間で、いくら稼いだか(収益)、いくら使ったか(費用)、いくら儲かったか(利益)が書かれているもの。一口に損益決算書といっても、2つの形式があり、それをミックス粉とホットケーキにたとえているのだ。その損益計算書をどう読んでいけばいいのか。この本では、「5つの利益が損失になっていないか」「本業の収益性が高いか」「費用がムダではないか」というように読み解くポイントを絞って教えてくれるからわかりやすい。そして、実際の決算書を見ながら、それを解説してくれるから、どこをどう読み、どう分析していくのかが理解しやすいのだ。

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 損益計算書の解説に限らず、本書では、ソフトバンク、任天堂、ドトール、HIS、ファーストリテイリング、イオン、オリエンタルランドなど、有名企業50社の決算書を実例として図解し、その読みかたを解説している。多彩な企業な決算書とその分析は、読むだけでも面白く、決算書から企業ごとのカラーがみえてくる。「ZOZO、ユニクロ、西松屋、アラリがいいのはどの会社?」「キーエンス、ローム、ディスコ、営業利益率が高いのは?」「業態の異なる小売業3社キャンドゥ、サンドラッグ、ジョイフルホンダの回転率は?」——なるほど、決算書が読めるようになると、そういう比較ができるようになるのか。また、本書では、決算書の数字がどのようなビジネスと結びついているのかについても触れている。「良品計画のアラリ率が高いのは、良品計画が自社でオリジナル商品の企画から製造、販売までを行なっているため」「セリアの営業利益率がおさえられるのは、店舗販売がメインで、配送費は店舗への商品納入など限定的であるため」「コーナンは店舗面積の広いホームセンターを自前で保有するなど固定資産の額が高い」——そうやって学んでいるうちに、ビジネスモデルと決算書の数値を結びつけるコツも身についてくる。

 数字ばかりで到底読み解けないと思っていた決算書が、まさかこんなにも面白いものだとは思わなかった。数字が苦手でも楽しい。どんどん決算書が読めるようになっていく実感がある。あなたも、この本でビジネスパーソンとしてレベルアップ! この本をもとに、決算書に潜む情報を読み解いてみよう。

文=アサトーミナミ

◆新星出版社のライフマガジン『Fun-life!』
https://fun-life-shinsei.com/

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