寒い冬に楽しみたい児童書(2025年2月 新刊&おすすめ絵本)

文芸・カルチャー

更新日:2025/3/13

 あっという間に3学期も半ば、今年度も残すところ2ヶ月足らずとなりました。進級や卒業が近づいてきた子どもたち。昨春に比べて体も心もひと回り大きくなったのではないでしょうか。その成長に目を細めつつ、今の学年での一日一日をのびのび大切に過ごしてほしいと願うばかりです。
そんな子どもの成長にあわせて手渡したい児童書をピックアップしました。

 ゲーム機を持っていないことで仲間外れになり、思わず「買ってもらえる」とうそをついてしまったかっぱの小助。『どろろん ようかいの森 お年玉だいさくせん!』はそんな小助の意地らしさに共感し、お兄ちゃんの大助の優しさに心あたたまるおはなしです。

 5年ぶりに被災地にある母方の祖母の家に越してきた小学6年生の真莉愛は、幼い頃に出会った男の子まさきが震災で命を落としていたことを知ります。『まさきの虎』は震災後に生まれた今の子どもたちの心にどう響くでしょうか。
ほかにも原作オリジナルイラストと新訳で復刊したマージョリー・フラックの名作など、海外の作品も顔を揃えました。

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 冬の寒い日、あったかな飲みものと共に手に取る児童書。春の日差しのようなあたたかさで心を包んでくれると思います。

夢あふれるプリンセスたちの物語!5人の児童文学作家によるアンソロジー『きらきらティアラ ゆめいっぱいプリンセス』全ページイラスト入りで初めてのひとり読みにも

きらきらティアラ ゆめいっぱいプリンセス
きらきらティアラ ゆめいっぱいプリンセス編集:日本児童文学者協会、絵:星乃屑 ありす/出版社: フレーベル館

きらきらティアラ ゆめいっぱいプリンセス

編集:日本児童文学者協会
絵:星乃屑 ありす
出版社: フレーベル館

出版社からの内容紹介
日本児童文学者協会の編集委員が推薦する5人の作家がプリンセスを描く、とっておきの低学年向け〈短編アンソロジーシリーズ〉開幕! おしゃれでかわいいプリンセスきららと猫のティアランが5人のプリンセスの5つの物語へと誘います。ゆめいっぱい、バラエティに富んだ短編に心がわくわく踊ります。全88ページのうち、48ページがカラーで絵もたっぷり。1編が短い物語なので、読書がちょっぴり苦手なお子さんにもぴったりです。巻末に5人のプリンセスから読者へのきらきらメッセージ付き。

ゲーム機がなく仲間外れになり、お正月までには買ってもらえると言ってしまったかっぱの小助。兄の大助は自分のお年玉を……『どろろん ようかいの森 お年玉だいさくせん!』

どろろん ようかいの森 お年玉だいさくせん!
どろろん ようかいの森 お年玉だいさくせん!著:南田 幹太、絵:広瀬 克也/出版社: 文研出版

どろろん ようかいの森 お年玉だいさくせん!

著:南田 幹太
絵:広瀬 克也
出版社: 文研出版

出版社からの内容紹介
冬休み、かっぱの小助はゲーム機を持っていないことで仲間外れにされ、「お正月までには買ってもらえる」とウソをついてしまう。お金が足りない小助は、色んな妖怪のお手伝いをしてお年玉を集める作戦を思い付いたのだが……。

父の事故により幸せな生活が一変したジョンストン家族。ある日、末っ子のティムが田舎の大邸宅を相続することになり……『カルディコット・プレイスの子どもたち』

カルディコット・プレイスの子どもたち
カルディコット・プレイスの子どもたち著:ノエル・ストレトフィールド、絵:尾﨑 愛子/出版社: 偕成社

カルディコット・プレイスの子どもたち

著:ノエル・ストレトフィールド
絵:尾﨑 愛子
出版社: 偕成社

出版社からの内容紹介
1960年代のイギリス。お父さんが事故にあって気力を失い、幸せなジョンストン家の生活は一変する。

都会の小さなアパートにうつったが、お母さんは疲れ、ビル、キャロル、ティムの3人の子どもたちは不満をつのらせていた。

そんなとき、末っ子のティムが、ひょんなことから田舎の大邸宅カルディコット・プレイスを相続する。

ひっこした一家はそこで、お金持ちだが帰る家のない子どもたち3人の滞在を受けいれることに……。

村の自然とあたたかい人々に見守られながら、新たなくらしを築いていくジョンストン一家と、子どもたちそれぞれの成長を生き生きとえがく、感動的な物語。

『バレエシューズ』の作者ノエル・ストレトフィールドの名作を初邦訳。

子ねずみのウォルターが学校から帰ったら家の中が空っぽ。家族の引っ越しに置いていかれちゃった!原作オリジナルイラストと新訳で復刊した名作『子ねずみウォルターはのんびりや』

子ねずみウォルターはのんびりや
子ねずみウォルターはのんびりや著:マージョリー・フラック、訳:おびか ゆうこ/出版社: 徳間書店

子ねずみウォルターはのんびりや

著:マージョリー・フラック
訳:おびか ゆうこ
出版社: 徳間書店

出版社からの内容紹介
マージョリー・フラックの名作を、原作オリジナルイラストと新訳で復刊!

子ネズミのウォルターは、
おとうさん、おかあさん、
5人の兄さん、6人の姉さんといっしょに
くらしています。

ウォルターはのんびりや。

ウォルターが起きると、
みんなもう仕事や買い物や学校に
行っているし、
ウォルターが学校から帰ると、
みんなごはんをすませて寝ています。

ウォルターは家族とあまり
顔を合わせることすらなくなりました。

ある日学校から帰ると、
家の中は空っぽ。

引っ越しに
おいていかれてしまったのです。

おとうさんたちをさがして、
ウォルターは森に迷いこみ、
池のカエルたちやカメと
仲良くなります。

カエルやカメたちは、
ウォルターの家族さがしを
手伝ってくれることになりました。

ウォルターの家族は
見つかるでしょうか?

低学年にぴったりの
ほのぼのとしたお話。

『アンガスとあひる』などで知られるマージョリー・フラックの名作を、原作オリジナルイラストと新訳で復刊。

5年ぶりに被災地にある祖母の家で暮らすことになった小6の真莉愛。幼い頃に出会ったまさきのことが気にかかっていたが……『まさきの虎』

まさきの虎
まさきの虎作:濱野 京子、絵:こうの史代/出版社: 童心社

まさきの虎

作:濱野 京子
絵:こうの史代
出版社: 童心社

出版社からの内容紹介
ーーこれが、ぼくの虎。
あれは、だれが口にした言葉だろう。5年ぶりに戻ってきた、リアス式海岸の海と緑の町。震災の傷を残したこの地で真莉愛は自身の記憶のカケラを追うことになる。

母方の祖母の家に越してきた小学6年生の真莉愛。5年前に大きな地震があった町で、母と祖母との3人暮らしが始まる。真莉愛は、この町で幼いときに出会った「まさき」という男の子のことが気にかかっていた。しかし、まさきが5年前の震災で亡くなっていたことを知り、真莉愛は静かに衝撃を受けるのだった。もう二度と会うことはできない。まさきのことをだれが覚えているのだろう。わたしはまさきのことを考えたい。離れてくらす父との記憶が薄れていく寂しさを抱える真莉愛だからこそ、まさきの記憶は手放してはならないものとして立ち上がってくるのだった。
震災で失われたいのちに向き合う物語。

いい子でいることにウンザリなリトル・ビリーはママから禁止されているあやまちの森を探検することに!そこで出会ったのは……『ビリーと森のミンピン』

ビリーと森のミンピン
ビリーと森のミンピン著:ロアルド・ダール、絵:クェンティン・ブレイク、訳:おぐらあゆみ/出版社: 評論社

ビリーと森のミンピン

著:ロアルド・ダール
絵:クェンティン・ブレイク
訳:おぐらあゆみ
出版社: 評論社

出版社からの内容紹介
「いい子にしていなさい」といつも言われているリトル・ビリー。リトル・ビリーは、いい子にしていることに、ウンザリしていた。ママが絶対やってはいけないということ――すぐそこにある「あやまちの森」を探検すること――をやってみたくてしょうがない。よし、かんたんだ。窓を乗りこえて庭に出て森まで走っていけばいい。ところが、シーンと静かだった森に、やがて、何か大きなものが近づいてくるような音がひびきはじめた……あれは森に住んでいると噂されるカイブツにちがいない!

 音はどんどん大きくなり、カイブツのはきだす煙がもくもくとあたりをおおいはじめた。必死で逃げるリトル・ビリー。大きな木の枝にとびつき、下を見ずにどんどんのぼっていった。長い木登りのあと、やっとほっとしてあたりを見まわすと、そこにはなんと……!!

 小さな森の住人「ミンピン」たちの町があったのだ。ミンピンたちも、カイブツのせいで、地面を安心して歩くことができず、樹上高く暮らしているという。このままでは、リトル・ビリーもうちに帰れない。リトル・ビリーとミンピンは、なんとかあのカイブツをやっつける方法はないかと考えをめぐらせる。

――物語の名手、ロアルド・ダールの心おどる冒険物語。ダールの児童書ほぼすべてにイラストを添えてきたクェンティン・ブレイクが今回この作品に初めて絵を描き、ロアルド・ダール コレクションに新たに加えられた。

本記事は「絵本ナビ」から転載しております