第22回「アカネノネ」/鈴原希実のネガティブな性格がちょっとだけ明るくなる本

文芸・カルチャー

公開日:2025/3/26

自分の心を奮い立たせるもの。
きっと人それぞれあると思います。

私自身も漫画やアニメなど様々な作品に触れ、その度に「明日も何とか頑張ってみよう」と思えるエネルギーを貰ってきました。

今回紹介する作品も、読むとそんなエネルギーをもらえるとびきり熱い作品になっています。

今回紹介するのは『アカネノネ』です。

人との関わりを避ける音大生の茜音は、「大学在学中にデビューする」という、超有名プロデューサーである父との約束の期限があと1年に迫る中、コンペには落選続き。

目立った成果を挙げられず焦っていました。

己の力を証明するために自分の正体を隠し、密かにボカロPとして動画投稿をしていましたが上手くいかない日々。

そんなある時、彼の運命を揺り動かす出会いが起きる。

こちらがあらすじとなっています。

この作品は現在完結済みとなっていまして、全7巻と普段漫画を読まない方でも読みやすいボリュームになっています。

私自身、今作品を読み終えて興奮冷めやらぬ中、この文章を書いているのですが。

この作品の根源である「音楽」、そして「ボカロ」。
この2つが好きという方にはぜひとも読んでいただきたい作品になっています。

そして同時に、全く「ボカロ」に興味がないという方でも興味を持つキッカケになるのではないかな?と思うほどに、人間ドラマがあって熱い作品になっているんです。

まず今作の中心人物である茜音の人間らしさと成長が丁寧に描かれているところがとてもいいなと思いました。

有名なプロデューサーを父に持つ茜音は、ずっとその事に対しても、自分に向き合ってくれない父に対しても劣等感を抱えていたのです。

そんな彼が、初めはただただ自分が音楽を続けるための手段に過ぎなかった「ボカロ」の面白さに目覚めていく過程や、ずっと避けていた周りの人との関わりを徐々に広げていく姿に、凄く勇気を貰えました。

私自身も人と関わることが得意ではなく苦手意識があるため、茜音の上手く喋れずもどかしい気持ちがすごく理解出来ました。

それからこの作品は、人の持つ熱量と諦めないことの大切さをすごく伝えてくれる作品でもあるなと感じました。

私は普段スポ根の作品が好きでよく読むのですが、この作品からは「これは一種のスポ根なのかもしれない…!」と思うほどの熱量が溢れ出ていて。

読んでいる最中も、ページをめくる手が止まらなくて目が追いつかないほどでした。

そんな熱量を持って読んでしまうくらい、それ以上にこの作品の持つ「音楽」、そして「ボカロ」に対する熱量と執念は凄まじく、それが画面外にも飛び出していたように感じます。

今作の中で茜音はいくつもの壁にぶつかります。
中には、これどうやってここから巻き返すんだ…?と思えるような絶望的な状況に何度も追い込まれます。

ですが、その度に「音楽」に対する強い執念で何度も這い上がろうとする茜音の姿は、今上手くいかないと感じている人やモヤモヤを抱えている人の心を、強く打つのではないかと感じました。

私自身もこの作品の持つエネルギーに強く心を動かされましたし、「音楽」そして「ボカロ」にも前以上に興味を持つきっかけになりました。

みなさんもこの作品を読むと必ず、強い思いに突き動かされると思います。
ぜひ手に取ってみてください。

<第23回に続く>

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