認知症の原因は“脳のゴミ”? 認知症はどう進行するのか/認知機能改善30秒スクワット
公開日:2025/4/15
認知機能の低下に気づくきっかけは人それぞれです。「最近、約束の日時を忘れることが多い」「食べたものを思い出せない」――。こうした違和感の正体はもしかしたら、認知症の前段階である「軽度認知障害(MCI)」かもしれません。
MCIは放置すると、4年以内には50%、6年以内には80%が認知症へ進行するといわれています。 ただし、初期の段階で適切な対策をすれば、認知機能を改善し、健常者レベルに戻すことも可能です。
本書では、著者の20年以上の研究により明らかになった認知症のメカニズムや認知機能低下のセルフチェック法、改善に効果的な筋力トレーニング法などが詳しく紹介されています。
日常生活に支障は出ていなくても、もの忘れや、同じ話を何度もしてしまうような症状がある人は必見の一冊。認知症改善専門の運動療法士である著者が提唱する『認知機能改善30秒スクワット』をお届けします。
※本記事は『認知機能改善30秒スクワット』(本山輝幸/日本文芸社)から一部抜粋・編集しました

なぜ認知症になってしまうのか
「アルツハイマー型認知症」は、アルツハイマー病によって脳が数十年かけて縮む(萎縮する)ことで、記憶したり話したりといった認知機能が低下する病気です。アルツハイマー病の発症のしくみは諸説ありますが、「アミロイドβ (ベータ)」や「タウ」といった、異常なたんぱく質が脳にたまることが原因とされています。
「アミロイドβたんぱく」は脳内に生じる老廃物です。本来は睡眠中に排出されるものですが、加齢などの影響でうまく分解・排出がされないと、脳内にたまって神経細胞の働きを害します。アミロイドβたんぱくが集まると、「老人斑(ろうじんはん)」という斑点状の塊が見られるようになるのも特徴です。
さらに、脳の神経細胞内に「タウたんぱく」と呼ばれるたんぱく質のゴミが蓄積すると、神経細胞の働きが悪くなり、やがて死滅するといわれています。集まったタウたんぱくは「神経原線維変化(しんけいげんせんいへんか)」と呼ばれる、糸くず状の物質をつくります。
こうして神経細胞がおかされると記憶をつくる海馬(かいば)から始まり、次第に大脳皮質全体に病変が拡大。20~30年かけて脳が萎縮していき、認知症が進行していきます。
