「もしかして認知症?」異変を感じたらやること/認知機能改善30秒スクワット
公開日:2025/4/17
認知機能の低下に気づくきっかけは人それぞれです。「最近、約束の日時を忘れることが多い」「食べたものを思い出せない」――。こうした違和感の正体はもしかしたら、認知症の前段階である「軽度認知障害(MCI)」かもしれません。
MCIは放置すると、4年以内には50%、6年以内には80%が認知症へ進行するといわれています。 ただし、初期の段階で適切な対策をすれば、認知機能を改善し、健常者レベルに戻すことも可能です。
本書では、著者の20年以上の研究により明らかになった認知症のメカニズムや認知機能低下のセルフチェック法、改善に効果的な筋力トレーニング法などが詳しく紹介されています。
日常生活に支障は出ていなくても、もの忘れや、同じ話を何度もしてしまうような症状がある人は必見の一冊。認知症改善専門の運動療法士である著者が提唱する『認知機能改善30秒スクワット』をお届けします。
※本記事は『認知機能改善30秒スクワット』(本山輝幸/日本文芸社)から一部抜粋・編集しました

日常生活が送れているレベルなら進行は食い止められる
認知症はひと昔前のように不治の病ではありません。早期受診と適切な対処によって、たとえMCIや認知症初期の段階にあっても、それまで日常生活が送れている方なら進行を遅らせることも、場合によっては食い止めることができます。
何よりも重要なのは早期の受診です。「最近もの忘れがひどい」「すっかり記憶力が衰えた」など、異変を感じたらすぐに専門医の診察を受けましょう。恥ずかしがったり、歳のせいと決めつけたり、家族のすすめに腹を立てたりしないでください。
とくにMCIは記憶力が少し衰えるくらいで、ほかの認知機能は正常な場合が多いため、本人や家族も発症に気づかないケースがほとんど。知らずに放置することで1年以内に10%程度の人が認知症を発症、4年後には50%程度、6年後には80%以上の方が認知症になってしまいます。受診して何でもなければ安心です。

認知症の検査を嫌がる人には家族の心配をストレートに伝える
家族が異変に気づいて認知症の診察をすすめても、本人が嫌がるという話をよく耳にします。本人にしてみれば、認知症を疑われていい気持ちはしません。なぜならほとんどの場合、その自覚がないからです。怒ったり、恥ずかしがったり、人によって反応はさまざまですが、心は動揺して穏やかではいられません。そんな状況でしつこく受診をすすめれば相手も意固地になり、配偶者や親としてのプライドも傷つきます。
診察をすすめるときは「家族みんなが心配しているから」「早めの治療でよくなることもあるらしいよ」など、まわりの心配りを感じさせる言葉をかけてあげてください。そうすれば相手もその気持ちをくみ取ってくれます。それでも嫌がるときは、気心の知れた友人やかかりつけ医など、第三者にお願いしてみましょう。家族の声には耳をかさない人も、信用のおける人の忠告は素直に受け入れやすかったりするものです。
<第5回に続く>認知症が疑われる場合は「もの忘れ外来」「認知症外来」「神経科」「神経内科」「脳神経外科」などへ。一般的な診察は問診、内科的検査、認知機能テストなどで、所要時間は1時間程度。