大村崑、93歳でも筋トレのおかげで8時間睡眠。現役最高齢の喜劇役者の矜持「家を一歩出ればそこは『大村崑』としての舞台」《インタビュー》
公開日:2025/3/28
筋トレのおかげで8時間睡眠

――先ほどジムのお話が出ましたが、本書でもうひとつ驚いたのは86歳から筋トレを始められたことです。奥様によれば筋トレを始めたことで自信がついて老いに対する恐怖がなくなったとか。
大村:ぜひ若い方にも筋トレをお勧めしますよ。僕は片っぽの肺がないので、人生で大事なことは「眠ること」だと思っていて、今も8時間寝ます。この歳だと寝るのにも体力がいりますけど、無呼吸症候群用のマスクをつけて電気を消したらすぐ眠れます。それができるのも筋トレが大きいんです。それから食事はよく噛むことね。毎日食べるようにしているブロッコリーも60回噛んでいます。噛むことは喉の筋トレになりますから。
――本には健康法もいろいろ紹介されていますが、いかにそれが効くかは93歳の大村さんの元気なお姿がなによりの証拠ですね。それにしても93年で世の中はずいぶん変わったと思いますが、変わっていく世の中をどう感じていますか?
大村:今は若い人たちが出ているテレビを見なくなりましたね。下ネタとか人を叩いたりとかでみんな笑っていますが、それらは僕らが喜劇役者としての教育を受けたときに「したらいけない」と言われていたこと。下ネタ・暴力で笑いをとるのは品がないから見たくない。だからチャンネルをどんどん変えて、昔の古い映画を観ています。
――今の時代はいろいろ選べますもんね。とはいえ新しい物すべてを否定されているわけではないですよね?
大村:スマホも使うし、最新の補聴器も使いますよ。あんまり難しいことはできないから、できる範囲でね。無理して新しい物に触れる必要はないけれども、否定する必要もないからね。でも自分が違うなって思うセンスのものは使わなくていい。
――そういう柔軟性も大事ですね。そしてお話をお聞きしていて「人」がお好きなんだとも感じました。
大村:子どもでも大人でも、それこそよたよたしているおじいさん、おばあさんでもね、笑ってくれるとうれしいしね。いつもレジデンスの食堂で食事していると、みんな僕の話に聞き耳たてていたり、「隣に座っていいですか」と寄って来る人もいっぱいいるんですよ。そうすると花が咲くっていうかね。そういう時は「ノッてるノッてる」と思うわけです。反対に「今日は、いいお客さん少ないな」と思うときは早めに終わって、さよなら。ほんと毎日が舞台ですよ(笑)。
取材・文=荒井理恵 撮影=島本絵梨佳