「中華おこわ風のキーマ」に「こんにゃくのキーマ」も。「キーマカレーだけで100種類」のレシピ本は、簡単&激ウマ料理の宝庫だった【書評】

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公開日:2025/4/17

一条もんこの あしたも食べたいキーマカレー100
一条もんこの あしたも食べたいキーマカレー100一条もんこ/主婦の友社

 ド定番の家庭料理の「カレー」のなかでも、作り方を覚えると便利なのがキーマカレー。煮込み時間も少なく、ひき肉とこまかく刻んだ野菜があればサッとできてしまうのが大きな魅力だ。

 だが「美味しく作れるレシピが今ひとつ分からない」「カレー粉やスパイスを使うのはハードルが高そう」と感じて作っていない人もいるだろう。

 そんな人にオススメのレシピ本が、『一条もんこの あしたも食べたいキーマカレー100』(一条もんこ/主婦の友社)。1500品以上のオリジナルカレーレシピを持つスパイス料理研究家が、なんと“キーマカレーだけ”で100種のレシピを教えてくれる内容だ。

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 クミンやコリアンダーなどのスパイスを使う本格レシピもあれば、カレー粉や市販のルウで作れる簡単なものもあり、カレー初心者でもサッと作れるものが多い。また100種もレシピがあるため「こんなキーマカレーもあるの!?」と驚くレシピが多いのも特徴だ。

 特に簡単そうなレシピを中心に5品を実際に作ってみながら、本書の魅力をレビューしたい。

ミックスベジタブルで簡単調理! 「カラフル野菜のポークキーマ」

 まずは「野菜を刻むのも面倒……」というときに便利そうだと思った「カラフル野菜のポークキーマ」に挑戦。冷凍食品の定番品「ミックスベジタブル」を使った超お手軽なキーマカレーだ。

 包丁を使うのは玉ねぎを刻むときだけなので、みじん切りの玉ねぎを冷凍しておけば包丁不要で調理可能。調味料はカレー粉、ケチャップ、牛乳、コンソメなど、家庭に常備されているものばかりで、煮込み時間もたった3分で作れてしまった!

 そして食べてみると、カレー粉から作ったカレーということもあり、市販のルウで作るカレーとは一味違う本格的な味にビックリ! 牛乳を使っているのでコク深い味わいで、グリーンピースやコーン、ニンジンの食感がしっかり感じられた。

 また食感だけでなく見た目の彩りも豊かで、肉と野菜もたっぷりの栄養バッチリのカレーなので、出したときは家族も喜んでくれるはずだ(うちの妻は喜んでくれました!)。

トロトロで濃厚! 「たっぷりしいたけの中華風キーマ」

 お次は「たっぷりしいたけの中華風キーマ」を。具材は合いびき肉と玉ねぎ、しいたけ。味付けはカレー粉のほかはオイスターソース、醤油、鶏ガラスープのもとなどで、炒め油もごま油を使って中華風に仕上げるレシピだ。

 食べてみると、やわらかくなったこまかく刻んだしいたけと、玉ねぎ、合いびき肉が一体となったトロットロの食感がたまらない。牛肉の入った合いびき肉を使っているので、しいたけは肉から滲み出た脂をたっぷり吸い込んでおり、味わいはコッテリ濃厚。野菜が主役なのに各食材の旨みが爆発している美味しさで、食べごたえもバッチリだ!

 またカレー粉のスパイシーな風味で、しいたけの嫌なニオイや臭みのようなものは消し飛んでおり、しいたけが苦手な人でも食べやすそう。そしてオイスターソース×カレー粉の組み合わせは、ほかの具材のレシピでも応用がききそうで、一度覚えておくと色々なキーマカレーに一生使えそうだ!

驚きのレシピ! 「中華おこわ風キーマライス」

 ここからは少し変わり種のレシピにも挑戦。まずは「中華おこわ風キーマライス」。合いびき肉を炒めて、カレー粉やオイスターソースを加えて混ぜたものを、米と切り餅と一緒に炊き込んで、おこわ風に食べる……という面白いレシピだ。

 食べてみると、食感はおこわだけど、味はしっかりカレーなのが面白い。合いびき肉から滲み出た旨味が全体に染み渡っていて、もっちり濃厚な和風エスニックの味わいがメチャクチャ美味しかった! まずレトルトでは売っていないし、自分で考えて作ることもできない味なので、読者のみなさんも一度試してみることをオススメしたい!

食べごたえも◎! 「味しみこんにゃくのキーマ」

 次は「味しみこんにゃくのキーマ」。「え、こんにゃくのカレー!?」とビックリしてしまうが、著者いわく「キーマ」はヒンディー語やウルドゥー語で「こまかく刻む」という意味で、「こまかくした食材を使ったカレーは、すべてキーマカレー」と言えるとのこと!

 この「味しみこんにゃくのキーマ」も作り方は簡単。調理はこんにゃくをスプーンで小さめに切るのが少し手間なくらいで、あとは豚ひき肉を炒め、こんにゃくとカレー粉、醤油、オイスターソースなどを加えて煮込むだけだ。

 お味はというと、具がこんにゃくなだけで、味はメチャクチャ普通にカレー。主役がこんにゃくで、油もそこまで使っていないのに、食べごたえがバッチリあるので、ダイエット中に食べるのにも良さそうだ。和風の味付けなので、ご飯にのせて丼にしても美味しく食べられた!

進化系なめたけ! 「えのきのつくだ煮風キーマ」

 もうひとつ、ご飯のお供になりそうな「えのきのつくだ煮風キーマ」も作ってみた。本書では“進化系なめたけ”とのキャッチフレーズが付いていたが、まさにカレー風味のなめたけと言えるレシピ。作り方は超簡単で、こまかく刻んだえのきだけと調味料をすべて鍋に入れて、3分ほど水けを飛ばすように炒めるだけだ。

 そして、これがご飯にかけて食べるとメチャクチャ美味しい! 妻は「台湾料理みたいな味がする」と言っていたが、カレー粉のほか醤油、みりん、砂糖など和風の調味料も使っているので、ピリ辛ながらも素朴で懐かしい甘さがある。それで、ご飯がメチャクチャ進むのだ!

 そのほか本書には、スパイスを使った本格キーマカレーや、カルボナーラ風のカレーパスタ「カリーボナーラ」、市販のハンバーグをリメイクするレシピなど、多種多様なキーマカレーのレシピが用意されている。カレーのレシピを増やしたいと思っている人、カレー味の料理が好きな人だけではなく、手間の少ない時短レシピを求める人にも超オススメな1冊だ!

調理・文・写真=古澤誠一郎

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